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ハーゲンダッツのめっちゃデカいやつを食った

何もかもが上手くいかない。朝目覚めたら、予定よりも一時間早く起きていて、まだまだ眠れるなあなんて思ってる内に、次に目を開いたらとっくに家を出て居なければいけない時間になっていた。
急いで家を飛び出して、途中でバイト着を忘れていることを思い出し、戻り、自転車に乗って、爆走、途中の公園でド早朝からキャッチボールをしている親子を見て、だからと言って彼がプロになれる保証など何処にもないないではないか!みたいなことを叫んで、車にひかれて、しかも軽、血だらけになりながら電車に乗った。
あまりにも急いでいたため、マスクをし忘れていることを、マスクをしている車内の連中を見て思い出した。
どいつもこいつも白い眼を向けて来やがって、単なるヒステリックにしか見えない。そもそも私以外全員がマスクをしているのであれば、私はマスクをしなくても良いのではないだろうか。その癖、電車の窓は閉まりっぱなしで、私を睨んでばかりの阿呆共には換気の発想が無いというのだから、驚いた。電車の端から端までの窓を開けている内に駅に着いた。これぞ注意喚起!なんつって!糞が!
もう遅刻しているのだからどうしようもないのだけど、珍しく遅刻という現象の中にいることが辛くなってきて、仕方がなくタクシーに乗った。
運転手に500円です、と言われ驚いた。これまでは確か730円だったはずだ。
先日バイト先のおばさんが、朝タクシーに乗ったら運転手が安くしてくれたみたいなことを言っていた気がする。
単なるラッキーなどではなく、運転手の粋な計らいであったら礼を言わなくてはならないと思い、お安くして頂いたのですか?と聞くと、モゾモゾモゾモゾモと言葉を磨り潰したような発音をする運転手で、何のこっちゃ分からない。マジで単なるラッキーだった気がしてきて、なんならそうだったらいいなとすら思えてきて、サラッと値引きしてくれたのだとしても、礼を言った際にスカすのは何だか違うように思えてきて、それに加え遅刻をしているので、聞き返すことをせず、あざした、したした、みたいなことをハッキリと言って、タクシーから降りた。

店に着いたら、着いたで、店内が糞暑くて、40℃くらいあって、気が狂いそうになって、てかもう先週くらいから私の精神は錯乱しているような感じで、鼻歌を歌いながら、パン、おにぎりを並べ、殺してやる、殺してやる、とつぶやきながら、明太子、鮭、ツナマヨという並びを、明太子、ツナマヨ、鮭に変えたりしていたのである。明太子と鮭のラベルの色は似ているので、間にツナマヨを挟んだらどうかしら?という魂胆だ。

休憩中、筆箱の中に入れたはずのUSBが無いことに気が付いた。小さい割に重要なデータが入り過ぎている。何でもコンパクトにコンパクトに、持ちやすく、運びやすくした結果がこれだ。
スイカで、と言った客がガッツポーズする感じで、あっぷるウォッチを使用している。目が合う。なんやねん。

USBはデカければデカい程いい。
こうゆう時バックアップは取ったの?と必ず、正義を振りかざしてくる人間がいるが、真っ当な会話をするつもりは毛頭ない。
どうしようもない。どうしようもなくなっている人間に正しさを押し付ける行為は、自己満足でしかないことを知るがいい。そんなことより、クとアの発音をきちんと分けるべきである。貴様のそれだと、ばっかっぷになってしまう。
何かのイベントの手伝いで、椅子と机を運んでいる時、もっとこういう風に運んだ方がいいんじゃないですか?と言われた時のことを思い出した。効率的なことを言っている時の人間の顔は、何か自身に満ち溢れていておっかなく思う。

昨日買ったハーゲンダッツのデカい奴を家に帰って食べた。
めっちゃデカい。私が望むUSBのサイズ感である。1000円もした。甘い。泣きながら食った。金が無い。家族が崩壊している。でも皆本気で、死ぬ気で頑張っている。泣いている親と電話をすると、心が砕かれる。
何も気になっていないような気がしていたのだけど、私の調子がおかしい。何かを感じれていることに安堵する。
ハーゲンダッツめっちゃ甘い。マジ泣ける。染みる。平成のラブソングみたい。イライラする。
血管がはち切れそうだ。朝の9時になると毎回叫びそうになる。
怒っても何の解決にもならないよと、私の右斜め上の私がつぶやく。
冷静に行こうよ、と言いやがる。やっと捕まえた。私の人間味を奪い続けたのはこいつだ。私は猿だ。猿らしくいさせてくれ。
近頃の私は、どうしていいか分からないのである。


落合諒です。お笑いと文章を書きます。何卒よろしくお願いします。