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マリファナの臭いの立ち込める格闘見世物小屋~梅野源治、SETUPプロレス参戦のFMD10周年大会(2024年6月30日)

FMD(FULL METAL DOJO)はタイ在住の欧米人が不定期に行っている格闘技イベントであるが、この度、初イベントから数えて10周年を迎え、6月30日にバンコク・ラチャダーピセークのサーカススタジオにて記念大会「FMD 10 YEARS ANNIVERSARY」を開催した。

当日のFMDのプログラム

FMDは、以前は定期的にMMAの大会をバンコク・スクンビットのINSANITYというナイトクラブで催し、スアレック・ルークカムイや、荒東"怪獣キラー"英貴も出場していた。しかし、ここ数年は路線を変更して格闘ショー的なイベント「ファイトサーカス」だったり、ベアナックルのイベントをプーケットで行っていた。

FMDでのスアレックのMMAマッチ(2015年)

著者は今回、9年ぶりにFMDを観戦した。元ラジャダムヌンスタジアム認定ライト級王者の梅野源治が出場すること、野獣ボブ・サップとムエタイ界のレジェンド、セーンチャイがゲストで来場すること、プロレス団体・SET UPの試合が見られることで興味が湧いた。FMDの行っている格闘ショー(ファイトサーカス)の様子をSNSで見たことはあったが、実際に見ると9年ぶりのFMDの変わりように驚くばかりだった。

梅野源治の対戦相手は当日まで伏せられた

会場は300人ほどの入りでほぼ満席。7-8割と圧倒的に欧米人の観客が多く、タイではないような空間だ。FMD側がタイの欧米人コミュニティで広く周知していたのかもしれない。そんな会場入り口では生ビールなどのドリンクの販売と併せて、マリファナの出店があり、場内ではマリファナの臭いが立ち込めている怪しい雰囲気。タイでマリファナが解禁になったとは言えど、午後1時の試合開始前からその臭いがプンプンするとは、すごい世の中になったものだ。

会場の様子、リング上はSETUPプロレスのタッグマッチ。

会場にメタリカの「エンターサンドマン」が鳴り響くと、FMDの主催者であるジョン・ウット氏がそれを歌いながらリングインし、イベントの開始が告げられる。第一試合のMMAは、顎がずっと上がってるイラン人っぽい選手と欧米人選手の闘い。この試合も含めて、MMAマッチは練習生レベルの選手が出ていたりで、見ていて事故が起こるのではと怖い。レフェリーのストップも遅めだ。

そんな中で行われたSET UPプロレス(SET UP THAILAND PRO-WRESTLING )の提供試合においては、サニーZパクサが、SET UPのイベントよりもアグレッシブにリングで、そして客席で暴れまくる。普段とは異なる客層にも関わらず、ベテランコンビは会場を盛り上げて見せた。パクサは9月のSET UPのイベントでは、ノアの拳王と対戦する。

試合前のサニーZとパクサ、パクサは9月に拳王を迎え撃つ
香港人レスラー、サニーZが観客を煽る

SET UPからの提供試合は、もうひと試合あり、団体のエース格であるモノモスとシウバ、バイクタクシーキャラなどで人気のピー・スチャートが出場する3ウェイマッチでなかなか面白そうだったが、この試合の開始を待たずに著者は会場を退席した。

サニーZとパクサのプロレスの試合の後も、MMAだったり、着ぐるみの選手のキックボクシングだったりとショーは続く。ゲストのボブサップとセーンチャイがリングに上がると、7-8人のミゼットレスラーたちがボブサップ組、セーンチャイ組に分かれて、ピローファイティング(枕ファイト)を始めた。この企画の面白さには著者には伝わらなかったが、見る人によっては面白いのだろう。

MMAマッチでKO勝ちし、雄たけびをあげる欧米人選手(サム・アレクサンダー)

続いて、問題の梅野源治戦が開始となった。対戦相手はトランスジェンダー選手のノンロス。その場でヒジなしのルールが説明され、ゴングが鳴らされるが、ノンロスはワンピースを着たまま戦っていた。

梅野源治の対戦相手Xは、ノンロス
梅野対ノンロス、第1ラウンドの攻防

それなりの迫力のある攻防の1ラウンドが終了すると、突如リング上に車椅子2台が運び込まれた。ジョン・ウッド氏が「ここからは車椅子ボクシングだ!」と説明、チームジャパンとして、ボブサップが梅野の車椅子を押し、チームタイランドとして、セーンチャイがノンロスの車椅子を押すとした。

梅野源治&ボブサップの即席のチームジャパン、梅野の左がレフェリー、
ボブ・サップの右がジョン・ウッド
車椅子ボクシングの攻防、チームタイランドが勝利だそう

事前に選手たちに告げられていた様子ではなく、困惑しながらも皆、主催者に従い、車椅子ボクシングを始めた。欧米人観客の反応は、それなりに楽しんでいる様子だが、マリファナパーティの余興の扱いのようにも見え、リングで誰かが戦っていて、盛り上がっていれば何でもいいのかもしれない。車椅子ボクシングの後も、ショーはまだまだ続いたが、マリファナの香りに酔ったのか、もう充分と感じて会場を後にした。


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