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ホテルの部屋のダウングレードを自分から申し出た話@ペシャワール

2000年ごろから20年ほど年末の紅白歌合戦を見ていない。
理由は単純に、大晦日は日本にいないことが多いからだ。
年末年始は仕事が休みになるので、
これ幸いと海外旅行に出かけてしまう。

私がパキスタンにあるペシャワールに行ったのもこの時期だ。
ドバイからエミレーツ航空でペシャワールに行ったのだが、

ペシャワールの濃霧により飛行機が遅れに遅れて大変な目にあった。
冬にこの地方を訪れる人はスケジュールに余裕を。

多くの日本人は、パキスタンには観光に行かない。
暑いし寒いし汚れているし古いし危ないし臭うしうるさいし。
SNS映えを狙っている女子が泣いて逃げ出す修羅の国パキスタン。
海外旅行初心者殺しの国。私は好きだが。

そんなパキスタンの中でもペシャワールはやや異質の街だ。
ペシャワールはアフガニスタンとの国境にほど近い。
そしてペシャワールの住人はパシュトゥン人の割合が高い。
パシュトゥン人はアフガニスタンの最大の民族だ。

もともとはパシュトゥン人の土地だったこの地に
イギリスが勝手に国境線を引いて
アフガニスタンとパキスタンに分けた結果がこうなった。
だからペシャワールはアフガニスタンの雰囲気を残す
パシュトゥン人の街なのだ。

そんなペシャワールのホテル選び。
パキスタンは中国やインドと同じく、
外国人お断りのホテルが存在する。

追記
2023年9月現在、ペシャワールの多くのホテルは
外国人お断りになっていた。
ネットで事前予約しても泊まれない可能性があるので
メールなり電話なりで本当に宿泊可能かを
必ず確認しておいたほうがいい。

私が下記ペシャワールのホテルに泊まったのは
2019年12月の話。この時は宿泊できた。
追記ここまで。

一人旅でのホテル選びに際して、私はいくつかのポリシーがある。
・個室(ベッドルームやバスルームの共用不可)
・清潔で快適な寝具や水回り
・静か
・窓からの眺めがよい

日本のホテルだったらほとんど余裕でクリアする。
眺望に関しては、窓の外は隣のビルの壁とかが嫌なので
事前にグーグルマップで確認をしたり、
ホテルにリクエストしたりして好みの部屋を確保する。

しかしここはパキスタン。
安宿はもちろんのこと、中級クラスのホテルを予約しても
清潔さに問題があったり、水回りの設備が貧弱だったりと
予想を上回る不快要素があることを経験上知っている。

そう、私の経験ではパキスタンだけではなくインドやスリランカも。
中途半端に中級ホテルに泊まると、なんだか
値段に見合ってないクオリティだったことが多々あった。
もしかしたら当たり外れが多いのかも。そしてハズレばっかりだったか。

だから。
私は思い切って今回は高級ホテルに泊まることにした。
快適な滞在がしたかったからだ。
もう若くはない。金で快適さを買うのだ。

ペシャワールにはよさそうなホテルが2軒あった。
1軒は文句なしに高級。門からホテル専用の庭を抜け
エントランスまでたどり着くという隔離された世界。
しかしロケーションはやや不便。タクシー移動が前提。

もう1軒はそこまで高級ではない。中の上。
値段はそこまで高くなく、街中にあり便利。
1軒目の高級ホテルのベーシックな部屋とほぼ同額で
2軒目はスイートルーム(以下ゴイゴイスー)に泊まれる。

後者に決めた。
この際このゴイゴイスーに泊まってしまえ。
年末年始だし、豪華にいこうじゃないか。
金で快適さを買うのだ。

後から気が付いたのだが、ゴイゴイスーのゲストは
空港送迎の無料サービスを受けることができた。
予定より9時間もフライトが遅れて到着したのだが
空港では担当者が私を待っていてくれた。すまない。

ホテルの専用車、という名のオンボロなセダンで
無事にホテルに到着し、部屋に通された。
うむ。広い。豪華。ゴイゴイスー。
一人旅だがかくれんぼができそうだ。誰と?

かくれんぼができそうなゴイゴイスー部屋

窓の外を見ると、ペシャワールの雑踏が見える。
シャルワールカミーズ(パキスタンの国民服)の上に
防寒のショール?毛布??を肩にかけた男たちが
バナナを売ったりカレーを食べたりしている(トップ画像)。
異世界感がただよう。よき。

しかし悲劇はすぐに訪れた。
とにかく室内が寒い。
豪華な部屋と異世界とを結ぶ窓の隙間からは
寒風が部屋に入り込む。通気性抜群の窓で困る。

そしてエアコンが貧弱だ。
30畳の部屋に6畳用エアコン1台といった具合。
部屋の広さが完全に裏目に出ている。

さらにシャワーも悲劇だった。
お湯が出ない。すぐ出ない。
5分ほど待つとようやくお湯らしきものが出てきた。
と思ったら、1分ほどで低温の水に戻ってしまう。
さっきの温水は何かの幻だったのだろうか。

寒くてどうしようもないので
無理やり筋トレをして体を温めベッドに直行。
明日は部屋を交換してもらおうと思いながら入眠。

寒くて夜中に起きた。
夜中に停電があったらしく、エアコンが止まっている。
いやいやそれ困る。再びスイッチをオン。
エアコンが動き出した。
と思ったらエアコンが勝手に止まった。
エアコンも疲れているらしい。エアコンの反抗期だ。

翌日は朝一番で部屋の交換を要求。
次の部屋もゴイゴイスーなのだが間取りが大きく異なった。
交換先の部屋は面積が多少狭く、床がカーペットなので
多少は暖かくなることを期待した。

間取りが全然違うゴイゴイスー部屋part2

しかし悲劇は繰り返す。
やはり貧弱なエアコン、貧弱なシャワー、
何よりWi-Fiが部屋まで届かないのが困った。
廊下から居室までのアプローチが無駄に長く、
その分Wi-Fiの電波が弱くなってしまうらしい。
廊下に出れば電波が届くのだが、部屋だとどうにもならない。

パキスタンで現地SIMカードを買うのは結構面倒なので
私はなんとかWi-Fiでやりそごそうと思っていたのだが
そのライフラインが断たれてしまっては困るのだ。

追記
2023年9月、パキスタンで現地SIMを含む
モバイルWi-Fiを購入したが、手続きはスムーズだった。
ホテルのWi-Fiだけを使用するにしても
再度パキスタンに訪問予定がある人は
PTAに端末を登録したほうがお勧め。
詳細は下記リンク記事を参照。追記ここまで。

レセプションに詰め寄り、苦情を訴える。
「ゴイゴイスー部屋はもう他にはないYO」
部屋の交換はもはや無理の様子。

私は多くは望んでいないのだ。
暖かくてWi-Fiの使える部屋に滞在したいのだ。

「小さい部屋なら空いているけど差額は返金できないYO」
レセプショニストは代替案を提示してくれた。
確かに私は事前払い変更返金不可という条件で
ゴイゴイスー部屋を予約したので、
彼の提案はごもっともである。

いろいろ交渉する余地もあったのだろうが、
私の脳みそは半分凍っていて使い物にならなかった。
つまり面倒くさかった。

暖かい部屋だったらなんでもいいから引っ越しさせてくれ。
ということで、自分からダウングレードの申し入れ。

引っ越し先は部屋が狭い分、多少マシ程度な暖房能力で
Wi-Fiもなんとか使い物になるレベル。
最初からこっちでよかったのに
と思いながら過ごしたペシャワールの年末年始。



ま、ホテルは当たり外れがあるという話です。
当たりを得るために口コミを参考にしたりするが
日本語の口コミは
・絶賛ほめたたえ系(単純に喜びの到達点が低い人格者)
・うらみつらみ密告系(権利意識が強すぎる頭おかしい人)
・本当に一言しか言わない系(口コミの意義を知らない人)
この3つで7割を占めているので何とも・・・






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