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Alleima|オレンジを効かせたVI刷新

今回、スウェーデンにある、特殊合金素材の大手ブランドAlleima(アレイマ)のVI刷新を紹介します。

|Alleima(アレイマ)とは

2021年に設立されたAlleimaは、スウェーデンのサンドヴィケンに本社を置き、約90カ国に顧客を持つ「高度なステンレス鋼、特殊合金、加熱システム」の世界的なブランドです。

今回のVI刷新におけるブランドの戦略の方向性

  • 素材技術の革新的リーダーになる

  • 先進的な顧客パートナーとなる

  • サステナビリティ推進者になる


|ネーミングの由来

Alleimaの"Allei"はフランス語で「合金(Alley)」、"Ma" は「材料(Material)」の短縮形を表しています。

「アレイ」と聞くと、鉄"アレイ"?と思ってしまったのですが、そちらは「唖鈴(あれい)=dumbbell(ダンベル)」という日本語からきているそうです。(豆知識)

世界各国の取引先でも、特に中国はAlleimaの重要な市場であるため、上の動画内にあるようにロゴの中国語化は検討事項の中でも重要でした。
中国語ロゴのAlleimaは「合 端 迈(合金/スウェーデン/将来)」の組み合わせをそれぞれ意味しています。


|ブランドトーン

下にあるスタイルガイドは、世界をリードする素材技術を持った企業らしく、規律正しい業務の正確さや洗練されたイメージを想起させます。

アクセントカラーであるオレンジ色は、金属を溶かす過程で生まれる色、それに対するダークブルーはモダンな静けさを保っており、調和したカラーパレットで構成されています。
名称も"Molten Orange"と"Dark Steel Blue"と、素材の名前がついていますね。

カラーパレット

書体については、工業的で力強く、かつ工学的で無駄のないサンセリフ書体を使用し、ブランドの品質をうまく表現しています。

タイポグラフィー

これらの要素は、さまざまな組み合わせでの表現を可能にしています。
例えば、下のサインシステムのようなアセットを作成することで、世界中のタッチポイントと拠点で一貫性を保った言語で語りかけることができるようになります。

サインシステム


|ロゴについて

ロゴは、2枚の熱した鋼鉄を曲げて整えたような構成の美しい「A」のシンボルが特徴です。
オレンジ色の意味合いが"熱を持った鉄"なので、シンボルにも力強さを感じますね。また、配色でコントラストを大きくつけていることで、書体や余白との強弱のバランスも美しく表現されています。

ワードマークはIndian Type FoundryのNeurial Groteskを基本にしてカスタマイズしたものを使用しています。


|ブランドイメージに沿ったビジュアル選定

素材感、イメージ、声のトーンに、パワフルなグラフィックと緻密なビジュアルディテールの組み合わせが、洗練された企業イメージを思わせる表現に仕上がっています。

製品写真と書体の組み合わせが最高にかっこいいですね。。
(こういうデザインに挑戦したい…)

イメージライブラリー

ブランドのイメージライブラリーには、従業員から、製錬炉を冷やす地元の湖水まで、アレイマには、私たちの人々、製品、そして深い土地勘に関する魅力的なストーリーが息づいています

★そのどれもがデザインシステムで定義されたカラーパレットの色相や色数を意識した選定がされており、ミクロ/マクロの両方に対応する、美しいビジュアル表現がライブラリーには収められています。

作業現場のムービーですが、ブランドの印象が確立しているからか、なんだか聖なる儀式のように見えます。まるで熱された被写体がオーラをまとう神様のよう。。笑

|デバイスへの展開

デバイスへの展開も、明確なタイポグラフィの階層やシンプルな配色表現で、タイトで格好良いシステムを実現しています。
特にハードコアな産業環境でここまで洗練されているVIは、他の競合よりも優位に目立つ存在になるでしょう。

こう見ても、文字のウエイトが細くて繊細な作業/人との距離感を大切にする姿勢を感じます。

下のスマホのビジュアルのように、現場感が強くて生っぽい写真でも、クオリティを高く見せる手法はこんな感じでしょうか。
・トリミングで写真内の情報を抑える
・色を抑える
・ブランドトーンに沿う読むスピードを考慮した文字間/行間
・文字のウエイト
・全体の余白/散漫にならない目線の誘導

情報をミニマムにする写真のトリミングが美しい


|アプリケーション展開

アプリケーションでは、さまざまな展開がされていますが、どれもシンプルで明快なアプローチがされており、オレンジ色のアクセントカラーをうまく活かしたデザイン構成になっています。

パッケージ

プライマリーカラーの配色の上に置かれる文字が白/黒の両方使えることは、アプリケーションに汎用性が出るので、デザインにも幅生まれやすいですよね。

ラベル
テープ

下の写真のように、ブランドの主役である"オレンジ色"がない場合でも、ブランドらしさが機能しているかの検証は大切です。
ここでは書体やシンボルの形状の独自性がブランドトーンを保っています。

カラーパレット通り、ダークブルーのボディに
アクセントのオレンジを使っているのが良いですね
立体表現では疎かになりがちな、文字詰めがなんとも美しい….

特殊合金素材を扱う会社なだけあり、素材そのものの良さを生かすような、シンプルな中にブランドを表す芯が感じられるVIの構築だと感じました。学びがいっぱい。

最後に、リキッド感溢れる合金のモノグラムアニメーションを貼っておきます。

こういうイメージ使う企業増えてるけど、どこで使用するんだろう。。サイネージとか?
(企業の株主総会会場とかでモニターに流れてたら、ちょっとかっこいいかも)

以上、Alleimaのブランドレポートでした!


b.labo

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