アラジン

実写版「アラジン」


実写版アラジンを見てきたので、ささやかながら拙い感想を書きます。
未鑑賞の方は注意です。
あとオタクのTwitter構文ばかりなので、それも注意です。

自分はアニメ版のファンである事もあり、そちらの演出やストーリーが解釈の基盤になっています。ご了承ください。


端的に言えば、アニメ映画の実写化ではなく「新解釈アラジン」という感じ。
特にキャラクター性の違いは興味深かったので、今回は演出・演技→キャラクターの順でお話します。



演出

自分が見たのは吹き替え版ですが、ダンスやCG、歌の迫力は抜群。
アグラバーの街や宮殿など背景の仰々しさ・舞台装置っぽさもアラビアの熱を感じさせます。

序盤が駆け足に感じたのと、個人的にはアニメ映画の「僕を信じろ(僕を信じて)」の伏線と回収の美しさが好きだったので、喧騒に紛れて印象が薄く感じてしまったのだけは少し残念でした。
(アニメ版では、アラジンが処刑されたと思い込み自己嫌悪に陥ったジャスミンが、このセリフとリンゴを渡す動作でアリ王子=アラジンを確信します)


演技

俳優陣、特にメナ・マスード氏のアニメと遜色ない身のこなしについてはもう見ての通り(リンゴのジャグリングも特典映像として収録していただきたい)なので、吹き替えのお話をします。

CMを見た時から感じていましたが、吹き替えの声・演技に違和感がなく、それぞれにその登場人物らしさがありました。
アラジンの嫌味ない青年の声、凛々しいジャスミン、荒ぶるジャファー、そしてちょっとスレたジーニー、誰も素敵です。

対してセリフは「〜かもな」「〜だしな」「〜だよな」など「〜な」が妙に多用されている事と「それな」「神ってる!」などの若者言葉には少々違和感。まるで春川宙な〜?(春川宙くんは最高なのですが)
アラジンやジーニーの陽気さの表現、大衆ウケを意識しての翻訳だと思いますが、ちょっと味付けが濃いかな……。


キャラクター

◆動物たち

アブーやイアーゴから自我(相棒の内面を表す部分)がなくなり、アラジン達本人にその分のキャラクター性が織り交ぜられているな、という印象。
だからアラジンは少し気が小さくなり、悪びれずに自己中心的な態度も取ってしまうし、ジャファーは色気を失って徹頭徹尾小物でいるのだと思います。
動物たちの自我喪失・リンゴを渡すシーンやジャファーの変装がカットされる反面、逃げ回るシーンや幻想的な風景への力の入れ方を見るとリアリティとファンタジーのバランスをかなり計っているのは分かりました。


◆自分の足で跳べるジャスミンと跳べないジャスミン、ジーニーの切実さ

キャラクター性で言うと、ジャスミンは自立心が強く、時に色仕掛けも辞さないしたたかな女性であったアニメ版性別という枠組みに抑圧された心を解き放つ実写版の「強い女性像」の違いが面白かったです。
どちらが良いという事ではありませんが、時代の変化を感じさせますね。

また、今回ジーニーを演じたウィル・スミス氏の色気からか、彼はただの明るく従順な魔神ではなく、よりワイルドでちょっとスレたような人間味のある存在になっていました。
アニメ版では想像がつかないことでしたが、恋の前に調子に乗り切れない彼なら、人間になりたがるのも納得です。


◆ダリア

そんな登場人物に並び、実写版オリジナルキャラクターとして侍女のダリアがいますが、彼女はアニメ版(1作目)で孤独と切っても切れなかった人物2人に寄り添う存在だと感じました。
ジャスミンに対するダリアのような等身大で話せる友達のような存在は、アニメ版の“本当の友達だっていない”プリンセス・ジャスミンに対しての救いのようで、見ているこちらも心が和らぎます。
そしてジーニー。彼のアニメ版冒頭の姿は、物語のラストで自由になった事を考えると一見パッとしませんが、今回は奥さんと2人の子供とのワンシーンから開始。しかも物語が進む事で、奥さんは魔神時の意中の相手であったと分かる。勿論、前者の気楽さも自由の形ではありますが、後者のようなわかりやすい形でジーニーが幸せを手に入れている描写は、登場人物たちが夢見る「自由=幸せ」の実現例と言えるでしょう。
ラジャーは他の動物に比べるとまだキャラクターらしさがありましたが、彼では出来ない役割を担ってくれた、愛嬌のある魅力的な女性でした。


おわりの会

アニメを基にした新しいアラジンの形。
散々比較しておいて何ですが、単体の作品として一見の価値アリです。

そしてこれはとってもとっても大事なことなのですが……

魔法の絨毯の可愛さはアニメ版と変わらず100点満点でした!!

正直モンスターペアレントになりそうなシーンもありましたが、ありがとうアラジン、ありがとう魔法の絨毯、いや魔法の絨たん


未鑑賞の魔法の絨毯ファンは劇場へ急げ!!


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