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「黒大根」のこと。

2023年の冬、なぜか育てる農家さんが激増しているのが「黒大根」。皮が黒く中は白いヨーロッパ原産の大根です。

写真のものは丸い形をした「黒丸大根」。オガクロに入荷したことはありませんが通常の大根のように細長い形をした「黒長大根」もあるようです。

「デススターやな…」と呟くと歳がバレます。

「フランス料理ではポピュラーな野菜」だと紹介されていますが日本にはまったく馴染みがない…。やさいセットに入れたらビックリされても喜ばれるかどうか微妙です…(笑)なので今回は黒大根の特徴や料理のヒントをご紹介します。

黒大根

黒大根は英名「Black radish」とそのまんま。スペインが原産地のひとつと言われていて「Black spanish radish」と紹介されていることも多いです。

通常の大根に比べてパサパサしていて辛味が強く、辛味大根に近い感じ。残念ながら子どもには受ける要素がまったくありません。なんなら大人も「これ?美味しいんか?」と首をかしげるでしょう(笑)瑞々しい大根に慣れている現代人には無理もないと思います。

でもここで挫折してしまったらもったいない!こういう個性的な野菜に触れることで、やさいの世界が広がっていくのですから!

平家大根との共通点

生の黒大根をかじりながら「これ、どこかで食べたことあるなぁ」と感じていてハッと思い出しました!「平家大根に似てるかも!?」

平家大根というのは800年以上前から栽培されていると言われる在来種の大根で、宮崎県椎葉村のクニ子さんが焼畑を続けながら種を守り繋いできた品種です。その種を雲仙の種採り岩崎さんが種を受け継いで育てていて、送っていただいて食べたことがあるんです。

この平家大根もなかなかクセのある大根で、水分は少なめで肉質は固く、辛味は強くて生でかじると鼻がツーンとしました。「原種に近い大根はこんなに個性が強いのか!」と衝撃を受けたのを覚えています。

一説には水分の少ない大根は寒冷地で自らが凍ってしまうのを防ぐために進化したのではないかと言われているそうで、黒大根も原種に近く似たような歴史があるのかもしれませんね。

平家大根ではありませんが、
岩崎さんから届く個性的な大根たち。
横川つばめ大根
左が雲仙赤紫大根、右は五木赤大根。

と同時に「いったいこの大根はどうやって食べたら美味しいんやろ?」と飲食店をしている友人といろいろ試してみました。

その結果、その時は「平家大根は漬物がおすすめ!」という結論に達しました。漬物にすると自然に黄色く変色して、何もしなくても「たくあん」のようになり、パリパリとした食感も良いし、辛味もマイルドになって食べやすくなっていました。

まずはサラダ!ですが…

さて、この個性的な黒大根をどうやって食べるか。まず思いつくのは生でサラダですよね。
黒大根は表面の皮だけが黒いので薄くスライスすると黒い筋が綺麗なんです。

中はすこーしクリーム色。繊維が強いのがわかります。
サラダにするとこんな感じで綺麗!ですが…

写真のように見た目は抜群!美味しそうー!
と勢いよく食べたら「辛らぁぁ〜!」となりました(笑)食感も固いんだか柔らかいんだか…。

レストランなどでサラダの飾りや味のアクセントに使うのは良いかもしれませんが、家庭でははっきり言ってサラダはあまりおすすめできません。

□2023/12/16追記
その後、別の農家さんの黒丸大根を食べてみたところ基本的な形質に違いはないものの、瑞々しく辛味もマイルド、生でも普通に美味しかったんです。辛味を覚悟して食べたので拍子抜けしてしまいました(笑)種の種類や生育環境、栽培方法などでかなりバラツキがあるかもしれません。

焼いたらどうかな?

次は焼いてみる!油を多めにして揚げ焼きのようにして焦げ目がつくまでじっくりと焼きました。

油多めで揚げ焼きに。
味付けは塩胡椒だけ。

食べてみると…これは…うまい!いける!
しっかり加熱する事で辛味が抜けて甘味が強く、食感もホクホクしていて芋のような感じに。後味に少し苦味を感じますが、中学生の子供も「結構うまい!」パクパク食べてました。

本場でもグリルは定番のようで、じっくり焼いてホクホク感を出して付け合わせにするそうです。

今回はスライスしてしまいましたが、大根は葉がついている方(茎)と根の方で食感や味わいが違うので、縦に切って調理した方がその良さを丸ごと味わえますよ。

生の大根にバター乗せ?

その後調べてみると、フランスでは黒大根の皮を剥いてソテーやグラッセにするのだとか。中は白いので皮剥いたら「ただの大根やん!」とつっこみたくなるのは食文化の違いなんでしょうね。

面白いのは「生でスライスした大根に生のバターを乗せる」という食べ方。さっそくやってみました!

意外ですが、美味しいです。
黒大根のクセがマイルドになって食べやすくなります。が、積極的に食べたいかどうかは…微妙。バターソテーなどは美味しいと思います! 

□2023/12/18追記
フランスではラディッシュ(二十日大根)に生のバターを乗せて食べる「Radis au beurre(ラディ・オ・ブール)」という料理(前菜のような感じ?)があるみたいです。ラディはラディッシュ、ブールはバターで、「ラディッシュバター」でそのまんま(笑)上から塩を振って食べるのが定番みたい。食文化の違いって面白いなぁ。日本の大根にバターの組み合わせもやってみても良いですね!

黒大根料理のヒント

結論としては黒大根は「揚げる」または「揚げ焼きにする」のがおすすめです。

しっかり熱が入った方が辛味もマイルドになり、ホクホク感も増すので、ジャガイモのようにランダムに切って揚げるのが1番おすすめかもしれません。塩胡椒だけでも十分美味しかったのですが、ソースで絡めたりしても美味しいと思います。

まー黒い皮が活かせるのか?と言われると微妙ですが。ヨーロッパの方で美味しい食べ方をご存知の方がおられたらぜひ教えてほしいです!

というか1番の疑問は「なんで今年、農家さんの間で黒大根がブームなんだろうか…。」ということ。今度農家さんに会ったら聞いてみよう。

大根は日本でも比較的歴史の古い野菜なので、各地にさまざまな個性あふれる品種が残っています。興味が湧いたら他の記事も読んでみてくださいね。

#固定種 #在来種 #種の自然農園 #岩崎さん #オガクロ #八百屋

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