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長い眠りから覚めた5人が紡ぐ未来

皆さん、こんにちは!
おけいです。

昨年2019年の年末。
実家でゴロゴロしてた私。
世の中の人たちがSNSで1年間を振り返っている時、SNSが苦手な私は一人で悶々と振り返っていました。

「今年って何したっけ?」
「どこ行ったっけ?」
「どんなライブ行ったっけ?」

悶々と考えていると、ふと脳裏に鮮明に浮かぶライブがありました。
そのライブが私にとっては意義深く、夢のような時間であったことを感じ、「きっとこのライブのことは生涯忘れないだろうな」と思いました。
そしてこの記憶をどこかに残したい、一人でも多くの人に知ってほしい、そう思い、rockin'on.comが運営する音楽文に投稿しました。

なかなか掲載がなかったので、やっぱりダメだったかぁ〜〜と諦めていたのですが、今日掲載されていることに気付きました。
なんとなんと。
一人でも多くの人に知ってもらえますように。

こちらにも投稿させていただきます。

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2019年を振り返ってみる。

今年も色々とあったなぁ、と思う。

でもその中で一番印象的だったこと、個人的に嬉しかったこと、それは彩冷えるの完全復活。

1月1日高田馬場AREAでの元旦ライブから始まり、1月12日に『Virgin Snow Color -Final Season-』、5月には東名阪を回るツアー『彩冷える感謝祭TOUR'19-Towards the 15th Anniversary』、そして15周年記念日の5月8日には彩冷える15th Anniversary Special Live『彩、冷めた頃に』。
「ツアーで地方を回るのだから」と合間合間にトークイベント&撮影会も実施。
ファンはたくさんの声を届け、5人もその声を拾い続けた。
そしてその声が届いたのか、5月8日のライブのラストにLIVE DVD『Virgin Snow Color-Final Season-』発売決定、オリジナルフルアルバム『辞するモラトリアム』発売決定、全国ツアー『辞するモラトリアム』開催決定という大きなプレゼントを私たちにファンにくれた。

8月24日にリリースされた9年ぶりのニューアルバム『辞するモラトリアム』では進化した彩冷えるの音楽に触れることができた。
そして9月にスタートした8本のライブでは9年前とは違う5人の関係性が垣間見え、そこに応えるようなファンの声援によって、各会場一体感に満ち溢れていた。

その中でも忘れられない大阪公演の様子を記録として残しておこうと思う。


2019年9月16日、‪16:30 ‬―。
 
夕方になっているのにも関わらず、9月中旬とは思えないほど暑い大阪umeda TRADにはたくさんの人が詰めかけていた。
今宵umeda TRADを彩るアーティストは、‪彩冷える‬。
 
 
「‪彩冷える‬、いつのまにか復活してて草www」
 
 
彼らが再び5人で音楽シーンに戻ってきた時、こんな言葉がSNSに飛び交う程、彼らの復活は誰もが予想していなかった奇跡のような出来事だった。
 
 

彼らは2004年に結成されたヴィジュアル系バンドで、同時代にムーブメントを起こしていたネオ・ヴィジュアル系ブームを牽引してきた人気バンドである。
5年間のインディーズ時代で着実に力をつけ、2009年には満を持して、メジャーデビューを果たした。
ファンも着実に増え、楽曲の幅も広がり、全てが上手くいっているように見えた‪彩冷える‬。
 
しかし、2010年8月。
向日葵(Vo)を1人残し、夢人(Gt)、タケヒト(Gt)、インテツ(Ba)、ケンゾ(Dr)の4人が‪彩冷える‬を脱退。
脱退発表はインターネット上にて4人のコメントのみ、5人でのラストライブも行われず、突然の出来事に大きな激震が走った。
 
当時ソロ活動をしていた向日葵はそのまま継続、一方で脱退した4人は「‪彩冷える‬をまだ完全にやり切っていない」と「‪AYABIE‬」というバンド名で活動をスタート。
その後、向日葵1人で活動していた「‪彩冷える‬」は2010年に無期限の活動休止を発表。
「‪彩冷える‬は1人では歌えない。でもまた、かつてのメンバーともう一度活動する希望を捨てたくない」という向日葵の想いから活動休止という形に。
‪AYABIEは再度メジャーデビューを果たすも、2012年には再び活動休止。‬
「解散」という言葉よりも「分裂」という言葉が残念なことにしっくり来てしまう状態となっていた。
 

 
たった一つのボタンの掛け違いから、バラバラになってしまった‪彩冷える‬。
そんな‪彩冷える‬が2019年5月に再集結。
‪5月8日の15周年記念ライブで“完全復活”を宣言。‬
その完全復活の証として、全て新曲で構成されたニューアルバム『辞するモラトリアム』をリリース。
このアルバムを引っ下げたツアーを9月6日よりスタートした。
 
 
 
この日は名古屋、福岡、岡山と続いてきたツアー、4か所目であり、ツアー中盤・南回りの集大成となる大阪公演をumeda TRADで迎えようとしていた。
 
今ツアーは初日の名古屋からメンバーが口を揃えて、「いきなりツアーファイナルのような一体感で驚いた」と言うほど、色んな意味でパワーのある公演になっていた。
私としてはこの日の2日前に行われた岡山公演が今ツアーの初日であり、楽曲の仕上がりやメンバーの一体感に驚かされたばかりだった。
9年間の空白があったことが、まるで嘘のよう。
この時を待ちわびたメンバーとファンの想いがひとつになる瞬間を見たような気がしていた。
大阪は岡山の倍くらいの観客が来ており、それだけでも胸が高鳴るのがわかった。
 
 
 
そして‪17:15 ‬―。
疾走感ある重厚なメロディーの「query」で幕が開いた。
このツアーもすでに4回目。
ライブの流れを理解した上で参加しているファンもいたかもしれないが、向日葵のハイトーンボイスによって、その場にいたファン全員のスイッチがONになったようにファンの声と動きが揃い、言葉では表現し難い一体感が生まれ始めた。
私自身も岡山の時にはなかった「これから何か凄いことが始まる」と感じるほどだった。
 
この曲のライブでの見所は何と言っても、中盤にあるケンゾのソロである。
バンドでは楽曲において、各楽器のソロパートが設けられている場合が多く、ギターソロは多くの曲に組み込まれている。
‪彩冷えるもギターソロはほとんどの曲で設けられているが、ドラムソロはこの「query」が初めてではないだろうか。‬
ケンゾがこだわりぬいたドラムの一音一音がライブハウスに響き渡るこの瞬間はライブでこの曲を聴く一番の醍醐味である。
そしてこのドラムソロの時には‪彩冷える‬らしい一面を垣間見ることもできる。
向日葵が考え、1人でやっていたようなのだが、この大阪公演では‪ケンゾ以外が全員視界から消えた。‬
‪ケンゾのドラムソロを引き立たせるために全員がしゃがみ、スポットライトがケンゾに当たるという新たな演出が加わっていた。‬
‪意図していることだろうし、あえて、というものだとわかってはいるものの、かつての彩冷えるであれば、どうだっただろうか?‬
‪バンド全体の見せ方よりも個々人の見せ方を大切にしているように感じることが多かった。‬
‪もちろん他のメンバーの配慮がないわけではない。‬
‪一人一人の全く異なる個性が強く、その個性を前面に出しているのに一体感がある、というのが彩冷えるの大きな魅力だった。‬
‪もちろん今もその個性があることには変わりはなく、むしろパワーアップしているのだが、この演出を見た時、それに加えて、お互いの個性を尊重しようとするメンバーの姿勢が垣間見えたような気がした。‬
‪そんな大それたことではなく、思いつきだったのかもしれないが、離れていたからこそわかるメンバー同士のお互いの良さだったり、受け入れられることだったり、新しく見つけた個性だったりをこの『辞するモラトリアム』を制作する中でお互いに感じたのではないだろうか?‬
‪時間を共に過ごせなかった9年間を経たからこそ、構築することができた彩冷えるの関係性が見えた、そんな気がした。‬

4曲目の「ドラマティック」‪から5曲目の「ミルク」へと音が繋がった時にはより感慨深いものがあった。‬
‪「ドラマティック」は彩冷えるが分裂してしまう前、最後に出したシングルで、夢人作曲の彩冷えるらしさ全開のメロディーの音楽。‬
‪9年前の5人が奏でた最後の音楽から今の5人が奏でる夢人作曲の「ミルク」へと繋がる瞬間は鳥肌が立った。‬
‪またこの「ミルク」という音楽は向日葵がソロで活動するための楽曲として、夢人に書いてもらった曲。‬
‪向日葵一人で何度も歌っていた曲だったが、向日葵自身はどこかしっくり来ていなかったという。‬
‪そのため、タイトルも仮のままにしていたらしい。‬
‪今回この『辞するモラトリアム』で彩冷える5人で楽曲を作るとなった時に、「この曲は彩冷える5人でやった方が良い」と向日葵が確信を持ち、これまでのライブで向日葵が閃いたインスピレーションをもとに再度作り直されたのだ。‬
‪その背景をもってしても、この「ドラマティック」が表現するのは彩冷えるとして、メジャーデビューまで積み重ねてきた7年間の第1章の集大成、そしてこの「ミルク」はそれぞれに活動し、成長してきた9年間を証明する第2章の始まりを感じさせてくれた。‬

‪9曲目の「プロポーズ」 ー。‬
‪この「プロポーズ」は私としては、今回のアルバムの中で一番思い入れのある曲である。‬
‪というのも、向日葵がメンバーに向けてプロポーズとして書いた曲であり、これまでの彩冷えるがどのように時を重ね、どのように別れ、どのように再び交わったのかが、この曲を聴くとよくわかる。‬
‪岡山公演の時も最も印象に残った演奏であったが、この大阪公演では演出も相まって本当に素敵なステージであった。‬
‪Aメロではメンバーの顔が影になってしまう程のささやかな照明で、淡いオレンジの照明、そこからサビになると七色の照明へと変化していったのである。‬
‪彩冷えるにとって、「七色」というのは大切なキーワードの一つ。‬
‪向日葵(Vo)、夢人(Gt)、タケヒト(Gt)、インテツ(Ba)、ケンゾ(Dr)の5人と彼らを支えるスタッフと私たちファンの7人で彩冷えるを作るという意味から、これまでの曲や彼らのモチーフに「七色」というワードが散りばめられていた。‬
‪だからこそ、この曲を聴きながら七色の光を見た時、彩冷えるの今の姿が輝いて見えた。‬
‪Aメロの歌詞のように燻っていた時を経て、今、七色に輝く姿が目の前に広がっていた、‬
‪「聞きすぎると良いことなんか無い。そのやり方は君が頑張って。一つミスをしたら一つ、ほら、常識を捨てさればいい。」という歌詞はまさしく私が「query」の時に感じた今の彩冷えるの姿だと思った。‬
‪きっと昔は5人それぞれが「絶対こうした方がいい」という意思を持っていて、その意思が向いている方向は全く異なっていたと思う。‬
‪それはこれだけ個性豊かな5人だから、というのもあるし、それぞれにプライドもあったからだと思う。‬
‪だからこそお互いの意思をぶつけ、時には否定し合い、すり減らしてきたのではないだろうか。‬
‪でも今は「お互いの考えていることを尊重し、相手を信頼し、任せるところは任せる。失敗したって責めたりしないよ。一緒にその失敗を乗り越え、成功に変えてしまおうよ。」とメンバー、一人一人が思っているのではないかと感じた。‬
‪きっと、9年間でお互いに彩冷える5人のメンバーが持っている強み・弱みを個々人で活動する中で再認識したのかな?なんて。‬
‪自分が中にいるとわからない良さも外の世界に出ると、わかったり、その時はわからなくても時間が経つとわかったり。‬
‪きっとそんなシンプルなことだったのかな?って。‬

‪でもそれはファンも同じで。‬
‪彩冷えるがいなくなって、他のバンドやアーティストを好きになった人も多いと思う。‬
‪私もその一人。‬
‪ただ、他の何かを好きになっても彩冷えるに代わる存在なんて無かった。‬
‪「彩冷えるって唯一無二の存在だったんだ。」と気付いた時に、ラストのサビで「巡り巡るそれぞれの日々。無駄なものなんて無い、これからも。振り返れば、横を見れば、ほら、かけがえのない君がいる。」と5人が一緒に歌う姿を見て、5人が考えていることや感じていることが強く伝わってきた。‬

‪彩冷えるは昔からメッセージ性の強いバンドだったが、色んなことを言葉にして伝えてくれるのは向日葵だけで。‬
‪でも今は夢人もケンゾもみんな言葉で表してくれるようになって。‬
‪でも言葉にしなくても、音楽と空気感でこれだけ伝えられる今の彼らにますます惹かれたのは言うまでもないことだ。‬

‪本編ラストのMCの時にインテツが泣きそうになりながら、ぽろっと言った「4人でやっていたAYABIEの時も大阪に来たけど、今日の方がメンバーみんなが晴れやかな顔をしてる。」っていう言葉。‬
‪5人みんなが「もう1回彩冷えるをやってよかった。」と感じてくれることを願って、「ここにいるファンはみんな全力で楽しんでいるよ。」と声を大にして言いたくなった。‬

‪アンコールの時、向日葵が「夢人とタケヒトはずーっと酒を飲んでいて、ケンゾとインテツはずっとジャストアイデアを言い合っていて、僕は一人なんだ。でも僕と対になるのは君たち(ファン)だよね?」って。‬
‪それで良いと思った。‬
‪もちろん彩冷えるもみんな食べていくためにやらないといけないことがあるとは思うが、自分たちとファンが良いと思うものを共有しながら、前に進んでいくことが一番良いのではないだろうか。‬
‪実際5月に行ったイベントでファンからの「新しいアルバムを出してほしい」という声があったから今回のアルバムがリリースされた。‬
‪ある種、無計画でその瞬間を大切にしていくことで、これからの彩冷えるを成長させていきたいと強く思った。‬

‪今回のライブのセットリストは向日葵が決めたとのことだったが、アンコールのセットリストも感慨深かった。‬
‪「鮮やかに輝く星は僕達を乗せ、新たな頂きを目指す」という歌詞で終える「星降るお話」からスタートを意味するメッセージが強い「TheMe」に。‬
‪「僕達の2章が始まるよ。新たな頂きを目指して走り出すから。」と5人から言われているようだった。‬

‪SNSで検索すれば出てくる、‬

‪「彩冷える、復活したってよ。」‬

‪そんな言葉は今の5人には相応しくない。‬
‪それが私がこのツアーに参加して導き出した結論だ。‬
‪復活ではない。‬
‪進化、この言葉が相応しいと思う。‬
‪彩冷えるは長い眠りについていて、目を覚ました時には大きく進化した5人がいた。‬
‪そして5人が一つになって、この音楽シーンに戻ってきた。‬
‪再び一つになったから、ちょっと音楽を奏でてみたら、長い眠りの中で見た夢からインスピレーションを受けて、眠りにつく前にあった辛かったことや苦しかったことも糧にできる程の良い音楽を生み出すことができた。‬
‪そんな感じではないだろうか?‬
‪進化した彩冷えるが紡ぐ音楽や伝説はきっとこれからも続くだろうし、期待していきたい。‬
‪そしてこれからは彼らの過去を語らずとも、人の心を動かすような音楽をもっともっと生み出してほしい。‬
‪私はその体験を共にし、たくさんの人に伝え続けたい。‬

‪彩冷えるは、このツアー『辞するモラトリアム』のファイナルに12月24日Christmas Special Live‬『雪纏う人展』の開催、NEW MINI ALBUM「色纏う人展」来春リリース決定、2020年3月より15本のライブツアー、彩冷える15th Anniversary Final Tour'20『色纏う人展』を発表。

そして2019年、様々なバンドとの対バンライブやメンバーのバースデーイベントで精力的に活動。

これらの活動を通して、きっと5人の結束力がより高まっていることは間違いない。
進化した彩冷えるの姿に2020年も目が離せなくなりそうだ。

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おけい


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