見出し画像

ご一緒に

秋風にかさとめくられゆくように響くひとこと さみしい とだけ

********

今の間に と家事を片付けていると「ひとりでおやつはさみしいの」と2歳児が言う

がちゃがちゃがちゃと洗い物をしていたら
ぐあんぐあん回る洗濯機の側にいたら
ごぉごぉがぁがぁ掃除機を掛けていたら

聞こえて来なかったかもしれないほどの小さな声で
訴えてくるわけでもなく
求めてくるわけでもなく
その分とても切実で

それからはマグカップを持って横に座るようにした。
でも、だからって何かが始まるわけでもない。楽しそうに嬉しそうに黙々とおやつを食べるだけ。「ひとつ頂戴」と言えば、気前よく「どーぞ」と掌に乗せてくれる。

近ごろは「ご一緒に」が「いただきます」の前につけられるようになった。
「さきにたべたらダメだよ」と注意されるじぃじ。笑

誰かが居るだけ、そこに居るだけで価値があるんだなと思った。

一人で過ごすことが多くなり過ぎて、自分ではない誰かの形や影や温もりを忘れかけてる。


ご一緒に

名もなきままでも名も知らぬ誰かに出来る何かがきっとあるはず





この記事が参加している募集

#今日の短歌

40,558件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?