見出し画像

心を整えてくれるは大げさではない | 「喜嶋先生の静かな世界」(著者:森博嗣)

こんにちは
イデアレコードの左川です。

最近、平日はいわゆるビジネス本的なもの、土日は小説などを中心に純粋に楽しめるもの、という形で読書をしている。そんな中、“心を整えてくれる小説 これまでも、これからも何度も読み返す本です”という帯に書かれた言葉に惹かれて読んだのが「喜嶋先生の静かな世界」。森博嗣さんの名前は映画「スカイ・クロラ」を観たときに知ってはいたが、著作を読んだことはなかった。が、読み始めてみると今まで読んでこなかったことを後悔するぐらいの感動であった。

文字を読むことが不得意で、勉強が大嫌いだった僕。大学4年のとき卒論のために配属された喜嶋研究室での出会いが、僕のその後の人生を大きく変えていく。寝食を忘れるほど没頭した研究、初めての恋、珠玉の喜嶋語録の数々。学問の深遠さと研究の純粋さを描いて、読む者に深く静かな感動を呼ぶ自伝的小説。

感動に包まれる自伝的小説

文字を読むことが不得意で、勉強が大嫌いだった僕。大学4年のとき卒論のために配属された喜嶋研究室での出会いが、僕のその後の人生を大きく変えていく。寝食を忘れるほど没頭した研究、初めての恋、珠玉の喜嶋語録の数々。学問の深遠さと研究の純粋さを描いて、読む者に深く静かな感動を呼ぶ自伝的小説。

amazon公式より抜粋

率直に好きと思える小説であった。

社会人生活も20年を超えるとだんだんと捻くれていき、若かった頃に抱いていた想いや純粋さみたいなものは薄れていってしまい、ほとんどなくなりかけている。が、「喜嶋先生の静かな世界」を読むと自分が失いかけているものが、再び形を取り戻していくような感覚を覚える。

人生というのは決して自分の思い通りにはいかないし、特に社会という中では自分というものをいかに出さないかが問われるようなことも少なくない。そのため、自分の想いに対して純粋にストレートに言葉を発することができる人は稀有である。

物語を通して自分自身も主人公と同じように喜嶋先生の教えを受けていくが、学生時代を遥か昔に終えてしまった自分としてはこれから学生時代を迎えていく人が羨ましいという感情も自然と高まっていく。だが、「喜嶋先生の言っていることはそんなことではない」とも同時に思ったりもする。そんな自分の中で繰り広げられる葛藤を通して、自然と心が整っていくような気がした。帯に書かれていたことは嘘ではなかった。きっと多くの人の「心を整えてくれる」であろう。というか、発売されてからはそれなりの年月を経ているので、すでに心を整えてきたであろう。

自分の娘にも読んで欲しいという想いを秘めて、そっと本棚に置いておくことにした。

この記事が参加している募集

#推薦図書

42,523件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?