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Ver.3

◎1月
2021年を無事に迎えられたことにひと安心しながら、毎年恒例の実業団駅伝・大学駅伝をじっくりTV観戦していた年始早々。10日ほどてんかん発作のようなものが続き、新生活に向けて前を向く心とは裏腹に、わたしの身体は悲鳴を上げ、新生活はまだ先のことだと心の奥に押し込めた。
昨年末に気付いた顎下リンパ節の腫れだが、朝がいちばん大きく腫れ、日が落ちるにつれて小さくなるようになった。起床してすぐ鏡を見ると就寝前の1.5倍は腫れ上がってしまうのが1週間続き、緊急で総合病院に予約を取った。
3度目の通院。いつも通り主治医の診察を受けると、「様々な神経の集まる箇所であるため、このまま耳鼻科の診察と検査を受けるように。」とのこと。総合病院で2つの診療科に受診することがはじめてということもあり、緊張しながら耳鼻科に向かうと、若々しい医師が担当してくださることになった。人生ではじめて胃カメラを気管支直前まで入れていただき、気管が狭まっていないことを確認した後、2度目の超音波検査を受けたが、大きさは変わりなく右よりも左の方が1.5cm大きいままだった。検査後に医師から「早いうちにこのリンパ節から針で細胞を取り出して、良性のものなのか悪性のものなのか見極めよう。」と指示を受けた。良性であればリンパ管腫という害のないこぶ、悪性であればリンパ腫と呼ばれる血液のがん。良性であっても大きくなりすぎれば気管切開、悪性であれば全身転移の可能性が大きいためすぐさま切除手術。いちばんに最悪の状況を考えてしまうというわたしの悪い癖が、自分の身体を蝕んでいるかもしれない新たな病魔への恐怖心を増大させていた。


◎2月
4度目の通院。先日の針生検の結果、わたしの顎下のリンパ節からは悪いものは何もなく、自然と大きく育ってしまったもので、今後自然に小さくなっていくのを待つしかないとのこと。このまま小さくならず大きく腫れ上がったままであれば切除手術を受けるという形になった。ひとまず安心した。安心以外に言葉が出てこないほどようやく一息つくことができた。これで短い耳鼻科への通院が終わった。
そんな中、水に触れると濡れた部分からじわじわと痛み、力が入りにくくなる感覚過敏が新たに出てくる。帰宅後・食事の前後・トイレの後・鼻をかんだ後・くしゃみをした後等、1日に何度もせっけんで手を洗うことが幼い頃から習慣化しているわたしにとって、水に触れることがとても大きな苦痛になっている。
5度目の通院。久しぶりの神経内科。反射の有無・力や感覚の左右差の軽い検査と問診を受け、主治医に少し快方に向かっているように感じていることを伝える。発症からもうすぐ半年ということもあり、年度の明ける4月に頭部MRIの撮影を再度するということが決まった。
昨年の9月末から「貴方が想像しているよりも50倍酷くて100倍厄介だ」と主治医から言われており、24時間365日、わたしは死と隣り合わせでいつ命を落としてもおかしくないと、大きな覚悟を決めている。だが、ようやく自分自身の身体の状態を理解・受容して、興味のある仕事を始めたり、またひとり暮らしを再開したりするための準備ができる段階に辿り着いたということを本当にうれしく思う。
わたしの真の “ まだまだ ここから ” は、ここから幕を開ける。

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