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せっかく雇った高学歴社員はなぜやめてしまうのか

4月といえば出会いの季節です。
会社であれば就職や転職で新社員が入ってくる時期でしょう。
しかし、この時期にこういう話を聞く機会もあるのではないでしょうか。
「社長が方針転換して、いい大学を卒業した社員を採用しだしたのだけど、話がかみ合わず1年もたたないうちに転職してしまった。」
頭がいいはずの子を雇ったのに業務で全然使えないし、コミュニケーションもうまくいかない。
結果的にコストをかけた折角の人材を逃がしてしまった。
今回はそういうことが起きる原因を、コミュニケーションの面から私なりに言語化してみようと思います。

そもそもコミュニケーションがうまくいかない理由とはなんでしょうか。
大きな原因として私が考えているのは「思考と言語化の過不足」です。

事例を一つ出します。

今日は会議があります。
あなたと後輩(高学歴)は議事録の作成を命じられています。
議事録作成は毎回紙にメモをとり、それの要点を抽出して作成しており、2時間ほどかかる面倒な作業です。
そろそろ彼も仕事に慣れてきたことだし、今日は後輩にメインの記録を担当させ、自分は補足をしよう、とあなたは考えました。
そこであなたは後輩に
「今日の議事録の記録をやってみてよ。足りないところはあとで補足するから。」
と伝えました。

会議が始まりました。
すると後輩はスマホを取り出して机の上に置きました。
そしてスマホでメモを取り始めました。
会議も始まってしまっているからその場で何も言えず、会議は終わりました。
片づけをしていると上司から呼び出され、会議中にスマホを取り出すのは印象が悪い、もう少し後輩の教育をちゃんとしなさい、と怒られてしまいました。
片付けも終わり後輩に声をかけるともう議事録はできたと言っています。
しかし、上司の手前怒らないわけにもいかないあなたは
「やり方をもうちょっと考えろ。」
と怒ってしまいました。
後輩はあまり納得いかない様子で
「議事録はきちんとできているのに何が問題なのですか。しかも今まで2時間以上かけていたものが30分もかからずにできているのですよ。」
「会議中にスマホを机の上に出す奴があるか。」
と、すっかり言い合いになってしまいました。

さて上の事例はまさにコミュニケーションエラーなわけですが、何が悪かったのでしょうか。
今時、議事録などは音声から簡単に文字起こしもできますので、セキュリティの観点をひとまず置いておけば後輩のやり方は効率の良い仕事の仕方になっているでしょう。
しかし、いい仕事をしたように見える後輩への上司の印象も悪くなってしまっていますし、先輩との関係も険悪になってしまいました。

この事例では、先輩の側に高学歴な後輩なら今までの自分のやり方や自社のやり方を見て、同じやり方ができるだろうという思い込みがありました。
相手をある意味過大評価でもあり、過小評価でもあります。
議事録作成は面倒だが誰でも同じやり方になる、面倒だがやり方まで変えるのもそれはそれで面倒だしこのままでいいだろう、というところで止まってしまっています。
だから、後輩にやり方の指示をしませんでしたし、上司に怒られた際も何も言えず後輩を責めなければいけなくなってしまいました。
しかも、そのあとの言い合いで先輩の言うことに言い返してくる生意気な後輩だなんてイメージまで持ってしまいました。
一方、後輩の側にも自分の思いついた案くらい誰でも思いつくだろう、という思い込みがありました。
だから、会議前に議事録作成の手法について先輩にも説明しなかったのです。
議事録作成が面倒なので、楽にやるためのツールを調べたのですが、周りのそういった知識がない人がどういう反応をするかを想定できませんでした。
この時代に机にスマホを置いて、それで議事録作成を行ったからと言って怒られるとは微塵も思っていなかったのです。
これも過大評価といえます。
先輩の社会人としての経験を過大評価しているのです。

同じ会議録作成は面倒という思考から二人の発想は違う方向に派生していきましたが、それをお互いの思い込みから共有しなかったために様々なところで悪影響が出てしまいました。これが「過不足」と表現した理由です。

同じ時間でも人は違うことを考えますし、考えられる深さや方向性も違います。
まずは、後輩や部下になった人、あるいは先輩、上司、同僚になった人がどのような思考回路で動いているのかを知るためにコミュニケーションをとることが大事ということですね。

そして、相手がどういうことなら考え付いていて、どういうことは考え付かないのかというのを捉えることが目線を合わせたコミュニケーションとスムーズな仕事につながると思います。
今までと違う性質をもった社員を雇った際は、そこに理解と適切なリスペクトを持つことが折角雇った優秀な可能性のある社員をやめさせないために大事です。

今回はコミュニケーションに関するところを書いたのですが、これに通ずる話として、よく言われる
「IQが20違うと会話がかみ合わない」
という話もあるので、これは別の記事に改めてに書こうと思います。

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