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闘病生活

9
わたしらしく、前向きに綴る闘病記録。
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記事一覧

Vol.9

◎1月 わたしなりに闘病生活を綴り始めて1年。 長いようで短くて、短いようで長い時間だったと振り返ることからはじまった2022年。 毎年恒例のお墓参りから戻ってきた祖父の家で、沸き立ての熱湯を左手人差し指・中指にぶっかけて火傷をするという、とんでもない大失態をやらかした年始早々。 世間一般の仕事始めとほぼ同時にすぐさま現在の仕事が始まり、1日2時間から4時間の勤務を週に1回、2回と増やしていった。ずっと子どもたちと関わる仕事に対してメラメラと燃やしてきた熱意は、勤務時間の延長

Vol.8

◎11月 霜月という名の通り、朝晩は霜が降るほど冷え込んでいる。日中は散歩をするだけですこし汗ばめるくらい、まだまだ暖かい。 筋トレを週に4-5日、リハビリを含む有酸素運動と7時間程度の睡眠を毎日続けているおかげか、絶好調だと胸を張って言えるくらい落ち着いている。 あっという間に1年を迎えた、総合病院での神経内科の受診。いつも通り問診や筋力を診ていただき、「表情で伝わってくるくらい本当に元気そうで良かった」とお褒めいただいた。 先月受けた頭部MRIの検査結果を伺う。右側頭葉に

Ver.7

◎9月 大きな寒暖差と少し冷たい風に、秋のにおいを感じる。 かなり良いコンディションで8月31日から9月7日まで、大学病院で長時間ビデオ脳波モニタリング検査を受けた。 個室入院もビデオモニタリングも生まれてはじめてのわたしは、自分の病室に置かれた医療器具に興味津々。身体拘束具がすべて準備されていたのには少し身構えたが、数多くあるてんかん発作の中には、意識のないまま立ち上がったり歩き回ったりしてしまう等という発作もあることを事前に知っていた上、看護師さんが丁寧に説明してくださっ

Ver.6

◎7月 梅雨らしいじめじめとした気候が、からっと乾いた夏の陽気に変わる。 ひとつ年を重ね、わたしは24歳になった。 昨夏、自律神経失調症を患った際には一切かけなくなってしまった汗が、じんわり肌にまとわりつくようなかき方に変わり、なおさら身体に熱がこもることに気付く。毎日行ってきた自宅でのリハビリも、長い時間続けるのは危ないと思い、涼しい時間に15分くらいの短時間のメニューを何回も行うことにした。 6月末に勧められた大学病院での検査入院について、総合病院から紹介状を送っていただ

Ver.5

◎5月 鮮やかな新緑に心洗われる、闘病してはじめての初夏。4月末に病名がはじめて判明して安心したのと同時に、なってしまったことは仕方ないとすぐに折り合いをつけることができた。 前回の診察でお話しいただいた通り、すべての自覚症状を詳細に、毎日ノートに記録することを始めた。症状と時間をその都度スマホにメモしておき、就寝前にメモを見ながら日にち・症状・時間をすべて記録。診察時にわざわざスマホを取り出すよりも、書き記したノートを主治医に見せた方がスマートであるということと、だんだん使

Ver.4

◎3月 世間は忙しなく過ぎ去るひと月。頭が引っ張られるてんかん発作のような症状も落ち着き、少しずつ快調へと向かっていくのを実感した。動かしにくい左半身をかばいながら、日課としてきた家事や散歩もだんだんと長い時間こなせるようになり、再就職するために昨秋の入院中から蓄えてきた、発達支援の知識をほぼ毎日見返した。自分の身体ともっとまっすぐ向き合いたくて、脳疾患と脳神経の医学や看護学、その中で興味の湧いてきた理学療法や作業療法について、独学で勉強をし始めた。 年度の切り替わるこの時節

Ver.3

◎1月 2021年を無事に迎えられたことにひと安心しながら、毎年恒例の実業団駅伝・大学駅伝をじっくりTV観戦していた年始早々。10日ほどてんかん発作のようなものが続き、新生活に向けて前を向く心とは裏腹に、わたしの身体は悲鳴を上げ、新生活はまだ先のことだと心の奥に押し込めた。 昨年末に気付いた顎下リンパ節の腫れだが、朝がいちばん大きく腫れ、日が落ちるにつれて小さくなるようになった。起床してすぐ鏡を見ると就寝前の1.5倍は腫れ上がってしまうのが1週間続き、緊急で総合病院に予約を取

Ver.2

◎11月 久しぶりの実家。まったく身体の制御が効かなくなった2か月を乗り切ったわたしは、またすぐにでも新生活ができるつもりでいた。しかし、身体が受けているダメージは今までに感じている以上に大きいものだった。 退院前に主治医からは、「今後、右側頭葉の浮腫がある分野の機能不全、もしくはてんかん発作が出てくる可能性が非常に高い。」とお話をいただいていたが、そのてんかん発作のようなものが顔を出し始めたのはこの頃。 頭が左上の方向に引っ張られたあと、両腕が頭を追いかけるように引っ張られ

Ver.1

当時の恩師に憧れてきた幼稚園教諭として勤めてきた2年6か月。 挫折続きだった仕事もようやく波に乗ってきて、“ まだまだ ここから ” と意気込んでいた。 ひとり暮らしにも慣れ、自分の生活を楽しめるようにもなった2020年の秋。 わたしの身体に名もなき病魔が襲いかかった。 ◎9月 物が二重に見える複視、思わず倒れこむほどの頭痛、黄色いライトに対しての異常なまぶしさ、全身脱力、左半身の痺れ・感覚異常・麻痺、飲み込みにくさ、呂律のまわりにくさ。 それまでまったく経験のなかった症状