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ドッペルゲンガーひかる

うちの人生を書いてよ

と言われた私。
早速、あるところに連れていれた。
博多駅のイタリアン。
「いらっしゃいませ〜」の言葉とともに店の奥から出てきたのは、アッシュグレーの髪型に地雷系メイクの少女。エプロンを腰に巻いている。



「ようっ!!ひかるっ」
声をかけたのは、西山だった。
「ようっ!!」
続いてひかると言われる少女。

私には何が何だかわからなかった。
この少女が一体誰なのか、そして二人の関係は何なのか。
私はおどおどしながら席に着いた。

「この子、ひかる!今日ここにきたのは、おだに会わせたかったからなんだよ」
「ひかるです。よろ〜」

いや、こいつチャラいな!!!
指ハートまでしてやがる!!!

「中学の時一緒に保健室登校してて、この間たまたま再会したんだよ!」

西山の目がなぜかキラキラしている

「うちらさ、中学の時大変だったんだよ。明日死ぬか死なないか、みたいな。うちが、保健室登校やめたらさ、ひかる特別教室みたいなところ行っちゃって。そっから一度も会えなくなっちゃって。」

ほう。なんか深そうだぞ?この話。
てか、死ぬか死なないか。って病気のことか。
ひかるは、何があったんだろう。
そんなことを考えながらも、私は西山の話を必死に聞いている。

「ひかる、中学の時マジで笑わなかったんだよ。それが、この間再会したら、こんなに可愛くなってめちゃめちゃ笑ってたの!!」

私は、ひかるの闇を感じた。
それと同時に、私とひかるの共通点に気づいた。

この子、周りに合わせるのに必死だ。

別にちゃんとした根拠があるわけではなかった。
だけど、ひかるのバックグラウンドのようなものが一気に想像できた。
ひかるの笑い方、初対面の人に対する振る舞い方。
全てが、私のやり方とおんなじだった。
私は思った。

ドッペルゲンガーに出会ってしまった。


▶️次回「西山が書いて欲しいと願う本当の理由」

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