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物事を因数分解する術が学べる | 「センスの哲学」(著者:千葉雅也)

こんにちは
イデアレコードの左川です。

千葉雅也さんという存在はずっと気になっていた。哲学に関する研究者でありながら、小説でも活躍したり…と何から読もうと思っていたのだが、「センスの哲学」が売れ筋ランキングで上位に入っているのを見て、本書から始めることとした。

服選びや食事の店選び、インテリアのレイアウトや仕事の筋まで、さまざまなジャンルについて言われる「センスがいい」「悪い」という言葉。あるいは、「あの人はアートがわかる」「音楽がわかる」という芸術的センスを捉えた発言。
何か自分の体質について言われているようで、どうにもできない部分に関わっているようで、気になって仕方がない。このいわく言い難い、因数分解の難しい「センス」とは何か? 果たしてセンスの良さは変えられるのか?

音楽、絵画、小説、映画……芸術的諸ジャンルを横断しながら考える「センスの哲学」にして、芸術入門の書。
フォーマリスト的に形を捉え、そのリズムを楽しむために。
哲学・思想と小説・美術の両輪で活躍する著者による哲学三部作(『勉強の哲学』『現代思想入門』)の最終作、満を持していよいよ誕生!

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さて、実は、この本は「センスが良くなる本」です。
と言うと、そんなバカな、「お前にセンスがわかるのか」と非難が飛んでくるんじゃないかと思うんですが……ひとまず、そう言ってみましょう。
「センスが良くなる」というのは、まあ、ハッタリだと思ってください。この本によって、皆さんが期待されている意味で「センスが良くなる」かどうかは、わかりません。ただ、ものを見るときの「ある感覚」が伝わってほしいと希望しています(「はじめに」より)。
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amazon公式より抜粋

哲学というジャンルに俗することから専門用語が多く、基礎知識が求められる小難しい本かなと思っていたら、そんなことはまったくない。むしろ哲学を知らない人でもわかりやすく丁寧に書いてある。また4章を超えると次に行く前に「前半のまとめ」があって、頭の整理が出来て次章以降の読解がスムーズになったりする。千葉先生はけっこう優しい人なんだなとを感じるのは自分だけではないはずだ。

自分自身は最初この本を「センスを良くする」ために読み始めたわけであるが、読み進めていくうちに「物事を理解するための因数分解のやり方を学ぶ」ことにだんだんと軸足が動いていった。センスという定義が難しいものに対してどのようにアプローチしていくのか、その過程が順次だてて論理的にわかりやすくまとめられているのが本書なのであるが、それをセンスにとどめておくのはもったいない気がしてしまう。ビジネスにおいて、特に提案書のようなストーリーが問われるものについては共通項が多く、活かしやすいはず。

哲学に興味のある方はもちろんのこと、ビジネスパーソンにもオススメです。

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