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わたしは、自己紹介ができない

おちよ、といいます。
自己紹介が何より苦手です。本が好きです。音楽が好きです。映画が好きです。時々歌います。

自己紹介が苦手で子供のころから損ばかりしてゐる、と気づいたのは、当時流行りはじめたmixiに友人から招待してもらった大学1年生の時。25年前。

mixi招待しといたからプロフィール書いといてー、に盛大につまづき、「わたしとは何者か」が一言も書けない。

「わたし」って誰なんだよ。何者なんだよ。何者であるかはいったん置いておいたとしても、「わたし」をどう語ればいいんだよ。

いや、単なる自己紹介だから。あとから変えれるから。

温度感も空気感も根底から間違っていることには気づきつつ、それでも「わたし」を表現する(できるだけカジュアルな)言葉を見つけようとあがいて過ごした八甲田山の行軍のような数週間のあと、ソーシャルネットワークという世界に自分が語る「わたし」を放り込むことをあきらめた、そんな経緯があります。

大袈裟だったなとは思います。

東京在住、ロック大好き、ボンベイサファイアとラッキーストライクを愛する関西人、現在フランス文学勉強中☆とか、なんで書けなかったよ自分、と今なら思えます。あれから25年、の今だからこそ。

大学1年の自分にはオトナのしたり顔でそんなアドバイスを投げる私だけれど、もし今、数少ない友人に「プロフィール書いといてー」と言われたらやはり頭を抱えるのは目に見えている。タバコもやめた。ボンベイも飲まない。私は誰だ何者だ。

もういい大人なので、この「自己紹介ができない」という現象には名前をつけたい、と心から願って、一生懸命考えた。仕事しながら(ウェブマーケティングやってる)、子供の相手しながら(高2筆頭に3人いる)、鶏肉焼きながら、(料理は大嫌い(牛肉が食べられないから私が作る料理はもっぱら鶏ベース)だから2万で買ったイヤホンで音楽聴きながら(子供の手が離れて復職した最初の給料(8年ぐらいぶりに自分で稼いだお金)で久しぶりにCDを買った感動も相まって音楽にどっぷりはまった(もともと音楽好きではあったが今回のはまり方は人生最大(起きている時間のほとんどYouTubeかAppleMusicで奇妙礼太郎か中村佳穂かくるりかハンバートハンバートを聴いている))機械的にやっつける)ぐるぐるぐるぐる考えた。

私、自分を、言葉や͡音やコトの単なる通過点ととらえている、という仮説に行きついた。

音楽が大好きで。文章が大好きで。そして、言葉をつむぐことが大好きで。

気に入った曲を(誇張なしに)100回連続で聴き続けてしまう、歌い手の息継ぎのタイミングや、バンドのギターとベースとドラムの音が別々に追えるまで何度も何度も聴いてしまう、音を匂いで感じてしまう、音が映し出す情景を表す言葉がかたまりで降りてくる、それを唐突に文字に起こし始めてしまう(「猟奇的リッスンモード」、と名付けている)。

わたし自身は実体もなく透明なのだけれど、降りてきた言葉をひたすら世の中に出していく「翻訳機」として文字をつむぐ。

正確には、「世の中」には何も出ていなくて、わたしのスマホのメモ帳どまりの膨大かつ乱暴な言葉たちを、もう出しちゃおう人生は一度きりだ。コロナ禍の緊急事態宣言直前、奇妙礼太郎さんの音楽に出逢ったことでそう決めて、noteを始めました。

音楽とか本とかについて、少しずつ書いていきたいと思います。

自己紹介はできないけれど。

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