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ものづくりを就職活動の軸に据えている学生は、トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)を企業研究の対象から外すことはできないでしょう。なぜならトヨタが世界1の自動車メーカーだからです(*1)。トヨタを研究することは、日本のものづくり学ぶことにつながるはずです。

また、漠然と「大企業に入って世界で働きたい」と考えている就活生も、トヨタは魅力的に映るはず。なぜならトヨタは日本で最も大きいグローバル企業だからです(*2)。


就活生がトヨタ研究を始めるとき、この会社が巨大である点に注意する必要があります。トヨタは多様で多面的なので、部分部分を1つひとつ確認していき、それらをつなぎ合わせて全体像をつかむとよいでしょう。


なおこの記事の情報は2022年10月31日時点で公表されているものです。


*1:https://www.nikkei.com/article/DGKKZO63564060Y2A810C2TB2000/

*2:https://strainer.jp/companies


活動内容と概要


トヨタは自動車メーカーですが、自動車だけの企業ではありません。トヨタは自社のことをモビリティ・カンパニーと呼んでいます。

トヨタはモビリティに「可動性」という日本語訳をつけ、これを「移動の量と質を上げ、人、企業、自治体、コミュニティができることを増やすこと」と定義しています(*3)。

そこで以下では、自動車の部分と自動車以外の部分にわけて解説します。


*3:https://global.toyota/jp/company/vision-and-philosophy/philosophy/?padid=ag478_from_header_menu


会社概要


トヨタの会社概要は以下のとおり(*4)。


■会社名:トヨタ自動車株式会社

■代表取締役社長:豊田章男

■創立:1937年(昭和12年)

■本社:愛知県豊田市トヨタ町1番地

■東京本社:東京都文京区後楽1丁目4—18

■資本金:6,354億円

■株主上位3社:日本マスタートラスト信託銀行株式会社、株式会社豊田自動織機、株式会社日本カストディ銀行

■従業員数:単体70,710人、連結372,817人

■上場証券取引所:東京(東証プライム市場)、名古屋、ニューヨーク、ロンドン

■連結経営指標(2022年3月期):営業収益31兆3,795億円、営業利益2兆9,957億円、当期利益2兆8,746億円


ここらわかることは、トヨタは愛知県に本社を置く、東証プライム市場に上場している31兆円企業である、ということです。

なお、社長の豊田章男氏は創業家出身者ですが、豊田家は同氏を含めて株主トップ10にも入っていないので、トヨタはオーナー企業ではないといえるでしょう。


*4:https://global.toyota/jp/company/profile/overview/?padid=ag478_from_header_menu


自動車メーカーとしてのトヨタその1「最も多くつくる」


2022年上期(1~6月)の世界新車販売台数のトップ5は以下のとおり(*5)。

トヨタ・グループの台数にはダイハツの軽自動車と日野のトラックも含みます。


1位:トヨタ・グループ(ダイハツ、日野を含む):513万台

2位:フォルクスワーゲン・グループ(ドイツ):387万台

3位:現代自動車グループ(韓国):338万台

4位:日産系(ルノー・日産・三菱自動車グループ、日仏):313万台

5位:ステランティス(アルファロメオ、シトロエン、フィアット、プジョーなどの欧州勢):293万台


このようにトヨタは世界で最も多く自動車をつくっている会社です。ただ最近は、長らく年間1位の座をフォルクスワーゲン・グループと競っていて、この2グループが世界2強といえるでしょう。


自動車メーカーとしてのトヨタその2「連合艦隊」


トヨタの自動車製造を担っているのは、次の子会社などです。


■国内でトヨタ車をつくっている子会社など

●トヨタ車体株式会社●トヨタ自動車九州株式会社●トヨタ自動車東日本株式会社●株式会社デンソー●株式会社アイシンなど


■海外でトヨタ車をつくっている子会社など

●トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・ケンタッキー株式会社●トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・インディアナ株式会社●タイ国トヨタ自動車株式会社●ブラジル・トヨタ有限会社●広汽トヨタ自動車有限会社など


トヨタがセダン、ミニバン、コンパクトカー、SUV、高級車とありとあらゆる自動車をつくることができ、なおかつ、世界中でリーズナブルな価格で販売できるのは、このようなトヨタ連合艦隊が編成されているからです。


また、先ほど紹介したトヨタ・グループの販売台数には、ダイハツ工業株式会社の軽自動車と日野自動車のトラックも含まれています。

さらにトヨタと業務資本提携を結んでいる企業にマツダ株式会社(以下、マツダ)、株式会社SUBARU(以下、SUBARU)、いすゞ自動車株式会社(以下、いすゞ)、スズキ株式会社(以下、スズキ)があります(*6)。

トヨタに関係していない国内自動車メーカーは、本田技研工業株式会社(以下、ホンダ)と日産自動車株式会社(以下、日産)系くらいでしょう。


*5:https://www.nikkei.com/article/DGKKZO63564060Y2A810C2TB2000/?unlock=1

*6:https://global.toyota/pages/global_toyota/ir/library/securities-report/archives/archives_2022_03.pdf


自動車以外のトヨタ「金融も情報通信も」

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