御茶屋

映画館で働いたり文章を書いたり映画を観たりしています。

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最近の記事

ままならないから話をしよう。私たちの幸福のこと 『Dark Blue Kiss』

私が『Dark Blue Kiss』に出会ったのは突然で偶然だった。当時の私は、とっくに放送の終わっているノルウェーのシリーズ『SKAM』に夢中で(しつこいくらいに今も夢中)、全シーズンを観終えて2年程経っているのに、まだ本編や関連映像を繰り返し観続けていた。 その日もYouTubeをのぞいてみると、ずらりと並ぶおすすめ動画たち。当分飽きない予感…と思いつつスクロールしていくと、美しいサムネイルが目に留まった。 何故なら、『SKAM』シーズン3のあるシーンを彷彿とさせる画

    • 「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」の涙たち

      大人になると泣かなくなる。映画やドラマ、漫画や演劇など、日常から少し離れた場所で涙することはあっても、普段は滅多に泣かなくなった。 仕事が大変でも泣いている暇などないし、このところ泣いた記憶がない。もちろん、感情からでなく身体的な痛みで自然と出る涙はある。大人も子どもも転ぶし、ふとした時にぶつける足の小指とか、何故にこんなにも痛い?と思う。涙が出る。 一方で感情からの涙はご無沙汰だ。まぁまぁ生きてきて、自分との折り合いがある程度つくようになったことも大きいだろう。哀しんだ

      • 8月31日に終わる夏=三好銀さんの漫画

        2016年の8月31日に、三好銀さんが死んでしまった。 日本には四季があり、十二ヶ月を四季で割るとちょうど三ヶ月ずつ。体感としてもまぁそれぞれの季節が平等にそれくらいだな、と思う。それなのに、どうして夏の終わりはこんなにも寂しいのだろう。 子どもの頃、8/31は少し憂鬱だった。私は、呑気で退屈な夏に満足している子どもだったので、海やプールに行って日に焼けながら毎日楽しんでいたのである。長い休みの夏を。宿題は、嫌なものほどさっさと終わらせる性分だった。だから8/31は、至上

        • 眩しさを浴びる:映画『彼の見つめる先に』

          このところ毎日暑い。一歩踏み出すと日差しの強さにきちんと目も開けないほど。眩しい日差しを纏った映画は数多くあれど、私が眩しくてたまらない、と思うのはブラジルの映画『彼の見つめる先に』だ。爽やかで目映い、素晴らしい青春映画で、もっと多くの方に観て欲しい、という純の粋な気持ちからnoteをこうして書いている。 ・眩しき青春映画『彼の見つめる先に』大体のお話 映画は主人公のレオとその幼馴染で親友のジョヴァンナがプールサイドに寝そべって日光浴をしている場面から始まる。初っ端からと

        ままならないから話をしよう。私たちの幸福のこと 『Dark Blue Kiss』