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きんにくねこさん

きんにくねこさん


きんにくねこさんはカラダを鍛えます。


にゃーふん!にゃーふん!ごろ・・にゃん!


隣では彼女のタマコが応援をします。


にゃーふん!にゃーふん!ごろ・・にゃん!


きんにくねこさんは


優しくて力持ちです。


ゾウさんだって持ち上げます。


きんにくねこさんは


有名人です。


みんなはきんにくねこさんの事が大好きです。



ある日


きんにくねこさんが

電車に乗る為に待っていると・・


どーん!


「誰かが線路に落ちたぞ!」


と声が聞こえました。


酔っぱらいのウサギのおじさんが

線路に落ちていました。


「誰か助けてあげて」


「急いで!このままだと電車が来ちゃう」


ぷぷー!!


電車の汽笛の音が聞こえます。


「きんにくねこさん、助けてあげて」


小さなネズミの女の子でした。


みんなが「きんにくねこさん」に

気がつきました。


「きんにくねこさん、助けて!」


「きんにくねこさん、助けてあげて!」


みんなが、きんにくねこさんにお願いをしました。



しかし、きんにくねこさんは走って逃げて行きました・・


ーきんにくねこさんの家ー


いつものようにテレビをつけると・・


「きんにくねこさんは、酷い人だ!」


「きんにくねこさんは、心がない人だ!」と

テレビから聞こえました。


「ウサギのおじさんは助かったから良かったけれど・・」


きんにくねこさんは

「ふぅ~・・」とため息を吐きました。


プルル~♪と電話がなりました。


きんにくねこさんが電話にでると


「お前は、酷いヤツだ!」

と言われて電話がきれました。


きんにくねこさんは、悲しい気持ちになりました。


プルル~♪とまた電話がなりました。


ビクビクしながら電話に出ると


「きんにくねこさん、大丈夫?」


彼女のタマコでした。


「みんな、酷いわ。きんにくねこさんの事を何も知らないのに、あんなにも悪口をいって・・」


「お父さんの事だってあるから、気にしないでいいのよ。」


電話を切ると『お父さんの事』を思い出していました。


まだ、きんにくねこさんが子供の頃

お父さんと二人で手を繋いで歩いていると


こぶたの男の子がボールを追いかけて

道路に飛び出しました。


車が、こぶたの男の子に向かって行きます。


「危ない!」とお父さんが、こぶたの男の子を突飛ばしました。


ププー・・ガシャン!


お父さんは、こぶたの男の子の代わりに車にひかれて死んでしまいました。


「お父さんは、立派な人」

「お父さんは、素晴らしい人」と

みんながお父さんを褒めてくれましたが


きんにくねこさんは、ちっとも嬉しくありませんでした。


お父さんは生き返って来ないからです。



「ぼくに何が出来ただろう・・」



ある日


きんにくねこさんが歩いていると・・


二人の男の人が喧嘩をしていました。


「ぼくに、何が出来るだろう・・」

「ぼくに、何が出来るだろう・・」


きんにくねこさんは考えました。


きんにくねこさんは走り出しました。


いっぱいいっぱい走りました。


交番の犬のお巡りさんの所にいくと・・


「大変です。喧嘩をしている人がいます!」


「わかりました。教えてくれてありがとうございます。」


きんにくねこさんは、しゃがんで

「ぼくの背中に乗って下さい。」

「ぼくは鍛えているので、とても速く走れます。」


犬のお巡りさんを乗せて走りました。


喧嘩をしている人たちの近くまで走り

お巡りさんを下ろしました。


きんにくねこさんはタマコに会いたくなりました。


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