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第1話 恋はいつでもハリケーン

やあ。僕は小学5年生のおっくんだよ。

なんでおっくんっていうの?ってよくみんなに言われるんだ。

何でみんなそんなことを聞いてくるかというと、僕の名前には一文字も【お】なんて入ってないからさ。

僕の名前は【よしお】

小さい頃に家族から【ヨシくん】て呼ばれていたんだけど、まだ小さかった僕は周りのいうのを真似て【ヨシくん】と言おうとしたら、僕は自分で自分のことを【おっくん】て言ったらしいよ。

そのままもう5年生になるけどまだ僕は【おっくん】とみんなから呼ばれるし、自分でも「僕のことはおっくんって呼んで、みんなそう呼ぶから」とそう自己紹介をするんだ。

そうしたら知り合ったばっかりの先生も、クラスの子も、何だか家族みたいに接してくれてるようで僕は嬉しいんだ。

まあ僕のことはこんな感じ。あとはどこにでもいる普通の小学生だよ。

ただ今日話すのは他でもない、何となく君もわかるでしょう?

そう、【好きな子の話】について今日は僕の話を聞いて欲しいんだ。

僕のクラスでね、「〇〇の好きな子は誰?」なんて会話が時々出てくるんだ。

それで僕は「好きな子って何?」って言ったんだ。

何だかよくわからないけどみんながいうには「おっくんがあの子いいなーって思う女子のこと」って言うんだ。

いいなーって思うってなんだろう?

それが僕にはよくわからなかった。

それは『いつもテストの点数が良くて羨ましいな〜』とも違うって

それは『〇〇ちゃんのうちはお金持ちでいいな〜』とも違うんだってさ。

僕はね、家に帰ってお母さんに聞いたんだ。

「ねえねえ、お母さん。好きな子って何?」

僕がそう聞くと、困った顔のお母さんは「おっくんがこの子可愛い!とか思う子かなぁ……いや、可愛くなくても好きになることもあるねぇ……」

「クラスで一番可愛い子とか?」

「おっくんから見て学校で一番可愛い子が好きなんじゃないかなぁ……小学生ってそんなもんだと思うし……」

「じゃあ大人が思う好きな人って何になるの?」

「ん〜……もっと広くなるんだと思う……世界で一番好きな人……?とか……」

「じゃあお父さんのこと世界一好きなの?」

「ん〜……えぇ〜????」

大人もはっきりわからないのに僕のクラスのみんなはハッキリとそれがわかってるのかなぁ?

するとお母さんが慌てて僕にこう言ったんだ。

「これだけは言えることがある。【見てうわぁ】【話してオォ】【触れてアー!】そんな子がおっくんの前に現れたらそれは恋で間違いないと思う」

お母さんは僕にわかるように説明してくれた。

好きな人にだけ出る感情として恋っていうのがあるんだって。

その人が現れた時に、その子を見て【うわぁ】って見惚れるらしい。

その子と話すと【オォ】って感動するらしい。

その子に触れると【アー!】ってパニックになりそうになるらしい。

なるほど。じゃあまだ会ったことないや。

でもお母さんがいうには昨日まで何ともなかった人に対して急にそんなふうになることもあるらしい。

誰が言ったか、恋はいつでもハリケーンなんだと、いつ起こってもおかしくないものなのだとそう僕に教えてくれた。

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