企業ロゴはスタートアップにとって大事な「旗」なんだと思う 【声の履歴書 Vol.39】
こんにちは。Voicy代表の緒方です。
この「声の履歴書」という連載は、Voicyがこれまで歩んできた道のりについて創業者の私があれこれ語っていこうというシリーズです。よかったらマガジンをフォローしてくれると嬉しいです。
今年1本目の記事は企業ロゴについて。
Voicyはこれまでに何度もロゴを変更してきました。その歴史を振り返りつつ、スタートアップにおけるロゴの重要性を考えてみたいと思います。
最初のロゴは「これはさすがにあかん」
はい。とても大事なロゴですが、Voicyの最初のロゴはこのパソコンに映し出されている、変な玉子に目がついたみたいなやつでした(笑)
手伝ってくれてたデザイナーが「できたよー」って持ってきて、僕と共同創業者の窪田さんは人生初めてできたロゴにノリノリで「イェーイ!」って。とにかく嬉しくて、皆に見せてましたね。
当時はサービスもリリースしていない中、このロゴがついた名刺でアナウンサー学校でアプリ使ってみませんかって声かけてましたからね。すごいですよね、その勇気。
会社設立記念パーティで披露したんですけど、その後のアプリ正式リリースのタイミングではもう変わっていました。たぶん僕らも「これはさすがにあかん」ってなったんでしょうね(笑)
次のロゴは躍動感がテーマ、しかし大きなミスも…
正式リリースではこの青と赤のロゴが採用されました。みんなで「いいぞ!躍動感だ!」とか言っていました。
また面白いロゴを作りましたね。
「しゃべる人は口を開けているから」っていう理由で、またも顔みたいになっています。顔っぽくするのはちょっと気に入ってたのかもしれません。
個人的にはすごく気に入ってて、自慢して歩いてた気がします。
当時はめっちゃかっこいいと思ってたんですけど、「O」に点を2つ付けると、「アー」って発音することをあとで知りました。
「バイシーですよこれ」っていろんな人に言われまして、やっぱダメかと。
音声を温かさを表現したロゴでブレイクへ
そしてようやく本格的に考えて作ったロゴがこれでした。ほとんどの人はVoicyをこのロゴのときに知ったんじゃないかと思います。
僕は「音声の温かさ」を表現したくて、このときに初めてVoicyの象徴的なカラーになる「オレンジ」を取り入れました。いままでと比べるとちょっと落ち着いた、柔らかい、丸いロゴになったんですよね。
僕は今もこのロゴがめちゃくちゃ気に入っています。ITのイメージとは違う「柔らかさ」をうまく表現できている気がしたからです。
灰色になっている世の中に、あたたかみのあるオレンジ(Voicy)が降りてきて、あたりを幸せのオレンジ色に変えていく。声っていうオレンジの雫が街を温めていくようなイメージで作っていたんですよね。
でもまあ今となっては確かに線は細いし、色合いも「弱い」んですよ。パンチがない。なんとなく「昔のネット企業」っていう感じがしますよね。何かが古い。
ただ、このロゴを作った時に「Voicyってすげー!」って思ったことがありました。それはロゴが線対称なことです。
Voicyは真ん中の「i」の両となりに丸が2つ(OとC)あって、さらに外側を2つの「V」(vとy)が支えている。
「こんなに綺麗なデザインになるんだ!?」と感動しました。
ちなみに余談ですがスマホでアルファベットのフリック入力してみてください。Voicyの全部が上になるんですよね。これすごくかっこいいです。
現在のロゴはプラットフォームとしてのVoicyを強く意識
そこでいまのロゴはその線対称を基調としています。
当時、会社全体のブランディングとかVoicyの世界観をどう捉えたらいいのかが全然わかっていなくて、とりあえず心機一転ロゴを変えようと。それだけ考えてロゴを作り直してみました。
はじめは怖かったんですよね、いろいろアイデアが出てきても全部却下しちゃうんじゃないかなと思って。僕は前のが気に入ってましたから。
でもデザイナーと話してるうちに、ポンってこれが出てきて、「うわ!これだわ!」と思って、超かっこいいなってめちゃめちゃテンション上がって即決でした。
変えた理由は、「Voicy」が、会社としてのVoicyなのか、サービスとしてのVoicyなのか、プラットフォームとしてのVoicyなのか、はっきりさせる必要があったからです。
僕たちは単体のメディアサービスではなく、「プラットフォームになる」ということをちゃんと説明したいと思って、ロゴ変更に踏み切りました。
これからはしっかり社会の基盤となるインフラになるんだっていうメッセージを込めて、BtoBでも通じるようなきっちりしたロゴにしようと考えました。
その時のロゴに込めた思いはこちらに書いています。
企業ロゴはスタートアップにとっては大事な「旗」
ロゴは難しいです。企業にとって超大事な存在なんですけど、特に初期のスタートアップにとっては、やっぱり旗だと思うんですよ。
『ONE PIECE』で言ったら骸骨なんですよね。
何も信じるものがないし、誇れるものがないけど、胸にはそれだけ付けているっていう感じのものなんですよね。
名刺にもロゴを載せて、なんとなくそこだけは一丁前感があるわけです。急に自分たちがちゃんとした企業の仲間入りをした感じになる。
ロゴがないとたぶん、なんか不安なんじゃないかな。その旗を作る時に大事なことは、その下に集まったメンバーに好きになってもらえるか。「かわいい」「応援したい」って思ってもらえるかどうか。
特にスタートアップだと、プロダクトも出たばかりだし、そもそもまだ出てないこともあるし、会社としても整ってない中で、ロゴとか名刺ってその会社を実感できる大事な要素なんです。
だからめちゃ大事、っていうかむしろ、それぐらいしか与えられないんですよ。
なんかぐちゃぐちゃな会社に来てくれてるみんなと一緒に、一丁前に背伸びをするというところに、すごい意味ありげにロゴを掲げる。
背伸びをして、それでも届かないところを目指す
今から考えると、本当に背伸びをし続けてきた日々でした。もはや「スタートアップとは背伸びである」って言ってもいいくらいです。
だって「自分たちこんなデカくなりますよ」とか言ってるけど、何のエビデンスもないわけです。背伸びしないで勝てる要素はないです。
背伸びしてお金を引っ張ってきて、その背伸びを実現させるというのがスタートアップ。それでも僕らは、背伸びしても届かないところを目指しています。
オフィスをカッコよくするとかも同じかもしれません。そのために最初から渋谷にオフィスを構えたわけです。
いま思えば本当に背伸びしてたんだろうな、と思います。
とても一生懸命に。
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