休職日記37
うんがついた。
運じゃなくて、ウンチのほう。
わたしじゃなくて、同居人氏2のひざに、ついた。
正確には、「同居人氏2のひざの上に、電線に止まっていた鳩からフンが落ちてきた」ということ。
そんなことある?ってことが、日常にはたまにある。
こんなことあるんですねえ。
お昼ごはんを買いに、自転車でちょっくら隣町まで行ってくるよ、と言ってくれた同居人氏2。
ありがとう、悪いねえ、と、相変わらず腰の痛い同居人氏1とともに玄関で見送って、数分後、バタンと玄関が開く音がした。
ん?と思うと、同居人氏2の姿。ニヤニヤしている。
やっぱりまだおしりが痛かったんじゃろうか、それで自転車に乗ることを諦めたんじゃろうか、と思っていたら、
見てよ、これ。
と、右膝を指さしており、そこには、べっちょり、立派な鳩のフンが。
あまりの出来事に、同居人氏2もニヤニヤするしかなかったらしい。
わたしたちも驚いて、なんでそんなところに?という疑問と、なんという奇跡、という感嘆とで、へらへらした顔になった。
入念に膝の鳩のフンを拭き取り、アルコール消毒までして、再度同居人氏2は出発していった。
同居人氏2が出発後、また、昨夜からむくむくと湧き上がっていた不安が抑えきれなくなり、携帯で動画をみていた同居人氏1の横に、ちょこんと座る。
座ると同時に、ほろほろ泣いて、またいつもと同じようなこと、どうしてわたしは頑張れないんだ、とか、役立たずだ、とか言って、うじうじした。
同居人氏1はその姿をみて、爆笑して、
はいはい、大丈夫だよ、大丈夫。いま◯◯(わたしのこと)が大事にするべきことは4つだけ。いい?
自分を守ること。好きなことをすること。死なないこと。ゆっくり休むこと。これだけ。これだけしてれば、あとは何も心配しなくていいんだよ。
と言った。
そして、
はい、今言ったことをおさらいしてみましょう。自分で言ってみて!
と言うので、
蚊の鳴くような声で、しなないこと、じぶんをまもること、すきなことをすること、ゆっくりやすむこと、と、唱えた。2回、しっかり唱えた。
大丈夫。いま◯◯がこの家にいることで、何も迷惑かかってないよ。
それにそのうち株で儲けるから安心して!
と、同居人氏1はニコニコしながら言った。
株で儲ける、の部分には同意しかねたけれど、ありがとう、と言って、わたしはいつもの心持ちに戻ることができた。
そうこうしているうちに同居人氏2が帰ってきて、3人で、買ってきてくれたお昼ごはんを食べた。
食べてるときに、同居人氏1が、同居人氏2に、
さっき◯◯がさ、「おぱんちゅうさぎ」になっちゃったんだよ。
と、報告していた。
「おぱんちゅうさぎ」というのは、ご存知の方も多いかも知れないけれど、Twitterで大人気のキャラクターで、ぱんつを履いていて、いつも泣いていて、いつも不幸な目に遭ううさぎのことである。
そのあとも、同居人氏1は、Twitterをみながら、
みればみるほど◯◯とそっくりだ!
と言い、同居人氏2も、
ほんとだ。
と言っていた。
そのため、我が家では今後、わたしがうじうじし出したら、
「おぱんちゅうさぎが出た」
ということにした。
ちなみに、いま腰を痛めている同居人氏1のことを、同居人氏2は、
「へっぴり腰のへっぴりうさぎ」
と言い放ち、怒られていた。
うじうじするくせに、ごはんだけはちゃんと食べるなんて、って自分で自分のことを思ったけれど、またおぱんちゅうさぎが出そうになったので、やめた。
こうして天皇誕生日の、晴れた祝日が暮れてゆく。
明日は、おぱんちゅうさぎが出ないといいな。
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