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涙が出るほどの、

おしゃべりをするたびに
涙が出るほどの
愛おしい言葉を
くれる人

瞳孔が開き
身震いするほどの電撃が走り
わたしの脳みそは
惜しげもなく
溶けてゆく

その言葉たちは
閃光のように
光り輝き
わたしの全身を貫いてゆくような感覚なのに
あたたかい毛布で
そっと包み込まれるような感覚でもある

涙の理由が
今までで
一番わからない

わたしの25年分のボキャブラリーをためこんだ辞書なんかでは
語ることのできない涙が
彼の前に座り
おしゃべりをしていると
わけもわからず
溢れ出てくる。

産地のわかるコーヒーと丁寧につくられたケーキ
質の良いワインと口の中でとろけるチーズ

目の前に並ぶ厳選された方々は
どんな気持ちで
わたしの涙をみるのだろうか

流れる理由のわからない
この生あたたかい涙は
わたしが感じてきた
艱難辛苦も胸の痛みも違和感も
冷たい言葉も
思いやりのない態度や
この世界の許せないと思ったこと
無駄だと思ってしまった時間

それらすべてを
わけもわからず
溶かしてゆく
溶かしてしまうのである

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