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【イベントレポート】WHO AM I? ー何者かを語るイベントー #5 消費されない建築のパイオニズム

皆さんこんにちは。
東北も梅雨明け間近で暑さもこれから本格化しそうです。
皆様くれぐれも熱中症にはお気をつけください。

そんな夏本番が近づく中、去る7月16日に熱い夜が訪れました。
通算5回目となったWHO AM I?
今回は「消費されない建築のパイオニズム」というテーマで今年の5月に南相馬市の地域おこし協力隊に着任した中川雄斗(なかがわ•ゆうと)さんにご登壇頂きました。

いつものチラシ紹介コーナー
今回はアースカラーな雰囲気に仕上げてみました。
チラシとして派手な配色ではありませんが、中川さんが普段着用している服の色系統や、建築材料、中川さんの落ち着いたイメージなどから着想を得た仕上がりです。

今回のWHO AM I?の中川さんならではなポイントは過去に中川さんが設計建築した建物の資料や、コンペの際の建築模型を持参いただいたところです。

さて、本編について触れていきましょう。

中川さんには幼少期からものづくりが好きで、当時の担任の先生が児童が作ったものを教室に飾ってくれるような先生だったそうです。
その喜びを知った中川さんは建築家という職業を志し始めます。


中学校に上がった中川さんは当時ハマっていたものがあったそうです。
それは、Mr.Children
しかし、ある時ぱったりと聞かなくなってしまったのだとか。この体験が後に消費について考えるきっかけとなった出来事だったそうです。

その後、大学に進学した中川さん。今まで漠然と建築家と思って建築学科に入学しましたが、本格的に勉強を始めると建築の面白さにのめり込んでいきました。

当時美術館の建築について熱心に勉強をしていたところ、アートやデザインに対しての興味も広がっていったそうです。

また、のちに中川さんの建築思想に多大な影響を及ぼすことになるジャン=ボードリヤールという哲学者の思想に出会うことになります。
この哲学者との出会いが中川さんを飽くなき哲学への興味に誘って行きました。

大学卒業後、中川さんは名古屋の設計事務所に入所します。ここでは公共建築の古くなっているところを直すお仕事をしていました。
いわゆる修繕・耐震の図面をひたすら描くだけという仕事が多く、中川さんの心を蝕んでいきます。
中川さん自身のクリエイティビティ欲を補完するためにあいちトリエンナーレの参加型作品制作に関わったり、音楽とかウェブ作りみたいなものを独学でやってみたりしながら過ごしており、この間に哲学への興味はさらに増していったそうです。

その後中川さんは2年間実務経験により一級建築士の資格を獲得します。名古屋の設計事務所を辞めた後は、建築の枠を広げるべくインターンとして様々な事務所に行って経験を積んでいきました。
一時は海外の建築を見にヨーロッパへ渡航していたこともあったそうです。また、仕事と並行してコンペという建築のアイデアを披露する大会に参加して賞を獲得した経験も。

様々な経験を経てそろそろ独立しようと考えていた時期に南相馬市の地域おこし協力隊を知って応募、5月に着任し、6月には念願の個人設計事務所「UYNA(ユイナ)/中川雄斗建築設計事務所」を設立し、これから消費されない地区と地域を作っていくぞというところが現在地とのことでした。

中川さんのWHO AM I?の構成は初めに自分史を15分程度で語り切ってしまい、残りは没頭してきたボードリヤールの哲学に関することと自身の建築思想に結びつく話をする、という今までにないスタイルのトーク展開でした。

このボードリヤールのレポートを書き始めると筆者の表現力では手に追えないのでここにアーカイブ動画のリンクを貼らせて頂きます。

ものすごくざっくりいうと「消費」には

物理的な消費(食べることでそれそのものがなくなる、建物が壊される)
コンテンツ的消費(ものやサービスに飽きる、魅力や愛着が減少する)

の二つがあって、この二つの消費を踏まえた上で中川さんの考える「消費されない建築と地域」についての見解を引用します。

中川:戦後復興とか経済成長を経て、資本主義をベースにした大量消費社会になっている現代社会において一時的な売り上げや流行や効率を求める考え方が物理的にも概念的にも一般化しているのでその結果、空き家問題やスクラップアンドビルドや地方の人口減少などが問題になっているので消費されないってことが個人的にも社会的にも必要と考えています。そのために大切にしていることとしては地域と建築両方が影響を与えたり、多様な人との事業を連鎖させること、代替されない単純化されないやり方や柔軟に変化や更新性を取り入れるたりすることを大きなテーマとしながら全体として「消費されない建築と地域」を今構想しているところです。

この先のお話はかなりマニアックな哲学の話が入ってきますので、ご興味のある方はぜひ、上記のYouTubeリンクからアーカイブをご覧くださいませ。

最後にお知らせがあります!
来る8/16日に、なんと中川さんの建築事務所がお化け屋敷に変貌を遂げます。

その名も「おばけの出ないおばけ屋敷」

そう、おばけは出ません。中川さんの事務所は元は種屋さんという植物の種を販売していた場所で、複雑な増改築が建築に独特の個性を与えています。
そんな建物の個性をこのイベントで感じてもらいたい。
そこで人間の「違和感」はどこから来るのか、ということに着目して夜、暗くした設計事務所の中を探検するイベントを企画しました。
こちらのイベント企画には筆者も運営として関わっており、大変楽しみなイベントです。
詳しくは以下のイベント仮チラシをご覧ください。

今回のWHO AM I? #5は普段のパイオニアヴィレッジにお越しくださる方々とは一味違った顔ぶれとなりました。
登壇者の人間関係によってイベント参加者が変わるのもならではの特徴ですね。

今後、消費されない建築と地域を作り上げていく中川さんにどうぞご注目ください!!


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