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米大統領選挙の振り返りと解説:一休みして、明日から新しいアメリカを作ろう

私は、ジョー・バイデンの勝利は、アメリカの勝利だと確信しています。そして初の黒人でありアジア系アメリカ人のカマラ・ハリスが副大統領であること、本当にすごいことです。どんな人でも「将来アメリカの副大統領になりたい」と言える、マイノリティーの希望といえるでしょう。本当におめでとうございます!演説にもあったように、”最初の副大統領ではあっても、最後の女性・マイノリティーの副大統領にはならない”はず。

ただ、これからが本当の戦いになると思います。今は安堵のため息の時間を少しだけとって、明日から新しいアメリカを作ろう。

It's time to heal. It's time to unite as one America.
Let's all breathe a sigh of relief. Now let's get back to work and build.

大統領選挙2020について感じたこと

宮武です。今回は、「米大統領選挙2020」についての個人的なリアクションと解説を共有したいと思います。

過去にBlack Lives Matterについての記事を共有しましたが、当初公開するのに迷いがありました。これまでアメリカに住んできた経験や、アメリカの歴史を勉強してきたからわかること、そしてかなり尖った意見を伝えるのはやはり怖い。一緒にやってる草野さんにも背中を押され、公開することを決めました。

Off Topicでは今のアメリカの状況や思いを伝える義務があると思ってます。今回の記事もBLMの記事と同様の恐怖感がありますが、これまで大統領選挙について話してこなかった後悔とこれほど重要なタイミングはないと思い、記事を書くことにしました。

私はトランプほどアメリカの民主主義のシステム、アメリカの誇りをこれほどまで崖っぷちまで追い込んだ大統領はいなく、今まで以上にアメリカを二つに分裂させたと思います。アメリカという国の4年間の理想や思いを踏みにじる耐えられない時間でした。

日本のメディアではあまり報道されていないトランプのスキャンダルをまとめた動画があるので、ご覧ください。

ただ、バイデンの勝利は正直最悪のケースを免れただけ。今回の記事は私のの気持ちを共有するとともに、今回の選挙のブレイクダウン、なぜこれほど接戦だったのか、そしてこれからアメリカが立ち向かわなければいけない課題について話したいと思います。

過去のBlack Lives Matterの記事やツイートで明らかだと思いますが、私はトランプが好きではありません。もし投票権あればバイデンに投票するでしょう。これまでの記事と同様、バイアスがかかった内容になること、私自身がこの内容についてのエキスパートではないですが、できる限りエビデンスや合理的に考えて解説をするようにします。

そしてバイデンのスピーチで語ったように、アメリカはまず一つにならなければいけない。

大統領選挙中に感じた期待と恐怖

開票日あたりからあまり仕事に集中できず、ひたすら選挙情報を見てました。New York Timesのサイトを4つ、CNNのサイトを2つ、そしてCBS News、ABC News、Fox Newsを同時に複数パソコンで流しTwitterでも選挙系のアカウントの情報もチェックしていました。

実際に多くのアメリカ人は選挙当日は寝れなかったと睡眠スタートアップのOuraがデータでも証明している。

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引用:The New Consumer

これまでの4年間待ち望んてきた変化への期待、と同時に4年前の繰り返しになる恐怖感を感じながら選挙を見始めました。そして選挙日の当日はその恐怖が終わらなかった。バイデンのキャンペーンマネージャーは最初、特に初日は共和党寄りになることを覚悟していたが、正直私含めて多くの人は初日の結果にはかなりガッカリした。フロリダやオハイオ州をトランプが勝ち取り、誰も今回の選挙では変わると期待していなかったが、民主党寄りになっているテキサス州もトランプが勝ち取った。

私が期待してたのは「バイデンの圧勝」だった。しかしトランプ優勢。これだけの接戦という時点でアメリカは負けたと感じたのが正直な気持ち。

そしてこうなるとある程度予想出来ていた民主党組も、上院と下院選挙の結果は読めてなかった。初日が終わって明らかになったのは下院選挙は民主党が勝ち取るが共和党がかなり籍を取り返せたところと、上院選挙は民主党が思ったほど勝ち取れなかった(最終的に最後の重要なジョージア州の2票は1月に決定される)。これはバイデンが大統領になっても、権力を発揮できなくなる現状を作ってしまった。

しかも上院選挙も下院選挙のほぼどの州でも民主党が共和党よりお金を集められた。それを考えると、今回はバイデンが大統領になったのは最悪のシナリオを民主党が免れたレベルとなる。

記者会見ではアメリカの大統領がエビデンスもなく嘘を言い続けた。MSNBCは途中で入り込んでトランプの嘘を指摘したり、多くのメディア企業がファクトチェックをしたり、途中で中継を止めた。

様々な人ががあの記者会見の後にコメントをしたが、CNNのジェイク・タッパーの言葉が個人的にかなり響いた。

それ以外にコメディアンのスティーヴン・コルベアのコメントにも同感した。

アメリカで最も重要視する民主主義をトランプが殺そうとした。

しかもこの流れが行われることをバーニー・サンダーズが予想していた。

ここ数年間、毎日のようにトランプがスキャンダルを起こす中で、私も含めて多くの人がトランプをバカにして笑っていた。ただ、数週間に一回は個人的に本当に悲しくなった。世界で最も権力がある人、私が大好きなアメリカを代表する人が自分が考える理想的なアメリカ像をぶち壊していた。例えばAxiosのジョナサン・スワンとのインタビューだが、色んな人が見てそれを笑ったが、個人的には吐き気しかしませんでした。

最終的にバイデンが選ばれて喜んだというよりは、とりあえず一安心したぐらい。バーニー・サンダーズのリアクションが自分の思い通りだった。

アメリカの特に大都市が結果発表で喜ぶ中、まず今回の選挙のブレイクダウンをしたいと思います。

米国建国史上最高の投票率、大統領選挙のブレイクダウン

まず、結果から。この記事を書いている2020年11月8日現時点では全ての結果が入っていないが、バイデンが大統領として選ばれたと全メディアが発表している。

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引用:New York Times

残りの州ではバイデンがアリゾナとジョージアでリードを持っていて、トランプが恐らくノースカロライナとアラスカを勝ち取るので、結果としてバイデンが306、トランプが232が最終結果と予想されている。もちろん再集計や訴訟次第で結果が変わるかもしれないし、もし不正投票のエビデンスが出た場合はどうなるかが分からない。ただ、今現在は不正投票のエビデンスもなく、基本的に再集計では数百投票の違いしか生まれない中、バイデンが恐らく第46代アメリカ大統領となる。

今回の選挙で上がった質問や投票データを踏み込んでみよう。

本当に不正はなかったのか?
現時点では、不正投票のエビデンスはない。トランプが発言している「選挙後に投票が届いている」話自体は普通にあること。州によって若干ルールは違うが、基本的に選挙日当日(アメリカ時間の11月3日)までに郵送などで投票を送っていればカウントされる。過去だとよくあるのが海外に住んでいる軍隊に所属するアメリカ人の投票があとで届くこともある。今回はコロナの影響で多くの人が郵送にて投票したため、USPS(アメリカ合衆国郵便公社)がかなり大変だっただろう。

そして州によって集計が当日できなかったのも明確な理由があります。全州では事前投票をすることが可能だが、その投票がいつプロセスされて集計されるのかは州によって違う。「プロセスされる」と言うのは、集計準備のために事前に投票の紙を封筒から取り除いて効率的に集計できるようにすること。例えばペンシルバニア州では州のルール上、選挙日の当日からしかプロセスと集計を始められなかった。

トランプや一部の共和党の人たちはペンシルバニアの集計が遅すぎて、集計を止めるように指示を出していたが、そもそもペンシルバニアは今年ルールを変更しようとした際に、共和党がコントロールする自治体でそのルール変更が認められなかった。

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引用:CNN、New York Times

先程紹介した動画でバーニー・サンダーズが語ったように、今回はコロナの影響で多くの人が郵便投票を行った。その中で、傾向として郵送した人たちの多くは民主党派で、当日投票場所にいって投票した人たちの多くは共和党派。それはトランプ自身が語っていた「郵送での投票は不正が多い」言葉に影響されたとも思われる。結果として郵送投票は8割ほどバイデンに投票してた。大体どの州も先に当日投票場所にきて投票した人たちの紙を集計するため、トランプがリードしているように見えたものの、郵送投票を後々集計し出してバイデンがトランプのリードを縮めて、州によっては逆転した。

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引用:New York Times

日本でも一時期Twitter上で不正疑惑がトレンドしていたが、今のところ見つかっていない。例えば「100%以上の投票率」の発言は恐らくウィスコンシン州とミシガン州での選挙登録している人数を実際に投票した人数と比較して、誰かが投票した人の数が上回ったと発言した。

元々のクレームだとウィスコンシンでの投票登録者数が3,129,000人しかいなかったのに、実際に投票したのは3,239,920人とクレームがあった。ウィスコンシン政府曰く、実際の投票登録者数は3,684,726人で、当日登録者数もいるので実際はもっといるはず。これは恐らくクレームで使われた数字が古い数字だったから。

ミシガンでは100%の新しい投票がバイデンなのはおかしいとクレームを出した本人がそのあと間違いがあったことを確認してツイートを消している。

そして一気にバイデンに投票が入ったと言う話も先ほど話した郵送投票のカウントは共和党の人たちは郵送投票をする人が少なかったから。

トランプが語る色んなところでバイデンの投票を後々見つけた話はエビデンスがない。そして投票プロセスが民主党が運営している話も嘘。実際に投票をプロセスしている場所は民主党の人も共和党の人も入っていて、外から中を見ることも可能。そして投票に間違いやわかりにくいものがあった際には民主党寄りの人、共和党よりの人、そして間にいる人が3人で話し合ったその投票をどうするかを決める。もし決められない場合はその上の層の管理者が決める。

さらに黒ペンか青ペンが勧められているのに、マーカーや赤ペンを渡されたと発言している人もいる。実際に投票スキャナーで読みやすいのは黒ペンと青ペンだが、赤ペンやマーカーを読み取れないこともない。そして最終的にはスキャナー以外に全投票を人のマニュアルチェックが入るため、それで集計されないことはないはず。

そもそもNew York Timesも記事で書いた通り、不正投票はかなりやりにくく、かなりリスクがある。

逆に不正投票ではなく、アメリカでは組織的投票妨害の問題の方が大きいと思っている。より厳しい投票IDのルール、ゲリマンダー、投票場所をある属性の人たちアクセスしにくい場所に置くなどで投票率を下げる仕組みを行う人たち(どちらかと言うと共和党の方が頻繁に行うが、ゲリマンダーは民主党も行っている)がいる。

結果としてもう一度言うが、今のところ不正投票のエビデンスはない。

それでは今回の選挙は誰がバイデンに投票して、誰がトランプに投票したのか?

属性別の投票割合
今回は基本的にNew York Timesのデータを活用します。この記事を書いている今現在ではバイデンは合計7,456万投票、トランプは7,039投票ある(どちらとも歴代最高)。

まずはベーシックな属性ブレイクダウン。

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引用:New York Times

・男性は若干トランプ寄り、女性はバイデン寄り。
・白人はトランプ寄り
・黒人、ヒスパニック系、アジア系などは圧倒的にバイデン寄り(特に黒人)
・年齢だと歳を取るほどトランプ寄りになっている
・教育レベル別だと大学を卒業している方がバイデンより

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引用:New York Times

・年収が上がるほどトランプ寄り
・結婚している人の方がトランプ寄り
・LGBTQはバイデン寄り

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引用:New York Times

・政治的に中堅にいる「Moderate」や「Independent」もバイデン寄り
・東海岸と西海岸はバイデン寄り、中西部と南部はトランプ寄り
・都心部は圧倒的にバイデン寄り、田舎になるほどトランプ寄り

より詳細情報や他のブレイクダウンはNew York Timesや他のメディアでも見れるが、個人的に注目したいのは若年層の黒人の投票。まず若年層の投票だが、2016年の年齢詳細別に見た時と、そこまで変わっていない(以下左は2016年の結果、右は2020年の結果)。

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引用:CNN、New York Times

そしてヒラリー対トランプの時も、18歳から25歳の投票だけを取り除くと、こんな感じになる。

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引用:Survey Monkey

これとほぼ同じことが2020年でも起きた。

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引用:Tufts University

特に重要な「Swing state(民主・共和両党とも支持基盤が盤石とはいえず、有権者のうち浮動票が多い州)」では、バイデンに投票した若年層は勝つのに重要な存在だった。

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引用:Tufts University

そして今回バイデンでの勝利宣言のスピーチでも言ったように、黒人の投票で勝ったのは明らか。特に若い黒人やマイノリティーの方々(アジア系、ヒスパニックなど)は圧倒的にバイデン寄りだった。

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引用:Tufts University

今後のZ世代やその下のアルファ世代は今まで以上のダイバーシティーを誇る世代となるので、白人寄りの共和党とすると、白人以外のグループにどうアピールするかが重要となる。

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引用:Tufts University

しかも過去のパイパーサンドラーのレポートであったように、若年層は人種差別問題や環境問題などの社会問題をかなり気にする世代なので、今のトランプが率ている共和党のアクションや発言(システマチックな人種差別は存在しない、温暖化を信じない)などを見ると、若者が何故バイデンに投票したかが分かる。

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引用:Piper Sandler

今後もどんどん新しい若年層が投票権をもらう中で、民主党と共和党の動きに注目したい。

そもそもなぜこれほど接戦だったのか?

世論調査の多くがバイデンの勝利を予想してた。最終的にはそうなったが、州によっては本当にどちらに転ぶか分からなく、おそらく再集計を行うレベルまでの差だった。これだけの接戦だったのにはいくつか理由があると思う。

多くのアメリカ人は社会主義を恐れている
まず、米大統領選挙がこれほど話題になるのは、3つ理由があると思っている:
1) 大々的な政治的な広告やコンテンツが許容され、多くの人がなんとなく政治の情報を得られているから
2) 24時間ニュース番組(Fox、CNN、MSNBCなど)がある中で、政治もカバーしているため、多くの人が認知できているから
3) 民主党と共和党の意見や方向性がかなり違うため、アメリカの方針が本当に選んだ党によって変わるから

アメリカでは「右寄り」や「左寄り」と言う表現、リベラルとコンサバ、そして民主党と共和党と、様々な形で政治的考え方を表現する。日本は基本的にどの党も民主党寄りの考えだが、右寄りと左寄りは何を示しているのか?まずはこちらも見てみましょう。

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引用:Medium

結果、どちら側も行き過ぎると悪い事例が多くなりがち。そして最近の民主党を見ると、明らかに人気な政治家はより左寄りの考えを持っている人たち。バーニー・サンダーズやアレクサンドリア・オカシオ=コルテスはまさにそう言う考えを持っていると共和党が思っていて、それほど間違ってはいない。多くのヨーロッパの国のように高い税金を国民に払わせて、アメリカ政府がかなりコントロールする社会、いわゆる社会主義を作ろうとしていると恐怖感を持つ方が多い。

アメリカはそもそも社会主義だったソビエト連邦と長い間戦ったため、社会主義と言う言葉に対する恐怖感を抱いている。後ほど共和党が信じていることについて話しますが、重要なのは社会主義の世界はアメリカの経済圏や個人の自由などを潰す要素になると信じている人も多いこと。そのため、トランプが嫌いでも、民主党の方向性に賛同できない人がアメリカではいるのは確か。

民主党もそれを理解しているのと、毎回選挙で重要な層の「independent」、いわゆる共和党派や民主党派と宣言していない人たちにとって、より中間のソリューションを提供していると見せなければいけない。バイデンが今回大統領候補として選ばれたのはその理由が大きい。民主党は大統領選挙、そしてアメリカの国民から受け入れられるためにはより共和党と民主党の間にラインをプロモーションしなければいけないと思った。そのため、バーニー・サンダーズは若年層には人気なものの、彼の考え方は社会主義に近くことになってしまうので選ばなかったはず。

以下2016年の大統領選挙候補者の政治的考えのグラフだが、誰が左寄りと右寄りかが分かります。ちなみに当時のトランプは発言によって右や左にブレることが多かったので、記載されていない。今では右寄りになっている。

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引用:CNN

実際に民主党の考えが恐れている人たちがいることについてサンフランシスコにいる起業家も語っている。

そうすると一部の方(恐らく上記当てはまるのは大学を卒業している白人)が民主党の考えを恐れているが、それ以外にどう言う理由があるのか?一番大きな理由に行く前に、まずは今回の選挙でバイデン含め色んな民主党派の政治家がダメだった点を話しましょう。

民主党のデジタル戦略がダメだった
アメリカの選挙ビジネスは本当にすごい。中でも広告事業が増加傾向になります。少なくとも2年に1回大きい選挙(下院選挙と上院選挙)がある中で、選挙コンサル、マーケットリサーチ、広告事業は非常に伸びていて、数年前からこの領域のスタートアップが増えています。

2016年の大統領選挙では$2.4B、下院・上院選挙で$4.1Bの合計$6.5B使われたが、2020年では合計$14B使われた。そのうち大統領選挙は前回の2.5倍以上の$6.6B、下院・上院選挙では$7.2B使われた。

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引用:Open Secrets

今回は特に民主党がお金を集められたため、かなり広告に力をかけた。

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引用:Open Secrets

それだけお金がある中、バイデンはテレビCMでトランプの約2倍ほどお金をかけた。特に重要な「Swing states」のペンシルバニア州、オハイオ州、フロリダ州、アリゾナ州、ノースカロライナ州、ミシガン州、ウィスコンシン州、ミネソタ州、ジョージア州、そしてアイオワ州などの数字を見るとその差が明らかになる。

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引用:New York Times

10月だけでバイデンはウィスコンシン、ペンシルバニア、ミシガンで$53Mの広告費用を払った(トランプは$17M)。ペンシルバニアでは10月のある週に38種類のテレビCMを出した。下院・上院選挙でも似たような状況で、民主党の多くの政治家はテレビCMにかなり力を入れた。

もちろん多くのアメリカ国民はテレビを見るので、テレビCMに投資するのは分かるが、2016年を思い浮かぶと、ケンブリッジ・アナリティカやトランプの選挙キャンペーンがどれだけFacebookに投資した影響があったかが分かっていた。なのに、なぜかバイデンや多くの民主党の下院・上院議員はデジタル広告にフォーカスしなかった。

一部のデータにしかならないが、トランプは広告費用のうち50%以上をテレビCM、47%をデジタル広告に使っている。バイデンは約66%をテレビCM、29%しかデジタル広告に使っていない。

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引用:Wesleyan Media Project

4月からのFacebookとGoogleの広告費用を見ると、後半にようやくバイデンが追いついたのが分かる。

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引用:Wesleyan Media Project

アレクサンドリア・オカシオ=コルテスさんも選挙後に下院・上院選挙で民主党が思った結果にならなかった一部の理由は民主党内の政治家のデジタル戦略が関わると語っている。

数名は選挙の最後の週にようやくデジタル広告を出し始めたり、効率的な使い方、効果的な使い方を知らない人が多かったと述べている。テレビCMに投資してデジタル戦略に投資しないのは今の時代となっては間違い。2016年の大統領選挙ではトランプの選挙チームはFacebookの広告担当者と一緒に戦略をしっかり立てていた。犬を飼いたがっているのか、銃を買いたいのか、結婚する予定なのかなど人の分析とカテゴライズをして、それに合わせて色んなシミュレーションやアルゴリズムを通してコンテンツに応じてどういうリアクションや行動をしそうかを検証した。

アメリカでは多くの州では明らかに民主党派、共和党派が決まったりするが、今の仕組み上だとアメリカの大統領選挙は16の州で決まると言われている。トランプのデータチームはその16州に住んでいる人たちを8つのカテゴリーに分けた。

一番投票しそうなカテゴリーはコア層(core trumpとcore clinton)。一番投票しなそうなカテゴリーは「deadbeat」と記載され、次に投票しなそうなカテゴリーは「disengaged」とカテゴライズされた。コア層と「disengaged」層の間、いわゆる投票するかもしれない人たちは説得すれば行動を変えられる人たちで、トランプ(共和党)派の人たちで投票するかも知れない層を「GOTV」(Get out to vote)、民主党はの人たちを「detterence」(阻止)と呼ばれていた。

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引用:Channel 4 YouTube

各カテゴリーに対して広告を作り、FacebookなどいろんなSNSやオンライン上で拡散した。このカテゴライズとコンテンツ配信に手伝ったのがケンブリッジ・アナリティカ。

16州の中では多くの黒人が「deterrence」としてカテゴライズされてたのが分かった。例えばジョージア州では州の人口の32%が黒人なのに、「deterrence」カテゴリーの61%が黒人だった。合計350万人の黒人が「deterrence」としてカテゴライズされた。ある地域では投票率が81%から55%まで下がった場所まであった。

詳細を知りたい方は以下動画をご覧ください。

そしてFacebookやオンライン広告以外に、大きな要素がトランプを人気にさせて、信者を作ったと思われるものがある。

それがアメリカのオルタナティブメディアと右寄りのメディア、そしてそのメディアとトランプが作る「真実サイクル」。

オルタナティブメディアとトランプが作る真実サイクル
どの大統領も嘘をついたり、ミスリードするようなコメントを言う。実際にオバマ元大統領の発言を見ても、約4分の1が嘘やミスリードしている。

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引用:Politifact

それと比べてトランプの直近のコメントを見ると、Politifactは72%のトランプの発言がミスリードしているか嘘かと判断している。

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引用:Politifact

大統領としての初日のアメリカ合衆国大統領就任式の天気(雨が降ってたのに降ってないと言った)や観客の数(過去最大と言ったが、オバマの時より数なかった)をはじめ、トランプが嘘をつくのはみんな慣れている現象。大統領になる前からトランプは嘘をつくレピュテーションがある。ただ、そこで気になるのは、トランプはどこから情報を仕入れているのか?トランプ自身も認めている大きな情報収集ソースはテレビ、いわゆるニュースメディアから。色んなオフィシャルなソース(FBI、CIA、DOJ等)から情報をもらえるのに、トランプのツイートや発言を見ると、明らかにテレビで見た情報をそのまま語っているのが分かる。

こちらアメリカ大統領の専用軍事機のエアフォースワンにトランプが記者と話してた時の動画。裏のノイズはFox Newsが流れている(途中で流れるコマーシャルはFox Newsでしか流れないもの)。

そして大手メディア以外に、トランプはオルタナティブメディアのBreitbartやInfoWarsから情報を仕入れているのが分かる。ミソジスト、外国人嫌悪、人種差別的なサイトであると批判していて、真偽のあやしいデマ、陰謀論、および意図的にミスリーディングな記事を発信、白人至上主義、反移民などの話題を多数掲載しているメディアとなる。トランプが大統領になった際にはBreitbartのCEOのスティーブン・バノンがホワイトハウスの戦略官に任命されたり、常にホワイトハウスの記者会見でBreitbartが優位な立ち位置や質問を優先されることもある。

そしてさらにひどいのはInfoWars。InfoWarsは2018年にYouTube、Facebook、Appleなどからコンテンツ配信を禁止されるほど間違った、悪質な情報を流しているメディアとなる。2012年のサンディフック小学校銃乱射事件は民主党が役者を採用して作り上げたもの、ヒラリー・クリントンが子供の性的人身売買を行っていると発言、アメリカ政府がペンタゴンの化学兵器を使って水道水を飲むとゲイになるようにしているとふざけたことを言っている。

噂によるとトランプもInfoWarsのファンで、InfoWarsを運営しているAlex Jonesさんは「InfoWarsの番組を放映して数日後にトランプが同じ発言をするのを見てすごいと思っている」と語っている。トランプがInfoWarsのファンだと信じたくはなかったが、実際に2015年にトランプは30分間、InfoWarsでインタビューを受けて、InfoWarsを褒めていた。

結果、トランプが情報収集して、それを発言するパターンが生まれる。自分の世界観に合う発言・コメント・動画をトランプが見て、ファクトをチェックせずにうる覚えで誰かにその情報を共有する。それがどんどん広がって最初の発言が信じられるようになる。

1. エビデンスがないクレームを誰かがツイートする
2. オルトメディアがピックアップして記事にする
3. 大手メディアがクレームが間違っていると報道する
4. トランプ大統領がピックアップしてファクトチェックをせずにツイート、もしくは口頭ベースでそれを発言する
5. 右寄りの大手メディア(Fox News、OAN等)がトランプの発言をファクトチェックせずにそのまま語る、もしくはその発言が正しいと報道する
6. 右寄りのメディアを見る多くのアメリカ人がトランプの発言とメディアの報道を見てクレームを信じ出し、メディアでインタビューされた際にそのクレームを言い出す
7. トランプが記者会見などでクレームについて聞かれたときに、「多くの人や多くのメディアがそのクレームを言っている」と発言して、責任を負わないのと、そのクレームが嘘だと言わない
8. トランプや「多くの人」がクレームを言い合っているおかげで、お互いをクレームのエビデンスとして主張し、クレームが真実になる

実例をベースに話すと、トランプが語る不正投票の話をしたいと思います。トランプは2016年の大統領選挙で人気投票で負けた理由は、何百万人もが不正投票を行ったからと発言している。今現在、その不正投票の疑惑を始めたのはグレッグ・フィリップスのツイートからと言われている(元々のツイートは消されているので、以下スクリーンショットとなります)。

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引用:BBC

ツイート以上のエビデンスは一切出さなかったが、その次の日にInfoWarsが300百万人の多国籍の人たちが不正投票をしたと記事をリリース、そしてそれが色んなオルタナティブメディアで広がった。

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引用:Politifact

もちろん多くのメディアはすぐにエビデンスがないことを指摘したり、これは嘘の情報と報道した。ただ、数週間以内にはトランプ自身がTwitterで不正投票についてツイートしはじめた。

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引用:BBC

実際に後々トランプはグレッグ・フィリップス自身も褒めたツイートを出している。

そしてその発言をFox NewsやOANなどがピックアップして、報道する。基本的には否定的なコメントは言わずに、トランプが語ったことをそのまま言う、もしくはトランプの発言が正しいと報道するケースが多い。以前話した2020年の選挙でトランプの記者会見で不正投票の発言をした際にMSNBCが途中で入り込んでファクトチェックを行ったが、Fox Newsはそのまま流して、記者会見後にはトランプの言葉を否定せず、そのままリピートしただけでした。

Fox Newsはアメリカで最も見られているケーブルニュース番組で、400万人弱が見ている。

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引用:Wall Street Journal

トランプの言葉をそのまま流したFox Newsだが、直近(11月10日)にようやく方針を覆した。ケイリー・マケナニー報道官がトランプが話している不正投票について発言していた際に、Fox Newsも途中で放送を止めて、「エビデンスを見せない限り、この放送は見せられない」とFox NewsのNeil Cavutoさんが語った。

上記動画のもう少しコンテキストが入ったものを見たい方はこちらをご覧ください。

アメリカのケーブルニュース業界では圧倒的にリーチを持つFox Newsだが、多くのアメリカ人はトランプの発言やFox Newsの発言を信じる。そして国民が同じような発言をしたり、Fox Newsがそう言う人をインタビューすると、トランプがクレームに対して質問されると「多くの人がそのクレームを言っている」と語る。このサイクルを一転すると、トランプとトランプ信者の中ではエビデンスのないクレームが真実に変わる。

結果としてトランプと似たようなソースから情報収集した場合、トランプはおかしな嘘つきに見えなくなる。本当の真実を唯一話す大統領に見えるようになる。

トランプは果たしてこれをわざとやっているかは分からないが、彼の発言を4年以上聞いている中で、トランプは基本的に言い訳ができるような発言ばかりするのが見える。コロナが「いつか消える」と語っても、それをいつかは教えてくれなかったり、「ワクチンはもうすぐ来る」と発言しているが、もうすぐの定義は誰も分からないのでトランプの発言自体は間違ってはいない。

そしてこのエビデンスのないクレームから真実へと作るにはもう一つの要素が必要。それは感情・気持ちをファクトに変えられる力。

気持ちをファクトに変えられるトランプと共和党の力
このパートは『Last Week Tonight with John Oliver』のホストを務めるジョン・オリバーが使った動画の話をかなりするので、ご興味ある方はこちらをご覧ください。

2016年の共和党の大統領候補者を確定する共和党全国大会をジョン・オリバーが見ていた際に気づいたことだった。それは、共和党が何かを信じる・感じるだけでその何かが真実になること。アメリカに住むのが怖く感じる、経済が悪化しているように感じる、アメリカが崩壊しているように感じるなど、エビデンスではなく感情を押し切る政治家がいた。そんな中、個人的に一番すごいと思った瞬間はトランプがアメリカの犯罪率が上がっていると嘘を言った後にその発言位ついてCNNの記者が当時議会会長だった共和党の元下院議長ニュート・ギングリッチにそれを問い詰めた時の回答。

まずはエビデンスを見てみましょう。FBI調査によると、1990年あたりからアメリカの全体の犯罪率は全国では下がっている。もちろん一時的に上がる都市の一部はあるが、全体的に下がっている傾向である。

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引用:Pew Research

ただ、ギングリッチがフォーカスしているのは一般のアメリカ人はこの国が安全とは感じてないこと。そして犯罪率以外にもリベラル(民主党派)の人たちはエビデンスをいっぱい持っていて、正しいかもしれないが、エビデンスより感情を優先すると言った。

これのすごいところは、ギングリッチはエビデンスがないのに、感情にアピールさえすれば国民を説得できると言っていること。それは感情を真実に変える力である。そうすると、ジョン・オリバーが正しく解説するように、政治家はスピーチやコンテンツなどを通して感情を作れて、感情が真実になり得るのであれば、政治家は真実を勝手に作ることが可能になる。

これはまさにトランプがやっていること。トランプの多くの選挙スピーチを見ると、感情を明らかに売り込んでいて、そのほとんどの感情は恐怖感。

このようにメディアや感情を活用してトランプは国民をエビデンスのない嘘を何回も信じ込ませることが出来た。それ以外に既存の大手メディアをエリート層と上手くポジショニングさせ、フェイクニュースとして呼んだり、ウォールストリートやエリート層ではなく一般人のために色々やっているといいながら周りにエリート層しかいない状況を作れたり、自分を勝者としてのブランディングを保てているのがトランプが2016年にヒラリーに勝ち、2020年にはバイデンとほぼ互角の戦いが出来た大きな理由。

とりあえず今回の大統領選挙でバイデンがトランプに勝ったが、今後はどうなるのだろうか?

これからどうなるのか?

選挙が終わった中、次の数週間、そして来年からどうアメリカが変わるのか?その質問に対してアイスクリームメーカー、そして政治活動を頻繁に行うBen & Jerry’sがサイトを作った。サイトでは経済的不平等の問題、人種差別問題、環境問題などこれから対応しなければいけない社会的課題を示している。

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引用:Ben & Jerry’sサイト

色んな面で考えないといけないが、以下は個人的に気にしているところ。

選挙の再集計と訴訟問題について
まず、いくつかの州では再集計が要求されている。再集計する前にトランプはリードしている州では集計を止めるように、負けている州では集計を止めないようにと矛盾したコメントを言っていたが、再集計自体を要求するのは別におかしなことではない。ただ、過去の再集計の結果を見ると、多くても数百投票が変わるレベルにしか至らない。もちろん郵送投票が多かったので、もしかしたら集計ミスが少し増えたかもしれないが、それで選挙結果が変わることは恐らくない。

では、次に訴訟問題について。トランプのチームは色んな州で複数の訴訟を出している。ただ、実際の訴訟内容を見ると、エビデンスもない、ただの時間の無駄の訴訟にしか見えない。既にいくつかの訴訟が取り下げられたのは、裁判所から「不正などのエビデンスが全くない」と発言している。例えばミシガン州では集計を止めるべき理由は、ある投票所で働いている従業員が違う人から選挙後に記入された投票券が集計されていると言う噂を聞いたからだった。それは伝聞証拠となるので、普通に法律的に原則として証拠にはならない。それを裁判長が指摘したときに、トランプ側の弁護士が適当な回答をした際に、裁判長も呆れているのが明らかだった。

そして直近トランプが語っているクレームは投票をプロセスする場所で本来は許されるトランプ側のオブザーバーが中の様子を見れなかった。以下はそれを指摘するトランプのツイート。

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引用:Donald Trump Twitter

もちろん、これが本当であれば許されるべきことではない。ただ、このツイートには二つの大きな間違いがある。まず、トランプがこのツイートで記載している「BAD THINGS HAPPENED WHICH OUR OBSERVERS WERE NOT ALLOWED TO SEE(我々のオブザーバーが見えないところで悪質なことが起きている)」発言に矛盾がある。そもそも何が起きているのかがわからなければ、悪質なのかがわからない。そして、より重要なポイントは、トランプの発言が嘘だったこと。この件で訴訟をペンシルバニアで起こした際に、裁判長とトランプの弁護士の会話が非常に面白い。

ダイアモンド裁判長:トランプ派のオブザーバーは投票をプロセスする部屋の中に入っていますか?
トランプの弁護士:部屋に入っている人数はゼロではない。
ダイアモンド裁判長:トランプを代表する人たちはその部屋にいるのか?
トランプの弁護士:はい。
ダイアモンド裁判長:だったら何が問題なのでしょうか?

実際に何が起きたかを追いたい方はこちらのスレッドをご覧ください。

さらにアリゾナでは数千人が不正投票を疑っていると言ったものの、それに関しての記者会見の前にトランプ側の人が観客に不正投票の事例を持っている人がいれば、直ちに情報を出すように要求してきた。

上記事例や、アメリカの今の現状をジョン・オリバーが解説してくれてます。似たような感情と解説だったので、個人的には驚きました。

結果として、今のところ不正投票の疑惑や訴訟に対してエビデンスがない。再集計や訴訟の対応で少し時間はかかるが、結果が極端に変わる可能性は低いと思われる。2021年1月20日にバイデンが次の大統領として任命される。

ただ、それまでの間はトランプのままと言うことも理解しなければいけない。

コロナ対策は来年まで待たなければいけない
トランプは選挙前に既にコロナの話は聞き飽きたと言ってたので、恐らく今後コロナ対策で新しい戦略を作る予定はない。そんな中、アメリカでは1日10万人がコロナ感染している状況となった。過去1週間でアメリカでは438人に1人がコロナ感染していることとなる。

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引用:New York Times

これを止めるのがまずバイデンの初仕事となるが、とりあえず来年までは感染者が増えてもおかしくない現実を見なければいけないかもしれない。

本来の党の思いや考え方を取り戻してほしい共和党の今後

そんな中、共和党から数名がトランプの投票不正の疑惑に対して批判の声をあげ、バイデンと一緒に仕事するのを楽しみにしていると発言する人もいる。恐らくここ数週間で共和党は徐々にトランプから離れようとするかもしれないが、今現在、そしてトランプほどのカリスマ性を持った人を前に出さない限り、共和党の一部の支持者はトランプしか応援しないはず。

共和党としては、これはかなり厳しい立場となる。トランプはホワイトハウスを出た後に、恐らく色んな訴訟を受けるはず。中には公務の執行を妨害する罪など、かなり深刻な罪を訴えられるはず。万が一トランプが負けたとすると、彼のアクションを許した全共和党の議員も有罪になる可能性もある。少なくとも共和党の信者は減るはず。トランプがそう言う状況に落ちいなくても、共和党は残念ながら本来の党の思いや考え方、ビジョンとは違う方向性に向かっているのは明らか。

アメリカで言う「Conservatives」、いわゆる右寄りの人たちは自由経済、強い軍事勢力、法律と権力を信じる考え。アメリカ政府では効果的な社会的制度やプログラムがあると思う一方、同時にお金の無駄で無駄なプログラムも多くあると思っている。超現実的でありながら、個人が自分の力で舞い上がれる社会を作れると考えている。これが個人的に思う、本来の「Conservatism」。

今現在の共和党はこの考え方にフォーカスしていない。今はLGBTQを悪質と思わなければいけない。教会に行って、周りの人がどれぐらいの頻度で教会にいくのかをカウントしなければいけない。温暖化をはじめ、科学的研究が詐欺や嘘だと信じなければいけない。貧民は全員フリーライダーだと思わなければいけなく、移民はアメリカの仕事を取りたい犯罪者だと思わなければいけない。教育や知性を恐れなければいけない。システマチックな人種差別が起きていることを認めない。そして何より重要な共和党の条件は、民主党を嫌いでないといけないこと。

もちろん民主党も党内で問題はかなりあり、民主党もより中間的に進むのか、若年層から人気を得られているアレクサンドリア・オカシオ=コルテスなど民主党内でもより左寄りの人たちを本当に応援するのか判断しなければいけない。ただ、共和党は民主党以上の問題を抱えていると思う。

アメリカは大好きだがアメリカ人やアメリカ政府を嫌う。それが、残念ながら今の共和党になってしまっている。個人的には共和党の本来のメッセージに共感できるポイントは多いし、恐らく多くの共和党の人たち、特に若者の共和党は今の共和党のメッセージに共感していないはず。願わくば彼らが新しい共和党を作って、本来の共和党の思いや考え方を取り戻してほしい。

“Dissent is the highest form of patriotism”

異議の発言は最も高いレベルの愛国心であると信じている。アメリカが生まれた理由は国教に反する思いがあったから。

最後に

今回の大統領選挙は色んな意味で疲れました。過去4年間で毎日のようなスキャンダル、ここ1週間の投票の集計とトランプが語り続けた嘘など、数々のストレスが溜まった。ようやくバイデンが大統領と決まり、彼の初回のスピーチでは希望と分かち合うメッセージを語った。アメリカはようやく、4年間の時を得て、一安心ができるようになりました。

@mad.com

Hope is in the air💙

♬ original sound - Mads

と思っていたけれど、実際は違う。7,000万人以上がトランプを選んだのは事実としてある。その現実を受け止めた際には胸が痛みました。マジで泣きそうになりました。投票した約半分のアメリカ人が自分の名誉とレピュテーションしか考えない人種差別主義者、無知、腐敗、性差別主義者、貪欲、そして平気にウソをつく人に投票した。2万回以上アメリカ国民に嘘をついて、大統領としての期間の約4分の1(285日)の日数はゴルフしていた。自分のホテルに大統領として宿泊してお金儲けをして、世界中の国民とリーダーがバカにした人でもある。そんな人にこれだけのアメリカ人が投票したのは、未だに信じられません。

でもその事実を受け止めないといけなく、それがアメリカなんだと理解しなければいけない。初の黒人大統領を2008年に選び、2020年には初の女性、黒人、そしてアジア系アメリカ人の副大統領を選ぶアメリカも存在すれば、その間に白人至上主義者を選んだのもアメリカなのです。

トランプ自身に色んな問題があったが、彼は特殊な例ではない。彼が大統領だったこの4年間で彼のメッセージや思いを共感し、トランプが大統領だから本来は影にしか存在しなかったグループがより全面的に前に出るようになった。アメリカの裏面を有効付けたのがトランプの最も大きな影響だと思っている。これが出てしまった以上、アメリカは今後色んな矛盾や課題を直さなければいけない。トランプを取り除いても、彼を受け入れた党やインフラは取り除かれない。解決の第一歩として、この結果、いわゆる多くのアメリカ人がトランプに投票して、トランプのビジョンに賛同したことを受け入れなければいけない。

そしてバイデンにとって1番の課題はこの分裂され国をどう一つにするのか。過去4年間のアメリカではどの出来事も政治化されてしまった。マスク着用ですら、民主党 vs 共和党の問題になった。アメリカでは代々敗北演説をするのが大統領選挙の伝統である。民主主義がワークしている証拠でもあり、アメリカが一つの国として進めるようになる。

@brutamerica

Though they’re not legally required, concession speeches have been a U.S. tradition for over a century. Here’s a look back ...

♬ original sound - Brut

今回はそうならない気がするので、アメリカが二つに分担されたままになりそう。ただ、アメリカを救うため、前進させるために一つの国としてまとめなければいけない。そんなアメリカをバイデン大統領とハリス副大統領が作れるように、みんなが貢献しないといけない。今回トランプを倒したのも、色んな人の貢献があったからこそで、その一部の人たち(例:ステイシー・エイブラムス)は既に次の選挙や問題に取り掛かっている。色んな人の貢献をマーベルのエンド・ゲームのシーンを思い返す。

バイデンさん、ハリスさん、おめでとうございます。一安心しました。そして、明日から、希望に溢れた、新しいアメリカを作りましょう。

Written by Tetsuro (@tmiyatake1) | Edited by Miki (@mikirepo)

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