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薄い本 de 読むのも好き

原著を当たるのが大変な時に、薄い本で手っ取り早く概要を掴むことがある。この記事で言う「薄い本」は「100分 de 名著」シリーズを指す。

「100分 de 名著」は、毎月1つの名著をピックアップして、4回に分けて紹介するNHKの番組である。2011年から放送されていて、紹介された名著は100を超える。あらすじや、それが書かれた時代背景だけではなく、その名著に詳しい第一人者の考察も加えられるようだ。

https://www.nhk.or.jp/meicho/

「ようだ」と言うのは、正直なところ番組そのものを観たことが無いからである。気になった名著をピックアップして、番組のテキストだけを書店で買い求めて読むのが好きだ。

私も100冊チャレンジしたくなった

以前、感銘を受けた記事に「100分 de 名著シリーズのバックナンバー約100冊を読破した」というのがあった。

読み返すと、自分もやりたくなってきて「人生の100のリスト」に追記した。もはや100のリストではないな。

概要を多く読むか、原著をじっくり読むか

上に挙げた「100冊を読破した」記事への反応にも見られるように、この話題を取り巻く論点としては「要約を多く読む」 v.s. 「原著をじっくり読む」がある。

私は原著に当たることもあれば、要約で済ませることもある。私の感覚として「乗り物で登る」 v.s. 「自分の脚で登る」という手段の対比として捉えている。

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山に登る手段によって得ようとするものが違うため、登山そのものが目的である人に「車で行った方が楽だ」なんて言うのも、山の上に用事がある人に「車で行くなんて邪道だ」なんて言うのもナンセンスである。

私はと言えば、最終的には原著で読む登山体験そのものを求めるけれど、昨今のデジタルネイティブ世代の価値観よろしく(※アラフォーのくせに)、多過ぎる情報の中でハズレに人生を割く余裕がない。

昨今のヒット作がそうであるように、ネタバレだろうが先に自分にとってのアタリであることが確約された状態で作品に触れる。その「ふるい」として要約を読んできた。

読んでいない本について堂々と語る方法

先に挙げた対比は、「本の内容と距離を置く」 v.s. 「本の内容に入り込む」としても相対化できる。前者をエクストリームにまで先鋭化したのが、「読んでない本について堂々と語る方法」だろう。

おそらく世の中の普通の感覚は「要約を読んで興味が湧いたら原著も読んでみよう」である。ところが、著者の「読まない」信念はそんな生ぬるいものではない。

本の内容を読むことが悪であるとすら主張する。内容に踏み込み過ぎると、自分の考えが引っ張られて正常な判断ができないとか。

そのかわりに、図書館の端から端までの本の目次だけを読み漁り、本と本の関係を掴み、脳内の大きな地図に本を位置付けるような接し方をする。そこまでやり遂げて初めて「読んでない本について堂々と語る」ことができる。

ラクして読んだフリをするどころか、これはこれで物凄いストイックである。とは言え知を吸収する合理的な手段としては一理はある。そこまでストイックになれないとしても、全体を鳥瞰する意味で100冊制覇に挑戦してみるのも面白そうだなと考えるようになった。

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