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人の歴史に触れるということ(中村佑介展の感想)

海岸通りに春が舞うどころか、梅雨が来そうなこの頃。
今年の夏はなんだか暑そうだなーと思ってます。

さて、先日僕はケン(当バンドGt.)と現在金沢21世紀美術館で開催されている中村佑介展というものに行ってきました。
中村佑介さんというのはイラストレーターで、ASIAN KUNG-FU GENERATIONをはじめとする様々なアーティストのジャケットやアニメ四畳半神話大系などのキャラクターデザインなんかもされている方、と伝えたらイメージできる方もいらっしゃると思います。(ちょうど今日5/16は中村先生と後藤正文氏のトーク、ライブが開催されています。アーカイブ視聴もできるらしいので気になる方はローチケ?へGO)

僕は好きなイラストレーターさんが何人かいて画集も少しあるくらいでアートの方面に造詣が深いわけでなく、このような企画展も好きなものなら足を運ぶくらいのものでちゃんとそんな感じの感想が言えるわけではありませんが、
僕の感じたことだけでもしっかり伝えていければなと思います。

中村佑介作品との出会い

僕と中村佑介先生との出会い(直接お会いしたことはない)は、それこそASIAN KUNG-FU GENERATIONです。人生で初めてお小遣いで買ったCDがリライトのシングルでハガレンの主題歌を買いに来たのに紫の背景に中華風の二人が対峙する構図にちょっとワクワクしたのを覚えています。
そこからアジカンにハマるのと同時に中村先生の絵を好きになるのは容易でした。
線は細いのにしっかりとした存在感があって、女の子、動物、ビルの構図が面白くて好きです。

展示について

これ以上長々と愛を語っていても仕方がないので本題へ。
中村佑介展自体は去年から活動15周年ということでこのコロナ禍の中各地を廻っていたそうで本当に企画、実施してくださったことがありがたいです。
なんと東京では東京ドームのギャラリーで開催されていたそうです。
公式サイトで謳っている通りほぼ全ての作品がところ狭しと展示されていました。
メインの展示ホールではなく地下1階のギャラリーだったのが惜しまれるほどの作品数で、場内BGMはアジカンのみがシャッフルで流れているという、もう中村佑介好きにもアジカン好きにもたまらない空間になっていたと思います。

最初の展示コーナーはもちろんアジカンの作品の数々から!
まずはソルファがお出迎えしてくれています
みんなが目にしている完成形の大きいやつと着色前の段階が一緒に飾られているので組み合わせや切られてしまっていたところなんかもみられてもう歓喜の悲鳴が出そうでした。
そうして足を進めていくとほぼリリース順に作品が展示されており曲やアルバムのイメージを振り返りながらジャケットを堪能する。中村先生の表現の変遷を堪能する。もう1枚1枚が思い出のアルバムを見返しているようで楽しかったです。
実際のCDも展示されており、ジャケットの日に焼けた感じが歴史を感じさせてくれるようで良かったです。

そして最新シングルのダイアローグまでじっくりとみた後ある一枚のアルバムが展示されていないことに気づきます。
そこで壁をみやると壁一面にマジックディスクのジャケットがデカデカと飾られているではないですか!!(ほんとはそのホールに入った瞬間に目に入るんですけどね、演出ですw)

初回限定版の6面デジパックの全容が特大のサイズで見れて、より中村先生の遊び心が発見しやすくなっており、まるでウォーリーをさがせ!を読んでいるみたいに二人で小ネタを見つけてはこれ!と伝え合いました!
ちょっと欲を言えば会場の都合上仕方のないことなのですが左端が折れていなければもうやばかったです。

中村佑介作品はアジカンだけではないのだぞ

アジカン作品のコーナーが終わると他にも担当したアーティストのジャケットが展示されていました。
ご自身のバンドのセイルズやさだまさしさん、つじあやのさん、坂本冬美さんまでジャンルにとらわれず様々な方のジャケットを作られており、そのひとつ一つにしっかりとイズムが感じられました。
もちろん僕らと同年代の方で2010年代の邦ロックを聴いていた人なら欠かせないモーモールルギャバンの作品も掲載されていました。
後、ゲントウキとの話が載っていたのも感動的でした。(というかコーナーの紹介文を書いている武田砂鉄さんの文章も素敵でした。)

ボリュームの化け物

さて上記のコーナーだけでも入館料900円の元は十分に取れているのですが、さらに森見登美彦作品関連や、謎解きはディナーのあとで等のメディアミックスのコーナー、ラジオのイラスト、サンリオやチョコパイなどの様々なコラボ作品、きららちゃん関連。
何かの初回限定版のイラストもあり、これも観せちゃうんだと思いました。
コラボのない初期の作品が展示されているのはわかりますが、学生時代の課題、いわゆるデッサンも展示されており中村佑介という人間と芸術の関わりの歴史というのをまざまざと目の当たりにして、圧倒、感動、今は時間が経ったのでこう言葉をこねくり回して表現しようとしていますが、
観ている時には言葉にできず、ひたすら「すごい」それしか言えなかったです。

こんな時代じゃなければ…

最後には企画展お決まりの写真スペース
今展示ではソルファのジャケット立体の中に入り隙間から顔を出すという難易度の高めなものでした。笑
青春時代を過ごしたアルバムのジャケットにいますんでる地域の名前が入っているのはシンプルに感慨深かったです。

どこから顔を出すかでセンスやら心理テストができそう。
そしてもうひとつ体験コーナーがありました。
それはアジカンの「君の街まで」の曲に合わせて3Dモデリングした街にジャケットを貼り付けたり、作品そのものをモデリングし動かすものを観るというものでした。
本来はVRゴーグルをつけて360°中村佑介の世界に入るものであったはずなのに、感染症対策のためVRゴーグルは中止、モニターに映る映像をマウスのトラックボールを動かし視点を変えて楽しむものになっていました。
作品自体はとても素晴らしくトラックボールでも十分に楽しめたのですが、
VRで体感できたのか…と思うとちょっと悲しくなりました。
多分VRだったらそのコーナーだけで1日観ていられる。そんな作品でした。

最後は中村佑介先生のお弟子さん的な金沢のイラストレーターさんの作品の展示、中村先生のデザインしたアクリルガッシュ、色別キャラの展示でした。

金銭感覚がバグる

存分に中村佑介作品に浸った後に待ち受けるのが物販コーナー
これまでの画集、今月末発売予定で会場で先行発売される新作の画集、この企画展のための限定商品、京都×ゴジラ・大阪×ゴジラのコラボ商品、アジカンのCD
表紙を担当した小説、ここぞとばかりに並べられていました。
好きなものにはお金を使おうの財テク下手マンの僕は赴くままに手に取りお会計した時にはすごい金額でした。笑

最後に

作品を純粋に楽しめたのはもちろんのこと、一人の人の歴史を感じることができたし、作品作りに対する考え方、手法、なども観れたと思いました。
中村佑介が好きな人、アジカンが好きな人、森見作品が好きな人以外にも、
伝記やエッセイ等人のことを読むのが好きな人、イラストはもちろん表現やものづくりをしよう、している人にも影響のあるお値段以上すぎる企画展だったと思います。
中村佑介展は5/31まで金沢21世紀美術館で開催されております。
詳しくは公式サイトへ

しばらく僕はアジカンを聴く日々を送るのだと思います。
最高でした。

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