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春の足跡


足裏に沁み入る冷気に"こんにちはお久しぶり"と声掛ける宵

親指がつんと澄ましているせいでうまく地面も掴めないまま

アスファルトだらけの街に住む子らに土踏まずの是非説いたところで

パンくずを撒けば小鳥が一羽でも着いて来るかとしずしずとゆく

組む足で分かると笑う頬にさす春の陽射しはぬくいのだろうか

あといくつ進めばいいかも分からないルーレットのない人生ゲーム

散り果てて次の糧にとするほどの花も実もなくまた春がゆく

にじり寄りじっと眺めた紅き爪に意味などないと知ったあの春

歩幅さえ合わせば良いと思ってた積み重なった春を数える

この足で明日明後日あすあさってもそのあとも行くしかないと撫でさする夜




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ちょっとシフトかわってくれる?

なんて相談をしてるんじゃないかと思うぐらい、春と冬がくるくると気ままに入れ替わってくれるものだから、着るものと暖房の使用に悩む。

家じゅうの窓を開け放して過ごしたり、名前を知らない鳥の声がたくさん聞こえてきたり、お風呂上がりの素足に床の冷たさが気持ち良いと思える日もあったのに。

いつもこんな感じだったっけ?
やっぱり、クリーニングは4月も半ばを過ぎてからだと少しズボラな自分を褒める。


とはいえ桜も咲き始めたとかニュースでワアワア言ってるから、長い目で見れば暖かくはなってきているんだろう。季節の変わり目、体調を崩さないようにしないと。


卒入学に無縁の春もこれで何度目?、と簡単な引き算をしてみようとするも、はて?子らはいくつになったんだっけ?と立ち止まる。
もういいや、それだけ前ってことだよね。

ちょっとだけ澄ました出立ちの親御さんと連れ立って歩く制服姿の子どもたちを見かけて初めて、卒業や入学の季節だと知る。


制服を着てる子はみんな我が子よりも年下だと気付いた時は軽くショックだったな。成長が目に見えるあの時期は貴重だったんだと過ぎて見て思う今日この頃。


早いとか遅いとか文句を言われつつも、いまのところ順番通りにやって来る季節には、感謝。

今年の春はいつまでだろうか。


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