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回転ドア、くるり

2021年5月31日をもって、霞が関での勤務を終えました。
在職中は関係府省庁をはじめ、地方公共団体、民間企業、団体、大学関係のみなさまに本当に、本当にお世話になりました。異動間際のあまりの忙しさに、これまでやり取りをしてきた方々の連絡先を振り返りまとめることすらできず、メールでのご挨拶ですらおざなりになってしまったことがたいへん心苦しく、お詫びとお礼の気持ちを込めて投稿いたします。

ともかく、なにより、今は解放感でいっぱいです。仕事が嫌で…とか、よくある霞が関のブラック体質に蝕まれて…といったことではなく、職場環境や人間関係は本当に良くて、いつも安心しながらものごとに当たることができました。これは本当に幸せなことでした。ただ、確かにやることは多くて、毎日毎日タスクを細かくしてただただこなしていく日々。一つ終えたと思ったら二つ三つ新しいことがぽこぽこ生まれてくるサイクル。一つ一つ、地味ではあるけれども確かに意味はあると感じながら、できるだけ丁寧に、周りに迷惑はかけないように進めていったところ。オーバーフローは日常茶飯事な状況から、ふと「もう何もしなくていい」状態にスパッと切り替わったことに、えも言われぬ解放感にふわふわと心身が浄化されていくような、そんな気持ちがしています。これまでやってきたこと(差し支えない範囲で)と、これからやってみたいことを整理するためにnoteします。

どこにいたのか

令和に入ってすぐの頃から丸二年間、内閣府で科学技術・イノベーションを所管する部局(2021年4月からは「科学技術・イノベーション推進事務局」と改称)に在籍していました。ここは「総合科学技術・イノベーション会議」Council for Science, Technology and Innovation(CSTI:通称システィ)という、内閣総理大臣、科学技術政策担当大臣のリーダーシップの下、各省より一段高い立場から、総合的・基本的な科学技術・イノベーション政策の企画立案及び総合調整を行うことを目的とした「重要政策に関する会議」の一つの運営・事務を所管する部局です。

特に重要な業務として、「科学技術・イノベーション基本計画」の策定、というものがあります。

https://www8.cao.go.jp/cstp/kihonkeikaku/index.html

平成7年に制定された「科学技術基本法」により、政府は「科学技術基本計画」(以下基本計画という。)を策定し、長期的視野に立って体系的かつ一貫した科学技術政策を実行することとなりました。これまで、第1期(平成8~12年度)、第2期(平成13~17年度)、第3期(平成18~22年度)、第4期(平成23~27年度)の基本計画を策定し、これらに沿って科学技術政策を推進してきています。そして、平成28年1月22日、平成28~32年度の第5期基本計画が閣議決定されました。総合科学技術・イノベーション会議は、この基本計画の策定と実行に責任を有しています。
 令和2年第201回国会において、近年の科学技術・イノベーションの急速な進展により、人間や社会の在り方と科学技術・イノベーションとの関係が密接不可分となっていることを踏まえ、「人文科学のみに係る科学技術」及び「イノベーションの創出」を「科学技術基本法」の振興の対象に加えるとともに、基本計画の策定事項として研究者等や新たな事業の創出を行う人材の確保・養成等についての施策を明示する科学技術基本法等の一部を改正する法律が成立しました。この法律により、「科学技術基本法」は「科学技術・イノベーション基本法」に変更されるとともに、令和3年度からの5年間を対象とする次期基本計画は、新たに「科学技術・イノベーション基本計画」として策定されます。「科学技術・イノベーション基本計画」は、「人文科学のみに係る科学技術」をその振興対象に加えるなど、「科学技術・イノベーション基本法」の内容を踏まえたものとなります。

この5年間の基本計画の策定と、その中に記載されている様々な重点施策の推進に向けた業務を、関係府省庁と連携しながら進めています。

その中で私は、基本計画の柱のひとつ「スマートシティの推進」を担当していました。

スマートシティってなんなのか

よく聞かれる言葉です。世の中に無数の定義・解釈が溢れています。スマートとは?シティとは?話始めると議論が尽きないのですが、日本政府としては基本計画の中でこのスマートシティの定義を以下の通り定めています。

我が国におけるスマートシティは、ICT等の新技術を活⽤しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)の⾼度化により、都市や地域の抱える諸課題の解決を⾏い、また新たな価値を創出し続ける、持続可能な都市や地域であり、Society 5.0 の先⾏的な実現の場である。

この「Soeity5.0」という社会像について定められたのが、4年前に制定された「第5期科学技術基本計画」。

このふわっとした社会像を、現実の世界に実装されたものを「スマートシティ」と称しており、その実現に向けていろいろやる(←雑)、というのが、これまでのお仕事でした。

政策の説明をしているとすごい分量になるのでほどほどにして…

あらためてこう書くと、とてつもないミッションを負っていたなと思います。いやもう全然やりきれているなど思っていなくて、どうしたらよかったのだろうかと思うばかり。が、個人的にはこの理念・理想を聞くにつけ、社会としてのある程度のビジョンは文字の上では整理されていると思っていて、これを塗り替えるようなビジョンを作れ、考えろと言われることに比べたら、このビジョンを信じて実現に向けて取り組んでいく方が遥かに安心感があるものです。心の拠り所ってだいじ。

これからどうしよう

勤務の期間を延長して続けるという選択肢もありました。けれども、半年くらい考えて、それはやめました。でも、このビジョンに向けた取組から離れるわけではありません。ここで考えたこと、やってきたことは、立場を変えて別のアプローチで取り組む方が、もしかすると実現に向けてより前進するかもしれない。ということで、いったん官の立場は離れて、民間の立場としてできることを、実践してみようと思います。

先日の日経「霞が関 回転ドアな生き方」特集には強く共感します。新卒最初に配属したところで一生過ごすわけじゃない。いったりきたりしながら、様々な立場から社会を形作る貢献ができたら、きっとこれまでよりよくなるはず。心からそう思います。そんな生き方の事例になれたら。


とりあえず疲れたので、今週~来週いっぱい休みをとって、これからどうしようかゆっくり考えてみます。来週末あたりで話せるようにします。

また!


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