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デンマーク大学院のテスト・成績事情

本日、今学期のテストが終了し、無事30単位全て取ることができました。(1つのコースが15単位というかなり思い比重なので、今期は2コースだけだったんですが。)改めて思ったのは、デンマークのテストはFeedbackがとても重視されていて、テストも学習プロセスの一つに位置付けられていること!
今日はそんなデンマークの大学院、成績事情について書きたいと思います。

目次
1. テストの種類
2.成績のつけ方の種類と判断方法
3. Feedbackの充実さ
4. 高得点を取るための秘訣

1. テストの種類

デンマークの大学院のテストは、主に
・written assignment(レポート)
・oral examination(口頭試験)
・combination of written assignment and oral examination(レポート+口頭試験)の三種類あります。
written assignmentの内容によっては、24時間前にお題が出されて24時間以内に提出しなくてはいけない、というようなかなり時間が制限されているものもありますし、もちろん試験会場のようなところで書いて提出しなければいけないものもあるようですが、私の印象としては「お題を出すから1週間以内に提出してね」というようなレポートが多い気がします。
そして口頭試験!日本では全く経験したことがなかったテストの仕組みですが、デンマークでは小学校から口頭試験を取り入れている学校が多いようです。これも学校やコースによって特徴はあるようですが、私が今回受けた口頭試験は以下の流れでした。
・5分  プレゼン
・15分 質疑応答
・5分   待機
・5分 フィードバック(その場で成績も言われる)
試験を受けたその場で成績を言われるという、なんとも私にとっては不思議な体験でした。また成績の公平性を保つために、いつも接している教授に加えて、外部の大学から来た教授が試験会場に同席します。デンマークの友人によれば「いつも接している教授と相性が悪かったりしても、外部の大学から来た教授がいることで公平性を保てるし、成績のつけ方と言う点でも他の大学とレベル感を合わせられるからとても良い仕組みだと思う。」とのことでした。ちなみに高等教育ではこのようにinternal examinar(いつも接している教授)とexternal examinar(他大学の教授)が同席することが一般のようです。また、written assignmentは他の生徒とペアで書くことも奨励されています。私は日本の教育事情をトピックに選んだので自分一人で書いたのですが、コラボレーションから創造性や独自性が生まれるというデンマークならではの仕組みだなあと思います。

2.成績のつけかた種類と判断方法

成績のつけ方は大きく分けて二種類。合格or不合格というシンプル評価か12点評価です。この12点評価、実はとても厄介で、12と言いながら、実際は7段階評価なのです。評価段階は以下の通り。
-3、0、2、4、7、10、12(合格ラインは2です)
だいたい平均は7と言われています。
今学期私が受けたコースは一つが合格or不合格のシンプルなもの、もう一つが12点評価でした。(今回は私は、12点評価で10をもらえました!)
ちなみに「なんで12なの?」と言う素朴な質問をデンマーク人の友人にしてみたら「前までは13点評価だったんだけど、国際基準に合わせるために12にしたんだよ」という、全く予想していなかった答えが返ってきました(笑)なんで昔13だったかは不明です。。。

3. Feedbackの充実さ

一番感動したのは、試験後のFeedbackの充実さです。written assignmentは、一つ一つ教授が細かな文法レベルから全体の論理性レベルまで赤入れをしてくれて、その後30分ほど時間を設けて今後のアドバイスまでくれました。oral examnationもその場で結果を言われるのですが、その時にどうしたらもっと良かったか、と言うことを言ってくれます。「テスト」と聞くと、どうしても学んだ成果を測るものと考えがちだけれど、本当はそれも学習の一環であるということを実感させられます。それにどの教授も、絶対に良かった点も褒めてくれる。どこどこはとても良くて、ここを改善すればもっと良かった、と言う視点でFeedbackしてくれるので、なんかやる気に満ち溢れて会場をあとにするのです(笑)
確かに日本での大学生の時は、レポートを提出したら成績が返ってくるまで待つしかなくて、どんな点を評価されたのか、もしくはなぜ自分がこの成績をとったのか、そしてどのような改善点があるのか、不明なまま終わってました。もちろんそうやって個人にFeedbackをするのは時間がかかります。デンマークは教授一人当たりの生徒が少ないという事実はありそうだけれど、それでもそうやって教授が真摯に生徒に向き合い、生徒の能力を伸ばそうとしてくれる姿勢は、生徒としてはとても嬉しいものです。

4. 高得点を取るための秘訣

今学期を終えて、私が思った高得点を取る秘訣!(デンマーク初心者なのに急に偉そうにすみません!)

・英語ができる子に最終的な文法チェックをしてもらおう
初めのレポートで、英語の言い回しに関するレベルの指摘をたくさん受けた私。期末のレポートは15ページに渡る長いレポートを書いて、少し気が引けたんですが、英語ができる超優秀なお友だち(アメリカに住んでいる日本人の学生時代の友だち)に最終的な添削してもらいました。確かにー!と思う指摘ばかりしてくれて本当に助かった。(年末に送りつけて、その子はその頃オランダで休暇を楽しんでいたのに、2日間でたくさん赤入れをして返してくれました。めぐ、その節はありがとう><)

・自分が詳しい事柄をテーマに選ぼう
これもコースによるし、書くトピックの自由度が低い場合はできないことですが、自由度が高い場合は絶対に自分が詳しいことをテーマに選んだもの勝ちだと思います。今回私は口頭試験のお題を「日本の若者の自殺の人類学的分析」に設定したんですが、その後の口頭試験は(当たり前だけれど)日本の教育事情や社会の特徴について聞かれて、それについてはもちろん詳しく知ってるので、割とスラスラ答えることができました。おそらく、もしデンマークの教育制度をテーマにしたら、そもそもスラスラ答えられないし、教授の方がテーマに詳しいから、かなり突っ込んだ質問をされてたと思うので、これをテーマにして良かったなーと思っています。

・口頭試験は想定問答集を作った後にクラスメイトと練習しよう

口頭試験は絶対に想定問答集を自分なりに考えた方が良いです。そしてその後、クラスメイトと練習するのが本当にオススメ!特に私のように自信がない場合は、クラスメイトに練習に付き合ってもらい、質疑応答のシミュレーションをすると良いと思います。私の場合は、クラスメイトとの練習の際に自分が想像していた以上にスラスラ答えられる自分に気付き、それが少し自信になりました。ま、実際は全く予想してなかった質問もかなり来たんですけどね。。。


テストのFeedbackが充実している点、口頭試験を重要視している点は、デンマークの教育のよいところを表していると思います。小学校から口頭試験に慣れていれば、自分の意見をその場で考えて発表するというプレゼンスキルもかなり磨かれると思うし、テストのFeedbackが1:1のレベルでこれだけ充実していれば、テストを受けて終わりではなく、学びの連続性が保たれるので生徒一人ひとりのスキルアップにつながります。

もちろん、日本の教育の枠組みの中では実現可能性が低いけれど(主に教師の負担という点で。もしこれを実現したいなら、1クラスあたりの生徒の人数を減らすことが必須)良い仕組みだなあ〜と思うのでした。

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