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黒いさくらねこと出会う

「一緒に暮らしたら、猫を飼おうよ」
「猫を飼うなら、保護猫を飼いたい」

ということを、言い続けて数年。
この春から恋人と共に暮らすことになり、ついに本格的に猫を迎え入れようということになった。

初めは「とりあえず今里子に出されてる子を見てみよう」という軽い気持ちで、スマホで里親募集中のねこたちを見てみた。
情報収集にはペットのおうちを利用した。ピンポイントで好みのねこを探せるという利点はあるが、正直もっとゆっくり譲渡会を見たりシェルターを探したりしてもよかったかな、と思う。

結果、居住地からは少し離れているが(車で2時間近くかかった)こちらの条件にあう子がいたので申し込みをした。その時の条件というのが、

・なるべく月齢が若い子
・白黒ハチワレじゃない
・キャリアやハンデを持っていない子

なるべく月齢が若いというのは、一応6ヶ月程度までで考えていたが、というのも歳に比例してなつきにくいかな、と思ったから。恋人ははじめてのペットなので、なるべくなつっこい子がいいなと思っていた。
白黒ハチワレじゃないというのは、私が実家で飼っていた猫が白黒ハチワレだったので……というだけの理由。それでなければ色柄は何でもいいかな、と思っていたけれど、色柄で性格の違いもあるみたいなので(人間で言う血液型の違い程度のものだと思うけど)調べてみると面白いです。

そして一番気にしていたのが、病気のキャリアやハンデを持っていない子。私も恋人も日中は仕事で家を空けてしまうので、お留守番ができる健康な子というのが絶対条件だった。

申し込みをしてすぐ、先方から連絡があった。電話で一度話してからお見合いするという流れになったが、申し込みした子は丁度譲渡が決まってしまったとのことだった。その際、こちらの飼育環境と条件を伝えると、どんなタイプの子がいいかなど相談にも乗って下さり、適合する子を保護したらまた連絡をもらうということで話がついた。

気長に待つかまた一から探しなおすか、と思っていたらその日のうちにまた連絡をいただいた。なんでも、一度TNRした地域猫(いわゆるさくらねこ)がいるのだが、ものすごく人なつっこい子なので、よければ保護するからお見合いしないか、とのことだった。私が最初に申し込んだのは黒のオスだったのだが、その子は黒のメス、月齢も4,5ヶ月程度の子、病気のキャリアは未検査なのでわからないが、恐らく大丈夫。条件はほぼクリアしていたので、お見合いをお願いした。

シェルターの方はとても親切にして下さり、お見合いをしたからといって必ず引き取らなければならないわけではない、相性が悪かったり思ったのと違えば遠慮なく断って欲しいととても丁寧に言ってくださった。向こうからすれば親切心以外にも、新たな捨て猫が生まれないことを懸念していたとも思うが、それでも相性やキャリアを心配していた私にとってはとてもありがたかった。何枚かの写真と動画を送っていただき、シェルターへ行く日まで繰り返し繰り返し恋人と見た。

2週間後、恋人と二人車でシェルターへ伺った。そのシェルター(担当の方のご自宅)には40匹以上の保護猫たちが暮らしていた。対応してくださった担当の方の飼い猫や、もう貰い手の見込みがない老猫、障害を持っていて譲渡できない子もいた。

ウチにやって来ることになる黒ねこは、最初ツンとしたイメージの子だった。ケージから出され、私の膝の上に一瞬座った彼女は、すぐにもぞもぞ動いて膝から降りてしまった。元野良だからある程度なつきにくいことは覚悟していたし、猫なんてそんなものと思っていたが、やはり少し不安もあった。貸してもらったおもちゃにもいまいち興味をしめさず、他の猫がよってきてしまうほど。最後はキャットタワーがわりのダンボールの中に隠れてしまい、もしかしたらうまくいかないかも、と不安が膨らんだ。それでもひとまずはトライアルで様子を見てみようということで話はまとまった。私たち二人もシェルターの審査に合格したようだった。

保護猫の里親になるのは、実はそんな簡単な話ではない。団体にもよるが、それまでの猫のワクチンや治療費の他、避妊・去勢手術をしていればその代金、他にも団体の活動費用なども合わせた譲渡金をお渡しする。金額は数千円から数万円まで団体により様々。このあたりはお金で解決できる話ではあるが、猫によっては兄弟で引き取らねばならない子、単身者不可の子、小さい子供がいない家庭のみOKの子、先住猫がいる家庭希望、などなど……人間側にも色々な条件がある。本来、同棲しているカップルも里親としてはNGになりやすい。私たちは正しく同棲しているカップルになるわけだが、一応結婚を前提としているということで許可が下りた。前提にはしていても二人でまだあまり真面目にその辺を話し合ったことがそんなになかったので、「婚約しています」と口にするときは心臓を吐き出しそうなほど緊張した。(嘘、ちょっと盛った)

恋人に抱っこされている黒ねこを何枚か撮って、帰り道にそれを見ながら恋人と話した。用意しなければならないもの、我々のライフスタイルとねこをどうすり合わせるか、既にうちで飼っているハムスターとはどうするか、……。譲渡の際は飼育環境のチェックも兼ねて、団体の方が自宅まで届けに来てくれるとのこと。本来であれば1,2週間くらい先の日程になることが多いらしいが、譲渡の日はこちらの都合もあり、1ヶ月ほど先の日程で決定した。楽しみだねえ、仲良くなれるといいねえ、そんな風に話しながら、お見合いの日を終えた。


#猫 #保護猫 #コラム

ちゅーる代になります