ご案内します(復職日記2)

お伺いします。
かしこまりました、ご案内します。


この2つが、わたしが仕事中によく口にする言葉だ。


昨日は、ちいさなご利用者さんから、ちいさな声で、

〇〇の作り方がわかる本はありますか?

と、聞かれた。

かたわらには親御さんがいらして、頑張って自分で聞いてごらん、と言われて、頑張って話しかけてくれたんだと思う。


わたしは司書資格がないし、働いて間もないので、こういうときは、先輩にバトンタッチする。


少し待ってもらってもいいかな?いま探してきますね。


と、ちいさなご利用者さんにお伝えし、先輩の司書さんにかくかくしかじか説明をして、本を探してもらった。


ずばりこれ!という本は残念ながら見つからなかったけれど、いくつかご提案できるものが見つかった。やっぱり司書さんは、すごい。


この前は、ちいさなご利用者さんに、


何してるのー?


と聞かれた。


本棚をお片付けしています。


と答えると、


この本読んでいい?


と言われたので、


どうぞどうぞ、あちらにお席があるからご案内します。


と、子ども用閲覧席までお連れした。


親御さんは、すみませんすみません、と謝っていたけれど、とんでもない。
話しかけてもらえて嬉しかったし、本を読んでくれるのも嬉しかった。


何してるのー?の子は、本を読み終わったあと、きちんと本棚に戻しに来てくれた。


片付けてくれてありがとう。助かります。


と伝えると、ぷいっと走っていってしまった。


わたしはどちらかというと、ご高齢の方や、小さな利用者さんとお話しするほうが多い。
見た目がちんちくりんだから、話しかけやすいのかもしれないし、わたしも、小さな利用者さんやご高齢の方とお話するのは、たのしい。


みんな、何かを探しに図書館に来ている。
目的が決まっている方もいれば、偶然を探しに来ている方もいるし、ただ時間を過ごしに来る方もいる。


それぞれがそれぞれの、見えない理由を持って、図書館に集まって、本を読んだり、調べ物をしたり、勉強をしたり、している。


図書館は、そういう自由を保障する場所だ。
たまには困った利用者の方もいるけれど、それも含めて、全ての人に開かれた場所だということだ。

そもそも図書館の仕事に応募した理由が、調子の悪いときに図書館に通っていて、いつ行っても本棚にはきちんと本が置かれていて、それは図書館員の方がきれいに並べ直してくれているからで、それによって本との偶然の出会いがあったりして、それってすごいなあって感動したんです、という理由だった。


本は自動的に本棚に戻るわけじゃない。
地味で力のいる作業で誰にでもできることだけれど、それをこつこつ怠らないことで、図書館に集まってくれた人々が、快適に過ごすことができる。


声をかけてくれた小さな利用者さんに、本をちゃんと手渡せたのも、この地味な仕事のおかげなのだ。


明日からは3連勤。
復職後はじめての連勤だから、ちゃんとできるか心配だ。
でも明日もきっと、小さな利用者さんは来るし、ご高齢の方も来るし、勉強しに来る方もいるだろう。


明日はどんなご案内をすることになるのかな。
みなさんに快適に利用してもらえるように、地味な仕事を、こつこつできたらいい。

投げ銭?みたいなことなのかな? お金をこの池になげると、わたしがちょっとおいしい牛乳を飲めます。ありがたーい