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夏休み

学期の終わりには校長と面談があり、今現在の自分の仕事の習得状況や困りごとなどがあれば報告していい場という風に聞いていました。
とはいえ、調理員の私は給食室から出ることはほとんどなく、朝や帰りに顔を合わせる程度のほとんど接点のない校長に何を相談すればいいのか。

仕事の内容だって教職の先生方にとってはまったく未知の領域なわけで。保菌検査もしないので基本的に校長が給食室に入ることはありませんし、普段どんな業務を行っているか知ることもありません。

こういう状況ですから、面談はしましたが自分の本当の気持ちや感情は全て隠して

「大丈夫です。皆さんとてもよく指導してくださいます。まだまだ足を引っ張ってばかりなのでミスしないように一日過ごすことが今の目標です。」

今にも泣きたい気持ちを押し殺して当たり障りのない会話をしてやり過ごしました。

夏休み前の最後の一週間は早く終われと指折り数える日々。
余計な会話をすると叱責を受ける可能性があるので、雑談には一切加わらず、業務上の疑問や質問以外は無言でただひたすら終業時刻まで予習復習、仕事のやり残しがないかの確認。

終業時刻が来れば一目散に着替えて逃げるように退社。

この頃は帰宅するなり布団に倒れこみ一時間ほど仮眠をとらないと全くと言っていいほど動けない。
さらに翌日の仕事のことを考えると涙があふれてしまい、子供たちがびっくりしてしまうだろうからとトイレにこもって気持ちが落ち着くのを待ちました。
朝になれば「辞めたい…」
通勤中には、「このまま道路に飛び出せば仕事行かなくてよくなるかな…」
とうっすら考えることも一度や二度ではありませんでした。

夏休み中にも数日出勤日はありましたが、本来の業務外の仕事でほぼ清掃のため、出勤はそれほど苦ではありませんでした。
先輩たちの風当たりも普段よりはリラックスした雰囲気で悪くありませんでした。
だいぶ慣れてきたし、夏休み開けたらまた新しい気持ちで頑張れるかもしれない…
小学生の子を持つ親としては、夏休み期間に子供と一緒にお休みをとれる仕事というのもとてもありがたいと感じていましたし、休みが明ければ気分も変わってまた前向きに仕事と向き合えると思っていました。


そして楽しい夏休みもあっという間に終わりが近づき、給食開始まであと数日。


…結局、仕事に対する後ろ向きな気持ちはあまり変わりませんでした。


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