振り付けはモーショングラフィックスの糧
一言で映像制作と言うても、「動画編集」と「視覚効果」があり、両者の違いについて説明を試みる。後者の「視覚効果」の肝となる動きの引き出しを肥やす話、「振り付け」との接点について。
横に長い動画編集
先日、お芝居の舞台で配信映像を手掛けたうち、配信映像を編集する作業は前者「動画編集」にあたる。
カメラ等で撮影した動画素材のどこからどこまでを、作成しようとする動画のどこに割り当ててゆくのかを決める作業となる。動画編集は時間軸方向に長くなることが多い。
一度身に付けてしまえば、基本的な操作はそれほど難しくない。ただ、心地よい切り替えを身に付けるのは、呼吸法を身に付けるくらい奥が深い。
縦に積む視覚効果
これに対して後者、短時間のアニメーションやモーショングラフィックスをつくるのは視覚効果にあたる。今回、演劇のオープニングとエンドルールをつくることになって、簡単な視覚効果をつくった。
たくさんの映像やらオブジェクトやらエフェクトやらを積み重ねてつくるので、短時間の動画といっても時間はかかる。切り抜いたり、繰り返したり、パスに沿わせて動かしたり、エフェクト重ね掛け足り、覚えることは凄く多い。サードパーティーのプラグインやら、フッテージ素材やらを確保して作り込むこともある。
解きほぐせば「オブジェクトをいかに動かすか」が肝であろう。上手いこと動きを付ければ、四角い箱を動かすだけなのに生命感を感じさせることができる。
例えば、机の上のコップを持ち上げて麦茶を飲む時も、分解して観るとゆっくり持ち上げ、サッと移動し、ゆっくり口に近付けている。これを視覚効果で再現するのが、いわゆる「イーズアウト/イーズイン」となる。
モーションの引き出しを肥やすこと
車の運転免許を取ると景色が変わるように、視覚効果の道に足を踏み入れると「あの動きはどうなってるんだろう?」という眼で世界を観ることになる。
「椅子から立つ」動作を言葉で説明するのが難しいように、意識せずできる動作であっても、視覚効果で再現するには数理的に捉える必要があって難しい。
すでに定石となっているものは、チュートリアルをなぞれば身に付けられる。ただ、自分だけの表現を追求するならば、世の中にある動きを自分の眼で捉え、表現しようと試み、引き出しを肥やすしかない。
ダンスの「振り付け」が手先の動き一つで感情を表現しているのを見て、このモーションを捉えられるようになったら、表現の幅が広がるんじゃないだろうかと思った。まだその力量は無いけれど。
「視覚効果」と「振り付け」。一見して関係なさそうな事が結び付くのはワクワクする。
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