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「友だちは財産だから」財産づくりは愛ある行動?!11-2022/07/17

 クラウンの師匠まりちゃん(金本麻理子さん)たちのご尽力により、6月パッチ・アダムス氏(以下、パッチ)に会え、クラウンツアーに同行できてから早3週間。パッチの来日直前に、お誕生日祝い(パッチのお誕生日は5月28日)と来日を楽しみにしていますの手紙を書いた。そのお返事が7月の2週目に届き、先週は来日時に渡せた土産へのメッセージが書かれた葉書がパッチから届いた。なんと筆まめなお方かと恐れ入る。初のお返事は、パッチの筆跡が当方には判読むずかしく、英単語検索状態に陥ったが、肉筆の手紙やはがきの温かさが本当に染み入る。これなんだな、「愛ある行動」。それはそれは、心地よい気持ちになった。縁あってかかわれた人とのやり取りに心と時間を尽くす。そのための方法のひとつが、パッチは肉筆の手紙なのだろう。

 パッチとのクラウンツアーに行き、ワークショップにも参加でき、「愛ある人になると自分で決め、愛ある行動かと考える」そんなメッセージのひとつが私の記録に残された。パッチも(パッチだって?!)、きっといつもそうしているのだろうということを、義足をして初めて行ったクラウニングの話から私は感じた。パッチはカリスマだとは思うが、でも手の届かないところにいる超人ではなくて、目の前の人とのつながりに真摯に向かい合って最善を考える、ひとりの人なのだ。少なくとも私はそう感じた。だから、とっても好きになった。みんなが「パッチはすごい」というからではなく、だ。

 パッチのリアルな言葉の中で、私のなかで心に残っているのは、自分にとっての神様は友だちという言葉だ。私の理解が間違っていたらどうしようと思うが、パッチは友だちが大切と何度も話しているとまりちゃんから聞いている。ある宗教の神が友だちという意味ではないだろう。信じるのは友だち。大切に思うのは友だち。大切に心を込めて処するのも友だち。自分が心弱くなっているときに癒してくれるのも友だち。私にはそんなふうに受け取れた。
 友だちは、たくさんいなくてもよいけれど、友だちは大切とパッチはいつも話しているという。パッチは、医師としてうつ病の診断などしたことがなく、孤独がうつを引き起こすと話す。人を救うのは友だちなのだ。

 私は、母から「友だちは財産だから」とくりかえし言われて育った。なのでけっこうがんばって友だちを大切にしようと生きてきた。但し、それがいつもうまくいったわけではない(悲しいかな)。実はこの言葉を本当に実感したのは、親友と私が思っている一人の友人が乳がんの手術を受けると知った時だ。50代に突入していた。既に親きょうだいと死別している私だが、この友だちが「もしかしたら死んでしまうかもしれない」と思った時、その別れはとてつもなく辛いものに思えた。すでに別れた家族との比ではない。家族よりもつらい別れが、友だちとの別れなのだと思った。友だちが財産であることを心から実感した瞬間だった。

 パッチの言う「愛ある人」「愛ある行動」の「愛」という言葉は私にはこそばゆく、ほかの人にうまく伝えられそうにない(10-2022/06/27にも書いた)。どんなふうに表したらよいか、ずっと考えている。だが、友だちは財産と実感できたあの瞬間を思い起こすと、シンプルにその友が「大切な存在で愛おしい」ということに尽きる。

 還暦を超えて、友だち、とくに同世代のお誕生日を迎えるたびに、あなたの誕生日を祝うことができて嬉しいとメッセージしたくなる。友だちが元気に誕生日を迎えるその時を、共に祝えることが本当にうれしいからだ。母が享年59歳で他界した時、母の幼稚園からの友だちたちは、埋骨前の母のお骨を愛おしそうに抱きしめた。私はその姿をずーっと今も忘れられない。もしかしたら私たち家族よりも、だいじにだいじにお骨を抱きしめ最期の別れを愛おしんでいた。友だちは財産だからと友だちを大切にしてきた母だから、お骨になった母を大切に抱きしめてくれたように思う。

 「愛ある人」になることを自分で決め、「愛ある行動」をとろうと宣言するのは、私にはこそばゆくてできそうもない。だが、友だちを大切にする、そのためにできることを尽くす、そんな表現なら言えるような気もする。「友だちは財産だからね、大切にするのよ」と繰り返し言ってくれた母のおしえそのもののようにも思う。

 クラウンの赤ハナは友だちになる早道とパッチは言う。出会った人と友だちになり、その人を大切な存在として愛おしむ。クラウンでありたい私が、シンプルに日々取り組めることだなと、すとんと腹に落ちてきたかんじがする。
(表紙の写真は、6月24日パッチとのクラウンツアーのクラウン集合写真)

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