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「源助大根」のこと。

■源助大根

種の自然農園の岩崎さんから届いた「源助大根」。もともとは石川県の伝統野菜のひとつで加賀野菜にも認定されています。

源助大根は金沢市打木町の農家、故松本佐一郎さんという方が、愛知県の井上源助さんが栽培していた白首大根(宮重系)の種を持ち帰り、石川県で栽培されていた在来の青首大根(練馬系打木大根と書かれています)から毎年種採り選抜して10年かけて育成した品種とのこと。

その際、井上源助さんがアドバイザーも務めていたことからこの大根を「源助大根」と命名されたようです。在来種や固定種は栽培されていた土地の名前がつくことが多いので、個人の名前がついているのは面白いですね。

■源助大根の特徴
栽培環境によって結構形は変わるので、パッと見ただけでは源助だとわからないこともありますが、本来は丈が短くずんぐりとした見た目のものが多いと思います。

岩崎さんの源助大根はこんな感じ。

岩崎さんは雲仙ですでに35年も種を継ぎながら栽培されていて、お便りの中で「そろそろ名前を変えても良いかもしれない」と書かれていました。でも源助大根という名前がすばらしくてそれ以上の名前が思いつかない、とも(笑)

■煮大根にすると抜群!

源助大根はなんといっても煮大根煮向いています!緻密な実は炊いても煮崩れしにくく、お出汁の味をしっかり含んでとてもジューシーになります。
なんといってもおでんが最高ですが、ふろふき大根にしてゆず味噌などにしてもこの大根の持つ良さが引き立って一般的な青首大根とはかなり違う美味しさを感じることができます。

このように源助大根はとても美味しい大根なのですが、流通するには難しさもあります。そのひとつが「とても割れやすい」ということ。

■包丁で切るより先に割れることも

以前、源助大根をたくさん栽培されている農家さんにお願いして送ってもらったことがあるんですが、段ボールに入っていた20本ほどの大根のうち7割が割れていたことがあります。

こんな感じて割れてしまいます。

だからといって運送会社の荷扱いが悪かったかというと必ずしもそうではなくて(そういう理由もあるとは思いますが)この大根はとにかく実が詰まっていて、すこしの振動でもパコっと割れたしまうんです。

それは包丁を入れる時にもわかるのですが、包丁を入れて切る前に自ら割れていくこともあるぐらいです。スイカやキャベツでもそういうことありますよね。

オガクロのような八百屋であればそのような特性を理解して販売できるのですが、一般的なお店では全て訳ありや廃棄になってしまうかもしれません。このように流通に向かないという理由で美味しい野菜たちがどんどん姿を消しているのが今の世の中です。

源助大根も栽培しやすく流通にも向く青首総太大根の台頭で、平成7年から8年頃にはたった1軒の農家さんまで減ってしまったそうです。それでもなんとか栽培を続けて平成9年に加賀野菜に認定されてからは栽培農家も増えているそうです。

■オガクロやさい料理のヒント
瑞々しい源助大根は生でも美味しい。短冊切りや拍子切りにしてサラダでパリパリ。少し塩をしてしんなりさせてから使ってもまた違う美味しさを感じられます。

でもやっぱり真骨頂は炊きものです!味しみしみのおでんやふろふき大根にしてゆず味噌は是非試してもらいたいです。一般的な青首大根とは一味違う美味しさを実感できますよー。

実は油で焼いても美味しいのがこの大根。
厚めに切ってゆっくりじっくり両面焼いた大根ステーキはジューシーでボリュームも抜群!お肉に負けないメインディッシュになります。
一度炊いて柔らかく味の染みたものを焼いてもまた違った美味しさ。最後にお醤油やバター、七味などを加えると味にバリエーションがでるのでおすすめです。

■食べることで守る。

美味しい野菜を残していくためには、多くの人が美味しい野菜に出会って美味しかったことを伝えていくことが大切だと思います。そうすればその野菜は誰かが種を繋いでくれて守られていきます。

届いた大根が割れていたとしてもクレームにするのではなく「どうせ切るから一緒やな」とか「半分になってて冷蔵庫に入れやすいわー」などおおらかな気持ちで受け止めて、まずは食べてみてください。そうすればやさいの世界がまた少し広がるかもしれません。

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