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レッド・ロビンに思うこと

春先になると光沢のある紅い芽を出す木がある。
陽ざしを反射してキラキラと、ピョコンと伸びた細い枝部分に紅い葉が付いてたりするので、かなり目立つ。


近所の生垣についている名札によると、ベニカナメモチとか言うらしい。
別名レッド・ロビン。赤いコマドリ

「春に紅葉するんだぁ」
と言った私に
「これは、新芽だよ。うまく剪定してやると、紅い生垣になって綺麗なんだけどね。」
と教えてくれたのは、以前よく遊んでいた女性。ここにもたまに登場。

どうして、この木が春先に紅い葉を出すのか、理由も事細かく教えてもらった気もする…けど忘れた。
葉が紅くなるのは秋だと思い込んでたので、私は「ほぇ~」とただただ感心するだけ。ついでに、「竹の秋」っていうのも教えてもらった。春に竹の葉が黄色くなることをそう言うんだとか。

彼女は、凄く植物に詳しくて、名前はもちろん仲間にどんな植物があるだとか、薬用だとか毒だとか園芸種だとか原種だとか絶滅危惧種だとか外来種だとか…、空を見ながら歩く道すがらで、色々教えてくれた。

一戸建てのおうちも、庭の植栽を見れば大体何年頃に建てられたかもわかるって言ってた。庭木になる特に園芸種には、流行りがあるんだそうな。

何気ない疑問がその場で解決するっていうのは、やっぱり楽しい。小難しい話じゃなく雑談の延長だから。

専門的な知識がある人ほど、さらっとさりげなく教えてくれるんだというのも、この頃に知った。こっちが間違ってても、勘違いしてても頭ごなしには否定してこない。(ま、素人相手にムキになってもって感じなんだろうけど、たまにいるから、そーいうヒト。)

反対に尋ねたことに対しては、こっちのひくーい目線まで、するするする~っと降りてきてくれて、ニコニコしながら楽しそうに話してくれる。あれは、ホント楽しい面白い以外のなにものでもなかったなぁ。


さて、近所には、このベニカナメモチ以外にも、生垣にされている低木が結構ある。

近所の高層マンションの外周は、ツツジに雪柳が段層的に植えられているし、広めの歩道がある所では、歩行者と自転車道を分けるためにクチナシが脛ほどの高さで植えられてる。私に判別がつくのは、この程度。

他にも、春から夏にかけて、小さな花を咲かせているのも幾つか見かけるし、カラスノエンドウのお化け版みたいなクサフジ系にほとんど覆いつくされているような生垣まである。ここまでくると、もう生垣ですらない。
もう少し経つと、カラスウリやヘクソカズラの蔓が絡み始めたりもして、廃墟か?って怖くなる元生垣もある。

それで、ふと思うこと。
個人宅じゃない生垣でも、水やりや剪定はある程度の間隔で実施されているんだろうけど、花殻が摘まれていることはあまりなさそう。

境界のためだけの木だけど
人工のものよりいいだろう的な。
癒しの空間を演出してますよ的な。
ま、私に文句を言う権利は、1ミクロンもないんだけど。

シナシナと萎んでいくツツジ、花弁の縁から茶色に変色して萎れていくクチナシ。
たまにそういうのを見かけると、なんだかなぁって。

とはいえ、散歩のついでに歩きながら花を摘んだりなんぞしたら、他所様の敷地でなにやってんだ!ってことで、花摘み泥棒になるし、道路沿いだと公共の物に何してんだ!って思われるだろうしなぁ~と。
それが、たとえ萎れた花だとしても。

そう思いつつ行き過ぎてる私も、きっと同じ穴の狢なんだろう。


昔、バイトしてた店先にも小さなサツキが植わってた。仕事が暇な時の花殻摘みは、良い時間潰しになった。
同僚には笑われたけど、オーナーとは「暇やしなぁ~」と言いながら雑談しつつ一緒に摘んだ。

朝の水やりで、ホースの水圧に押し潰されたようになったサツキの花。元気なうちは起き上がってこれるけど。
汚くなったのは、放って置いたから。そんな水の遣り方をしたから。全部、サツキのせいじゃない。
(ちなみに、水遣り担当は私じゃありません。一応そこのところよろしくです。)


綺麗なうちはちやほやするのに、ダメになりそうになった途端知らんぷりして、斜め上から見てるだけ。

こういう時にふと思い出す。

食べたら食事、捨てれば生ごみ。
そう言ってた家庭科の先生がいた。

調理の際に出る野菜くずや食べ残しは、少しも汚いものじゃないと。何かの拍子でたまたま口に入らなかったというだけ。
すぐに処理すれば、汚くも気持ち悪くもないと。ゴミ箱に入れてからがゴミなんだと。

生垣の話が、生ゴミの話になってまった。

生垣って、「生きてる垣」って書くんだよなとか、遮蔽や区画のためだから、風で枝が大きく揺れたりもしないし、繁殖が激しいものじゃないんだよなとか…。

散歩ってホント色々思いだす。



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