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プロジェクトのGHG削減量の定量化と報告

「GHG プロトコル事業者排出量算定基準」は、ボトムアップ方式でGHG 排出量を計算する。事業者の全体的な排出量は、特定の排出源、施設、もしくは工場で排出量が増加しても減少する場合もあれば、その逆の場合もある。このボトムアップ方式を用いれば、事業者は個々の排出源もしくは施設別に、排出量情報を報告することが可能となる。
さらに、事業者は、特定のプロジェクトや活動を実施して温室効果ガスの排出量を削減する際、その削減量をプロジェクト削減量の定量化法を用いて定量化すべきである。その算定と報告方法について、以下にまとめる。

プロジェクト削減量の定量化
ベースラインとなるシナリオと排出量の選定
ベースライン・シナリオとは、プロジェクトが存在しなかったとした場合に何が起きていたかを示すものである。プロジェクトによる削減量は、ベースラインの排出量とプロジェクトの排出量の差として計算される。

追加性の実証
プロジェクトによる削減量の定量化の手続きにおいて追加性を問い、そのプロジェクト自体がベースラインではないこと、プロジェクトによる排出量がベースライン排出量を下回っていることを実証すべきである。

関係する二次的効果の特定と定量化
二次的効果は、プロジェクトによって生じる、一次的効果では捉えられないGHG排出量の変化である。二次的効果は一般的に小さく、プロジェクトの結果として生じる意図しなかったGHG の変化で、リーケージやプロジェクトの上流または下流におけるGHG 排出量の変化が含まれる。定量化することが適切と判断される場合には、該当する二次的効果を、プロジェクトによる削減量の計算に組み入れるべきである。

可逆性の検討
プロジェクトの中には、生物的な、または非生物的な吸収源(森林、土地利用の管理、地下貯蔵など)に炭素もしくはGHG を捕捉、除去、かつ/または貯蔵することによって、大気中のCO2 の削減を達成するものがある。

二重計上の回避
二重計上を避けるため、削減がプロジェクトの当事者以外が所有もしくは管理する発生源もしくは吸収源で生じる場合(すなわち、間接的である場合)には、その削減量の所有権を明確化すべきである。

プロジェクト別削減量の報告
事業者が事業活動から排出されるGHG を削減する内部プロジェクトを実施する場合、そこから生じる削減は、通常、そのインベントリの境界内で捉えられる。この種の削減は、外部に売却または取引されたり、オフセットまたはクレジットとして用いられない限り、分けて報告する必要はない。
しかし、事業者は、自社のインベントリ境界に含まれない排出源のGHG 排出量変化をもたらす、または排出量の経時的変化を比べることでは捉えることのできないGHG の排出量変化をもたらすような自社の操業の変更を行うことができる。

こうした削減量は、「GHG プロトコルプロジェクト排出削減量算定基準」を用いるなどによって別に定量化することができ、事業者の公開GHG 報告書において、任意の情報として報告することができる。

出典:温室効果ガス(GHG)プロトコル事業者排出量算定報告基準を基に弊社作成

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