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ジムは男の見栄の張り合い:ルームメイトはインド人 ver.11

見栄・・・それは男同士の小さな戦い。


得る物もないのに何か負けたくない気持ちが働く。

そんな戦いはしばしばうちのマンションの2階のジムでは起こる。

筋トレマシーンを前使ってた人より無理してちょっとだけ重くする奴。

隣で走ってる奴よりちょっとだけでも早く走ろうとする奴。

すでに限界なのに隣の奴より早く終わりたくなくてまだ走ってる奴。

勝ちたいのかと聞けばきっとみんな、「別に?」と答える行動を本能的に取ってしまう。


そう、ここアメリカでもそんな勝者のない見栄の張り合いがジムで行われる。

今日も隣に金髪男がやってきた。自分より若干速い設定で走り出す。

こんな小さな戦いに巻き込まれるつもりはないっと思いながらも

”もともとこれくらい走ったら一段階速くするつもりだったんだよな〜”

とでも言う顔をしながら思わず速度を上げてしまう自分に反省する間もなく

隣で全く同じ行動をする金髪ムキムキ兄ちゃん。

結局、この実りのない戦いの中全員が若干の無理をしながら筋トレをする。

むしろこれがジムで運動する事の効果なのかもしれない。

 

しかし、そんな小さな男達の小さな戦いが渦巻くジムの中、

うちのポッチャリインド人ルームメイトだけは器が違う。


圧倒的にスローな設定で走り出し、圧倒的に短期間で終了する。

そこには他の男に勝つや負けるの小さな次元ではない。

むしろ、みんな俺に見習って俺くらい運動しろよ、の空気をかもし出す。

しかも、ちゃんと仕上がった感の出た汗をしっかりかいている所も見逃せない。

さらに、ちゃんと汗をかいてちょっと息を荒らげながら、ちゃんとジム内にいる女の子の前だけ通って自分の部屋に帰る営業スキルも見逃せない。


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