見出し画像

超新星クンスクレックがクマンドーイを下してバンタム級王者に。石田そうまはラジャ8位と熱戦~2024年4月6日のRWS

4月6日に行われたRWS(ラジャダムヌンワールドシリーズ)では、スーパーファイトとして、王者クマンドーイ・ペットインディーアカデミー対ランキング1位のクンスクレック・ブーンデクシアンのラジャダムヌンスタジアム認定バンタム級タイトルマッチが組まれた。この試合は勝ったほうが50万バーツ、KO勝利で50万バーツ、熱戦の場合も25万バーツと特別ボーナスが設けられ、ファンの注目を集めた。

クマンドーイ対クンスクレック戦は”スーパーファイト”の触れ込み

ベテランのクマンドーイは1月にパントー・ポー・ラクブーンと決定戦を戦い、バンタム級王座に就いた30歳、これまで123勝31敗2分と150戦以上の戦績を誇る。ラジャダムヌンのスーパーフライ級の元王者でもあり、WBCムエタイ世界スーパーバンタム級王座も獲得している。2020年大晦日には日本で那須川天心と対戦し判定負け、2023年にはRISEワールドシリーズ(ー54㎏)に参戦、志朗らから2勝し12月の決勝に進出するも、田丸辰に判定負けで優勝を逃した。パンチ、ヒジ、キックを矢継ぎ早に繰り出す攻撃力が魅力。所属のペットインディープロモーションは、クマンドーイをプロボクシングにも挑戦させ、そちらでは4戦4勝(2KO)で2023年10月にはABFスーパーフライ級王座を獲得している。

プロボクシングでは、ABF(アジアボクシング連盟)スーパーフライ級王者
歴戦の強者、クマンドーイ

一方の同級1位のクンスクレックは、18歳ながら、これまで80勝6敗2分の戦績を残し、クマンドーイ戦までなんと1引き分けを挟んで38連勝と波に載っている。クンスクレックの勢いがクマンドーイを押し切るか、クマンドーイがベテランの味を見せてクンスクレックの挑戦を退けるか、予想は5分5分といったところ。

コンケーン出身、18歳ながら90戦のキャリアを誇るクンスクレック

試合は初回からクマンドーイは左右ストレートなどの連打で積極的に攻める。クンスクレックも距離が長く自分から行かない。クマンドーイはジャンプキックも入れて会場を持り上げる。ワンツースリーからのミドルキックを軸に攻める。クンスクレックは前蹴りとハイキックなど。2分40秒でクンスクレックのローキックでクマンドーイがこける。ジャッジ3者ともクマンドーイのラウンド。

二回もクマンドーイは攻撃的にパンチをふるう。懐に飛び込んでの左フック、右ストレートなど。クリーンヒットはしないが観客は沸く。クンスクレックはクマンドーイと比べて体格が大きく、それを活かして遠い距離で戦う。前蹴りやハイキックをクマンドーイに決める。この回はクンスックレックのラウンド。そして三回も激しい蹴り合い、互いにミドルキックが決まる。このラウンドもクンスクレックがポイントを取る。

ジャッジ3者とも、初回はクマンドーイを支持

四回はクマンドーイが逆転を狙って出てくるもクンスクレックは首相撲で攻撃を遮断するなど、冷静に対処する。クンスクレックのラウンド。五回もクンスクレックがうまくクマンドーイの攻撃をいなして、逃げ切った。

5回、クマンドーイが逆転を狙うも攻めきれず

この試合は、五回を通じて、緊張感が途切れないハイレベルの一戦でスーパーファイトの名に相応しい試合と言える。クマンドーイの攻撃は怖さを感じたが、熟練のベテランのようにそれをさばいた18歳、クンスクレックの今後が楽しみでもある。

新王者クンスクレックは50万バーツの勝利者ボーナスを得たが、RWS側は熱戦を繰り広げたボーナスとして両者に25万バーツを提供した。

クンスクレックは、この試合で75万バーツ(320万円)のボーナスを獲得

クンスクレックは勝利者インタビューで「チャンピオンは、とても上手な選手だった。これまで戦った中でも一番パンチが強かった」とクマンドーイを讃えた。RWSは、クンスクレックの次戦を5月11日に予定、対戦相手はスーパーバンタム級王者のペッサヤーム・チョー・パリーヤ―で、3月に王座決定戦を制したばかりの18歳。この試合は、ペッサヤームが1階級下のクンスクレックのタイトルに挑む形となるようだ。

ペッサヤームが1階級下りて、新王者クンスクレックに挑戦

この試合もスーパーファイトとしての取り扱いとなる様子。注目度の高い試合について特別ボーナスを設けるスーパーファイトは4月~5月に3試合を予定しており、1試合目はこのクマンドーイ対クンスクレック戦、2試合目が4月27日にRWSで行われるラジャダムヌンフェザー級タイトルマッチのチャイラー対ヨーティン戦、3試合目が再びクンスクレックが出場するペットサヤイスタジアムのチャンピオンにもなっている。タイで双子のファイターというと、古くはカオサイ、カオコーのギャラクシー兄弟が有名である。チャナとソンクラームのポーパオイン兄弟も2人共国際式の世界王者となった。クンスクレック兄弟については、引き続き注目していきたい。

そして、このスーパーファイトの前座では、日本人ムエタイ兄弟の兄、石田そうまが出場し、ラジャダムヌンミニフライ級8位のパダーンに挑んだ。

石田そうまの入場、ソウマ・ロンポージムのリングネーム

石田兄弟はタイに在住しキャリアを積み、兄のそうま、弟のゆうま共、RWSのリングに度々上がっている。そうまは2月のRWSではスーパーボン・ソー・センチャイに初回KO勝ちを飾り、ラジャの観客にその実力を見せつけた。昨年は現ランカーのヨニス・アナネに接戦の末、判定負け。この試合をクリアして、ランキング入りを確定したい。

ラジャダムヌンミニフライ級8位のパダーン、ランプーン出身の24歳
そうまはこれまで10勝4敗、岡山県津山市出身の16歳、RWSの出場機会も多い


パダーンは、そうまと10センチ低い身長(158センチ)で、小柄な体格から前蹴り、パンチを次々に繰り出す。長身のそうまは初回、良いパンチを受けるも前に出て打ちかえす。2回にはパダーンの攻撃にも慣れて被弾も減ったが、なかなか攻め切れない。そうまの攻撃でパダーンは右目尻をカットし、流血。そうまも鼻血を出しての激しい展開、3回はパダーンがうまく逃げて、そうまは判定負けを喫した。

キャリアで勝るパダーン相手に奮戦のそうま
首相撲でもタイ人に負けないそうま

パダーンに軽量級ランカーのレベルの高さ、層の厚さを見せつけられた石田だが、充分にパダーンと渡り合い、ムエタイファンの評判も良かった。この試合は敗退したそうま、逆にムエタイファンからの評価が上がったかもしれない。タイ現地で活動し、実力でランキング入りすることも可能だろう。

※ラジャダムヌンスタジアムで現地観戦、写真は著者撮影のものとRWSのYoutubeから。photo credit: RWS

↓ ↓ 4月6日RWSの完全動画


↓ ↓ 石田兄弟の過去記事(タイランドハイパーリンクス掲載)


この記事が参加している募集

すごい選手がいるんです

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?