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資質を喜ばせる|地球修行 2

不思議な出来事は、元同期の話を聞いたあとも続いた。

数日後、別の友人から偶然久々に連絡をもらい、例に漏れずニュージーランドへのワーホリのことを話す。すると、その友人は過去にニュージーランドでホームステイ経験があるとのことだった。驚いたし、こんなにもつながるものなのかとワクワクした。

久々に会って話すうちに、本当に久々だったっけ?と思ってしまうほどに楽しい会だった。記憶を辿るとどうやら2年半ぶりの再会で、とてもそんな時間が経っていたとは思えない楽しさだったのだ。

Gallup Strengths Coach でもある友人。話せば話すほど、思考の中に新たな光を当ててもらえるような新鮮さと興味深さがある。

「トップ5はなんだっけ?」
「えーと…、収集心、着想、内省…、最上志向…、適応性です。」

34の資質の中でのトップ5のことを聞かれているのだとすぐに気がついて答えた。

Gallup社の出している診断は、ひたすら質問に回答していくことで発見することができる。そうして導き出された上位資質は、才能のDNAとも言われている。生かすも殺すも自分次第だ。

これらトップ5の資質は、なにも見ずに言えるくらいにしておくといいと教えてもらったことがきっかけで、普段の仕事の時にもいつでも見える場所に置いて、忘れそうなころにたまに開くようにしていた。

「いま起こそうとしているアクションについて不安要素になりそうなことがあるとすれば、それはどんなことだろう?」

道具として英語を使えるようになりたいものの、そのイメージがつかないのがすこし心配な気がして、そのことを伝えてみた。すると。

「イメージがついていないことって本当に自分の中でものすごく問題なのかな?」

重たく動けなくなるほどの心配要素が思いのほかなくて、なんとなく漠然とそのほうがいいような気がしてそう伝えてみた。でも、本当に不安要素かとよくよく自分に問うてみると、そうじゃない気がしてくる。

「例えば、銭湯で働くことになる前は、どんな資質が喜んでいたと思う?」
場面にもよるものの、質問というのはどこか威圧的になりがちだなと常々思っているけれど、不思議と心地よさが含まれた質問をしてもらえるありがたさをしみじみ感じた。

聞かれるままに、色々思い出してみる。思えば銭湯で働くことを決めた時、そこでどんな風に働くかなんてほとんどイメージしなかった。よくある、番台に座って…みたいなイメージすらしていなかったし、そこには特に心が動いていなかった。

自分の店が持ちたいわけでもないし、なんなら店長になりたいわけでもなく、給料だって下がるのに。それでも銭湯という場所に漂うポテンシャルに、なんとなく面白さを見いだしていた。裸で湯に浸かる、あんなに明け透けな公共空間は他にないのだ。

具体的に想像していないにせよ、おもしろいに違いないという勘を頼りに、働くことにしたのだ。自分にはない側面として、起業したいとか経営したいとか、きちんとした言葉や自分のイメージをもってして何かを始められる人はすごいなあと、よく思っている。

私の場合は良くも悪くも固まったイメージがないので、最初に反発することなくすんなり入り込んでいけるのはある意味で強みだ。一方で起業!経営!と後に乗り込んできた人たちは、「え?こんなはずじゃないし、もっと効率的にやります〜」と数ヶ月で離れて行ったりもした。

どちらが良い悪いではなくて、特定の意味を持つ言葉に絞ることで自分を突き動かすエネルギーにしていく良さもあれば、そこは曖昧にしておいて、予想だにしない発見や本質をふるい出しながらより良くしていく良さもあるはずなのだ。

私の振る舞いは圧倒的に後者の意味合いが強いし、その方が個人的に面白いとさえ思っている。前者で突き進める人からしてみれば、逃げてるだけのようにすら見えるかもしれない。それはそれでいいやと思う。

あれこれと思考を巡らせ、自分のどんな上位資質が喜んでいたのか振り返ってみたところ、適応性と最上志向をフル活用した時に納得感のある結果へつながっていた説が浮き上がってきた。

「うまく行ったと思える時に喜んでいた資質にフォーカスして、次の行動でもそれを意識してみるといいかもしれないね。」
「この資質を喜ばせるためにはどうしてみるのがいいかな?って考えてみる。」

なるほど!と思った。そうなると、適応性と最上志向を喜ばせるアクションとして、異質な場所へ行くことはかなり良い選択のように改めて思えた。

「自分を知らないところへ放り投げた時、その場所でどうにか試行錯誤するときの私は、たぶん無敵な気がするんです。」

海外へ行くことに対する原動力の源について考えながら、そんな言葉を発していた。
今振り返ると、無敵だなんて大それた発言…と思いつつも、なんだか私らしい感じもある。

とにもかくにも、全く異質の環境が自分というフィルターを通った時、一体何が起こるのか?これを知りたくてたまらない感覚が強いのだ。好奇心の強さもあるのだろう。

そんなこんなで、仕事の話から、はたまた恋愛や結婚の話まで、盛りだくさんで話すことができた。それなのにどっと疲れることもなく、むしろエネルギーに満ち溢れている感覚だった。

こういう感覚になれる機会はそう多くない。それくらい有意義で、実りある時間だった。同じように明るく楽しく話したあとでも、ものすごく疲れる時とそうでない時がある。

これもまた、想定内かどうかの違いや、ひらめきの瞬間があるかどうかの違いなのかもしれない。裏を返せば、想定内かつ、ひらめきを発動させることが難しくなってくると、私は消耗するのかもしれない。

自分以上に自分のことを考えたり機嫌をとったりできる人はいないはず。だからこそ、自らの資質と向き合いながら理解を深めて進んでいくことは重要なんだと、改めて再発見することができて本当によかった。

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