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君が夏を走らせる

ろくに高校に行かず、かといって夢中になれるものもなく日々をやり過ごしていた大田のもとに、ある日先輩から一本の電話が入った。聞けば一ヵ月ほど、一歳の娘鈴香の子守をしてくれないかという。断り切れず引き受けたが、泣き止まない、ごはんを食べない、小さな鈴香に振り回される金髪少年はやがて──。
きっと忘れないよ、ありがとう。二度と戻らぬ記憶に温かい涙あふれるひと夏の奮闘記。


この本をおすすめしたい人

・夏を満喫しきれていない方
・童心に帰りたい方
・親子の関係を見つめ直したい方

おすすめの読み方

夏の終わりのこの季節に、ぜひ読んでほしい物語です。

感想

個人的に、読んでまずはじめに感じたのは
「夏休みを満喫させてもらった感」だった。

とても密度が濃くて楽しい時間を過ごした後の、スッキリした、達成感にも近いような気持ち。


この物語をひとことで説明するなら、
高校生男子が、先輩夫婦から1ヶ月間、1歳10ヶ月の女の子を日中預かるバイトを押し付けられる、というもの。

それだけ聞くと
「めちゃくちゃやん!笑」
と、心配になってしまいますが、気になって手に取ってみました。


実際に読み始めてみると、めちゃくちゃに感じていたその設定にも
「あぁ、そういうことね」
となんだか妙に納得がいき、読み進めるうち物語はどんどん自分の中でリアルなものになって、いつのまにか、登場人物たちがすぐ目の前にいるような感覚に。

まだ幼い鈴香ちゃんと、彼女と試行錯誤しながら向き合う大田くん。
2人がそれぞれに成長していく姿を追いながら、その時々の気持ちにまっすぐ全力に生きる子供の感覚、彼らを見守り育てる親の感覚、どちらもに触れて、学ばせてもらいました。

1ヶ月かけて仲良くなっていった2人のラストが、これまた良くて。
もう、太田くんの潔いかっこよさよ……!
(メモに残してる名言があってここにも太字で書き残したいくらいだけど、これから読む方もいらっしゃるかもなので我慢します)


瀬尾まいこさんの物語は他にも読んだことがありますが、どの物語も登場人物がまっすぐで、読んだあとにスッキリした気持ちになれるものが多いなぁって思います。


まだ読んだことのない方、夏の終わりに、ぜひ。


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