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新しい物語は終わっていた。

最近の仕事の話です。
コロナが流行してからというものの、呼吸器内科よりも、感染症内科として仕事をしていることが多いです。もともとの専門は呼吸器感染症であったので、そういう道にもありなのでしょう。

運が良いのが、新しいことにチャレンジというように見えますが、ベースの知識が多いため、ゼロからのスタートにはならないわけです。

もともと僕を含めた全国の呼吸器内科の先生はコーセー物質の大先生(自称)になっている感は否めませんが、そういうことですよね。いいんです、炎上しても現実ですから。

何が言いたいかというと、40になるまでにある分野の技能を身に着けていれば、その後どうにでもなるんです。新しいことを仮に始めるとしても、そこから広げればいいですし。

しかし、これは同時に、時間の制約を受けることになります。新しいことはいつでもできますが、年を取れば一つ何かを身に着けるための時間が必要で、沢山のことはできません。体力も集中力も落ちているので、本や文献を並べて呆然としている時間も増えるでしょう。ノート(や原稿)を書くもなくなってきます。
そのため、自分の「ベースの専門分野」も伸びなくなり、新しい分野を身に着けるにも、相当の努力と多大なる時間がかかります。その間にも年をとり、何とかしがみつくのが精一杯じゃないでしょうか。

気が付けば自分と向き合えないまま年をとり、病気になりながら、意味なく周りに怒りながら(もしくは意味なく落ち込みながら)定年を迎え、その時がやってくるのでしょうか。定年を迎えられないかもしれないし。

趣味で新しいことを挑戦するのはいいんです。しかし、仕事としては今まで一生懸命やってきたことが、実はそろそろ限界でした。
「限界です」ではなく、「限界でした」という表現が正しいと思います。

気が付くともう、物語は終わっているのですから。


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