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デンマーク大学院のスタディグループ事情

デンマークの大学院に来て約半年。デンマークの大学に来てよかった!と思うことはたくさんありますが、"授業ごとにスタディグループがあること”は私がデンマークの大学を選んでよかったと思う理由の一つです。大学院入学当初に言われたこと。それは”CompetitiveよりCollaborationを重視して、interactiveな学びをどんどん創っていこう"ということでした。そんなメッセージを象徴しているのが、私は"スタディグループ"だと思います。今回は、そんな"スタディグループ”の内容と魅力について書きたいと思います。

目次
1.   スタディグループとは
2. 
スタディグループの魅力①授業理解の促進
3. 
スタディグループの魅力 ②Academic Englishの練習
4.  スタディグループの魅力③異なる経験や知識の共有

1. スタディグループとは

*授業前の早朝のカフェで、グループのメンバーとポスターセッションの準備をしている私です

スタディグループとは、その名の通り、授業の予習/復習やプレゼンを一緒に行うグループのこと。4〜6人で1グループとなり、授業時間外に集まって、授業の課題文献に基づいたディスカッションやプレゼンの準備を一緒に行います。私の大学院では、(私が知っている限り)全ての授業にスタディグループ制度があり、それも授業のカリキュラムの一つ(スタディグループに参画することも授業の一つ)という位置付けです。
前期は"お互いのことを知り合う"という目的もあり、2、3週間ごとにグループが変わっていましたが、後期は最初から最後まで、同じグループで進めることになっています。授業によってはプレゼンの評価が成績に反映されるものもありますし(同じプレゼンをしたグループメンバは全員同じ評価をもらう)、かなり真剣に取り組んでいる生徒が多い印象です。
*ちなみにデンマークの学生に聞くと、学部生の時はレポート執筆/口頭試験もグループ単位で行い、全員同じ成績をもらうこともあったくらい、グループワークが重視されているようです。

2.  スタディグループの魅力①授業理解の促進
スタディグループで授業時間外に集まって行う大きな目的は、授業の課題文献についての意見交換をして授業の理解を深めることにあります。授業によっては"これ、日本語で読んでも分からんよ〜”というような内容の文献もあるのですが、その分野に詳しい人がグループにいたりするとかなり噛み砕いて説明してくれるのでとても助かるし、授業前にそのテーマについてディスカッションすることで、頭がやっと授業モードになるのです。。。

3. スタディグループの魅力②Academic Englishの練習
英語が苦手な私みたいな生徒は、本当にこの制度があってよかった〜としみじみ思います。最近やっと授業内でも思うことがあれば挙手できるようになりましたが、最初は学術的なことを英語で話すことに全く慣れず、"クラス全員の前で話すなんて絶対無理だ。。。"と戸惑ってばかりでした。でもスタディグループは少人数だから、戸惑いつつも安心して自分の意見を共有することができます。別記事に書いたように大学院には口頭試験があるのですが、その口頭試験の練習という位置付けでもスタディグループのような少人数のグループで自分の意見を共有したり議論するのは意味があったと思います。

4.  
スタディグループの魅力③異なる経験や知識の共有

*とあるポスターセッションでトランプの仮装(?)をして出てきたクラスメイト。プレゼンも劇をしたりするチームがあったりととても楽しいです

"異なる背景を持つクラスメイトとじっくりとあるトピックについて語り合うことができる"ことは、私がスタディグループが最も好きな理由です。例えば、今取っている授業の一つスタディグループは、デンマーク人、カメルーン人、チェコ人、それから日本の私からなるグループ。例えば”植民地支配と教育”というトピックがディスカッションテーマだった時は、そのトピックに対する態度や問題視する事柄が、それぞれ全く違くて、とても新鮮だったし自分自身の学びを深めることができました。授業内だとディスカッションできる時間も限られていますし、先生は理論を話すから具体例まで落とし込めないこともあるけれど、グループメンバが共有してくれた具体例の紐づけて考えることで先生が話していることがやっと理解できることもあります。授業後に行うスタディグループミーティングであれば、気付けば(関係ないことも含めて)3時間ほどディスカッションしていることも。正直、授業よりもこのディスカッションからの学びの方が大きいと思うこともあるくらいです。


と、スタディグループの良いところをたくさん書いてきましたが、私がこんなに楽しめているのは、クラスメイトたちが基本的に非常に学びに対するモチベーションが高いからだと思います。”話し合いなんて面倒だ〜”なんて言う人は誰もいないですし。(と言いつつ、”自分は一人で学びを進めたい”と参加しない人もいます。それはそれでまあOKという子の趣向を大切にするところも、私からするとデンマークやなあと思います。)
正直なところ、最初は英語ペラペラなクラスメイトの中で自分の意見を英語で言うのに戸惑いすぎて、ほぼ何も言葉を発せなかった時期もあり、その時期はスタディグループは少し辛かったです。今やっとクラスメイトたちとの信頼関係や自分の英語力への自信がついてきたので、こんなにポジティブなことがたくさん書けているのだと思います。(1時間のディスカッションで一言くらいしか発せず自己嫌悪に陥っていた9月頃の自分に、この記事を見せてあげたいです笑)


*なおスタディグループ制度がデンマークのどの大学にもあるかどうかは不明ですが、グループワークがかなり重要視されていることは、他大学の学生の話を聞いていても、デンマークの高等教育の特徴として断言できると思います。


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