今日も声が聴こえた。

昨日の母の何気ない一言

「書いておかないと忘れる」

ボソッと言ったのが聴こえた。

これまでの少し

おっちょこちょいな性格

自らたしなめる発言とは

なんかトーンが違った。

一瞬、感じ取ってしまう。

少しずつ、少しずつ。

衰えに抗いながらも

弱く小さくなる母の姿。

やはり書いていると何故か

涙が出てくる。死んでないよ笑

朝、起きるのが少し遅いと

不安がよぎることもある。

無事に起きてくるとホッとする。

台所に普段あったものが

いつの間にか軽いものばかり。

午前中に終えられていたことが

終わらなくなる。

時間に追われるように

でもその姿はまるで

時間のほうに圧されて

空気抵抗を

受けているかのよう。

嘆きながら、自分なりの努力。

どんな姿になってもいい。

皆のこと忘れてしまってもいい。

笑顔とありがとうは忘れないで。

普段から口酸っぱく伝えてきた。

息子や孫の名前は忘れてもいい。

ごめんな。なんでできないんだと

つい怒ってしまうこともまだある。

笑顔忘れてるのは、どっちだ？

無事に声が聴こえた。

ため息もらしながらも

ヨイショ、ヨイショと。

今日も起きてくれて

ありがとう。