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オンライン上の調整でチームの移籍を成し遂げた話

私には、チームのリーダーとしてメンバーを率いてきた経験がある。特に、メンバーを引き連れて移籍したエピソードが挙げられる。

オンラインのやり取りのみでチーム内の希望を調整し、周辺チームにヒアリングして情報収集し、合併先を選定し、先方のリーダーと条件を調整し、トラブルなく移籍を遂行した。

ちょっとした面接で「リーダーシップとコミニュケーション力を発揮した」事例として語れそうな小話のように書いた。いかんせん、オンラインRPGのギルド運営の話をしている。

前回までのあらすじ:慕っていたギルマスがヘッドハントされてしまい、雇われ店長よろしく新ギルマスとしてギルドを切り盛りしていた。

その後、過疎化するサーバーでの人員確保に難航し、ギルドメンバーが15人まで減って、あわやギルド対抗戦に穴を開ける人数となった。

勧誘の甲斐あってか、ゴールドから移って来てくれたプレイヤーもいたけれど、結果としては定着いただけなかった。HeroWarsにおいては鶏口より牛後の方がメリットが大きかったのだろう。

すなわち、ブロンズリーグの幹部としてギルド戦に選抜されるより、ゴールドリーグの平民として在籍していた方が報酬は大きいようだった。

シルバーリーグ程度のギルドが頑張って勧誘したところで、わざわざ移籍する人はゴールドリーグに滑り込もうとするので、このままギルドを続けるのは得策でないと悟った。強くなければギルドは守れない。

だけど、所属は変わっても仲間は守れる。お互いに素性も知らないのに結束している関係性に愛着を覚え、この仲間と一緒に続けたいと考えた。

「日本語でやりとりできる移籍先を探すけど、私についてきてくれる人はいるか?」と聞いたところ、ちょうど8人のメンバーが名乗りを上げてくれた。私のリーダーシップと言うよりは、これまで培った仲間との関係性に価値を感じたのだろう。

8人を受け入れてくれる合流先の日本語ギルド探しが始まった。当然、上位のギルドであれば集客には困っていないので、同等かそれ以下のギルドとなる。合流はできない相手でも、他所は他所で苦労していることも解って面白かった。

まとまった空きを探す制約はありつつ、もし見つかれば先方にとっても一気に人員確保できるので悪い話ではない。団体交渉権よろしく良い条件を呑んでいただける。

結果から言うと、ギルマスをヘッドハントされて「打倒」を掲げてやってきた相手のギルドが、同じくメンバー減に直面しているようだったので、合流する運びとなった。

移籍にあたって、移籍先のギルドは行儀の悪いプレイヤーをキックすることで、わざわざ席を確保してくださった。途中で別のプレイヤーが乱入した場合には、複数アカウントで運用している元ギルマスが席を開けてくれる調整まで付いた。

移籍する希望者8人ピッタリの空きを用意してくださったけれど、椅子取りゲームのように滑り込む人がいると溢れてしまう。あんなに「来てくれ」と勧誘していたのに、状況が変わると「来ないで」と願っているから不思議なもの。

申し合わせた土曜0時まで加入レベルを最大130に引き上げて、乱入を避ける。合図と同時にレベル110まで引き下げ、110メンバーの移籍が完了すると120に引き上げる。このようにして、希望者全員を取りこぼさず移籍させることができた。

ゲームの本筋と関係ないところで、手に汗握るスリリングな出来事だった。過疎化するサーバーの渦中でどんどんマンネリ化が進む中、打開策としてギルド同士の合併の駆け引きが盛り込まれているとしたら、すごい設計だと思う。

移籍先のギルドとは打ち解けて、機嫌よくやっている。ユルかった移籍前と比べるとちゃんとプレイしなければならないプレッシャーはある。そのおかげもあって、晴れてシルバーリーグに昇格することもできた。

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