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男。公立大学薬学部大学院修士卒。製薬企業に勤務しており、研究職を経た後、現在は学術職と…

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男。公立大学薬学部大学院修士卒。製薬企業に勤務しており、研究職を経た後、現在は学術職として医師との共同臨床研究を立ち上げたり、データベース研究の論文を作成して発表したりしています。特別に人生の思考案件となったものしか書かないので、最終的に10本程度の発表になると思っています。

最近の記事

【短編小説】クラゲ

 神は死んだ。  これまで人は生きる意味の不在に耐えられずに大きな物語を捏造し、自己愛性人格障害の教祖にすがるような真似もしてきたが、結局世界の真実に対する嘘は必ずばれる。すべての価値が相対化し、生きる意味の不在が受け入れられたポストモダン以降のニヒリズムにおいては、人々は三大欲求の充足のみに価値を見出すしかない。いくら景観の素晴らしいホテルに泊まり、器までこだわり味覚による幸福感を増大させ、そしていくら着飾ろうとも、動物的行動であることに変わりはない。  IQは幸福度と負

    • 【エッセイ】大人という病〜自由意志について〜

       研究においてはチャンピオンデータのように都合の良い実験データを採用する、もしくは実験データが都合よく恣意的に解釈されて報告されるといったことが往々にしてなされてしまうことがある。このような不誠実さはどうして生じてしまうのか。  単純には会社など周囲からの圧力というのが答えとなるだろうが,より悪性なのは無意識に行われている場合だと考えられる。無意識により行動パターンが規制されることは,神経科学者のヘインズが発見した『これからの行動に関した意識に関する脳神経の発火の前に既にこ

      • 【エッセイ】理解するという概念〜分かったつもりの正体〜

        「自分の思想というものを所有したくなければ,ただちに本を読むことである」by ショウペンハウアー 「自分の思想というものを所有しないための唯一の方法は何も分からないままで居続けることだろう」by eNa  夢から目覚める夢から目覚めた直後に夢か現実かの区別ができないと感じるように、確信していた自分の解釈の間違いに気づいた時、そこでの新たな理解も正しい保証などないと感じる。自身の世界観を形成しているあらゆるものの解釈において、その変更を迫られる可能性は常にあり続けるといえる

        • 【エッセイ】Vocaloid Opera「THE END」と日本芸術

           初音ミクのオペラを通して日本芸術の至る到達点のあり方の一つを見たように思う。日本と欧米では芸術観が異なるとされ、海外では作品のコンセプトが重要視されるのに対し、日本人は精緻な技巧を示す作品を評価するとされるが、それを踏まえてここで述べてみたいのは、技巧重視の芸術作品の極致とは何か、そしてそれを本オペラで達成するために果たした初音ミクの役割についてである。  脳科学者の茂木健一郎は本オペラの感想において芸術における「圧倒」の重要性に言及しているが、本コメントは古寺巡礼の中で

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