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【虎に翼 感想】第19話 男女分断の危機回避

今日は、出演者の言葉をたくさんお借りします。だって、そのとおりなんだもの。


(轟、花岡に対し)
「思ってもないことをのたまうな。ここには俺しかいない、虚勢を張ってどうする。
あの人たち(寅子たち)を好きになってしまった。あの人たちは漢(おとこ)だ!俺が男の美徳と思っていた、強さ、優しさを、あの人たちは持っている。
俺が男らしさと思っていたものは、そもそも、男とは無縁のものだったかもしれんな。
上京してからのお前、日に日に男っぷりが下がっていくばかりだ。
俺は非常に悲しい。」

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なんだか禅問答の様相を呈していたが、轟はいつも気持ちをストレートに伝えてくれる。「猪爪を訴える」(訴える正当な権利は持っている)と虚勢を張る花岡に「悲しい」と言ってくれる。漢気の表現が先走って我々がついていけなくなっても、いつの間にか戻ってきてくれている。言動に一貫性があって信頼できる人物だ。

はっきり描かれていなかったと思うが、花岡と轟は同郷のようだ。
寅子たちとの初対面の日も、花岡が轟のことを「あいつは昔からああだから」と話していたし、轟も、花岡の家庭のことをよく知っているようだったから。
(※脚本家の吉田恵里香さんのXに記載あり)


退院したその足で学校に向かい、梅子に謝罪する花岡。
だめだ…平岩さんの話し方だけでもう涙が出る(涙)

梅子
「顔を上げて。その体じゃ不便も多いでしょう。できることは言ってね。」
花岡
「大庭さんの息子さんのようになるつもりだった。帝大に入って(やっぱり受験してた…)、東京で経験を積んで、いずれは父の事務所を継いで、故郷の佐賀で立派な弁護士になって親孝行をして…」
「こんな人間になるはずじゃなかったのに。カフェでチヤホヤされたくらいで調子に乗ったり、仲間になめられたくなくて、わざと女性をぞんざいに扱ったり、帝大生に引け目を感じたり…皆さんを尊敬しているのに、無駄にかっこつけたり、将来の数少ない椅子を奪われるんじゃないかと…」

この時代だし、しかも地方に行けば行くほど、弁護士は名士オブ名士だから、花岡のプレッシャーはかなりのものだっただろう。
堰を切ったように本音を吐露していく。

梅子
「どれもあなたよ。人は、持っている顔は一つじゃないから(略)全部花岡さんなの」
「花岡さんが思う本当の自分があるなら、大切にしてね。そこに近づくよう、頑張ってみなさいよ」

視線を合わす両名。花岡が梅子に「母」を感じた時間でもあったし、梅子も、そこに「息子」を透かして見た時間だった…
疑似親子だとしても、これからも心を通い合わせていってほしい。
(岩田剛典さん、自然と涙が流れたそうです泣)


寅子と花岡の二人きりのシーン。
「盗み聞きしてごめんなさい」と謝るところは寅子も一貫性がある。よねの独白のときに、「大事なことは本人の口から聞きたい」って言ってたから。でも大丈夫。きっと教室の中から、よねと崔さんと涼子様とお玉も話を聞いていたと思うよ(笑)

花岡「これじゃまた君のことばかり考えてしまうだろう」
のあと、心ここにあらずのまま学校を出る寅子の後ろで、看板を倒してはしゃぐ女学生の演出がとても良い。寅子がまったく反応していないから。


浮かれたまま帰宅すると、自宅には検事が来ており、直言が贈賄の容疑で拘留されたと、はるに伝え、家宅捜索に入るところだった。

・・・はるさんの疑念(直言の浮気疑惑)の話をすっかり忘れていた。
(あの日、直道と花江は、映画に行くはずだった二人に代わって留守番&子守りをするために実家に来ていたんだよね?直道…)
思わぬ形で誤解だと気づかされ、数段も上の苦難が待ち受けることになるとは…

今日のストーリー、普通なら金曜日じゃないの?と思っていたらこういうことだったかと、納得でした。

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4/23(火)の「あさイチ」に出演した塚地武雅さん、「来週から弁護士事務所の所長役で出演する」と話されていたけど、この件で関わってくるということですね。
どうか、直言パパを助けてください。そして、寅子にとっても重要な出会いになるということなのでしょう。


最近、少し疲れていました。このドラマを、「女」のフィルターで見なければならないことに。男のダメなところを見つけて、それを語らなければならない勝手な義務感に。よねの小橋への蹴りと、寅子の花岡への突き飛ばしを大目にみてしまいそうになる自分に。
このドラマは、「男」と「女」を分断させてしまわないかと。

だから、最後の1分で、明日から話が転回していくことが分かり、少しホッとしてしまいました…

「虎に翼」4/25より

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