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どっちがお得?

人生のさまざまな局面で「どっちが得だろうか?」とあれこれ迷ってなかなか決断できない、ということはよくあります。例えば、賃貸に住み続けようか、あるいは思い切って家を買おうか…難しい問題ですね。

資産形成におけるNISAとiDeCoも、どっちがいいのか大いに迷います。結論を先に言うと…大変難しいです。難しいのをあえて比較しますと、主なポイントは以下の通り。

           NISA          iDeCo
所得控除の有無     ×           ○
課税の有無       ○           ×
投資額の上限    1800万円        約800~2400万円(※1)
換金性         ○           ×(※2)

※1:会社員か個人事業主かで違う、投資期間30年で計算
※2:60歳まで引き出し不可

換金性はiDeCoに分が悪いのですが、NISAの目的も長期投資で老後資金だと仮定すれば、比較のポイントは所得控除と課税に絞られますので、難しい話が少し簡単になります。

まずは所得控除ですが、今日はサラリーマンに話を絞って進めていきます。ちなみに個人事業主は、所得控除効果がさらに大きいです。

月額上限23,000円を30年間積み立てたとします。23,000×12×30=8,280,000円。ちょっとまとめて800万円とします(上表の800万円とはこのことです)。

30年間で収入も変わりますので何とも言えませんが、所得税率は平均で15パーセントと仮定します。住民税率は一律10パーセントなので、合わせて25パーセント。すると、所得控除による節税効果は800万円×0.25=200万円となります。つまりこれが上表の所得控除の有無欄における「iDeCoで得する」具体的金額となります。

つぎはNISAでお得な課税について。NISAは枠上限1800万円までの運用益は非課税ですが、iDeCoについては残念ながら税金がかかります。

つまりは、このiDeCoにかかる税金によって、トータルでNISAがお得かiDeCoがお得かということになるわけですが、この税額の計算がまた果てしなく難しいので、ポイントだけ下記します。

・通常の退職金はいくらか?→iDeCoのうち、どれほどが退職所得の対象となるか?
・一時金で受け取るか、年金で受け取るか?
・通常の退職金と同時に受け取るか、あるいは受け取り時期をずらすか?
・そもそも、30年間かけて積み立てた投資元本800万円は、果たして30年後にいくらに成長しているか?

ただ、ここで終わると抗議が来そうなので、一番不利な設定、つまり一時受け取りの退職所得扱いかつ通常の退職金も同時に受け取り、退職所得控除は退職金で全額使い切ってしまった、という仮定で計算してみます。

iDeCoの投資元本800万円は、ざっと倍の1600万円に成長したと想定します。当たらずとも遠からずだと思いますので。

この1600万円は全額退職所得の対象となります(課税所得は半分の800万円)。計算式は割愛しますが、課税所得800万円にかかる税金(所得税住民税)は約200万円です。これが「iDeCoで損する」具体的金額となります。

まとめると、「iDeCoで得する」具体的金額は約200万円。「iDeCoで損する」具体的金額は約200万円。差し引きトータルゼロとなりました。

NISAとidecoどっちがお得?は永遠のテーマですが、何をどう考えればよいのかのヒントになれば幸いです。

NISAは解約自由、それだけに長続き難しい。

iDeCoは何があっても中途解約不可だけに、必然的に長い付き合い。

NISAとiDeCo、うまく使い分けて資産形成していきたい、もちろん余裕資金が前提です。