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主人公は誘惑に負けて惡者になる

前回、實際に見てきた千葉縣は鋸山の件をお話し致しましたが、それをモチーフに作成したのが最初の攻略地点。
ゲームの中の主人公は数々の敵の妨害を乗り越えて遂に最深部まで辿り着きました。

主人公、石切場を進む之圖

石切場には採石の為に開けられた穴が幾つかあり、それらを通りつゝ足場を使って進んでいきます。
そして最深部には溜め池が存在し、そこに藩の役人が捕らえられているのでありました。

救助對象を確保

大多喜藩から山賊討伐に派遣された「安藤様」を發見。
どうやら無事の様ですが、捕まっていた割には閉じ込められていた訳でもなく敵の見張り等も全然居ないのが少し氣になるところ…。
石切場の最奥とは言え、屋外に佇んでいたカタチになります。

一旦引き上げを提案されます

味方の捕り方も全滅しているので一度引き上げると言っています。
現場指揮官としては當然の判断です。しかし普通、RPGってこう云う時に敵のボスを倒すのが一つのパターンとなっておりますが…。

さてどうする…?

こう云う時にストーリーに流されず、自ら行動を選択するのがこのゲームの特徴となっております。
プレイヤーの決断如何で先の展開が変わってきます。

色々腑に落ちぬ点もありますが、今回はとりあえず「はい」としておきました。
ところが石切場を後にしようとした矢先、山賊の集団に取り囲まれてそのまま戰斗に突入します。

そこで驚愕の事實が…

討伐隊の指揮官は山賊の首領だった

なんと山賊に捕らえられていたと思われていた藩の役人は倒すべき山賊の首領だったのです。

「水戸黄門」や「暴れん坊将軍」と云った(比較的單純な)時代劇に親しんでいれば大方見當は附きますが、序盤に出てくる身分ある武士は十中八九「惡者」なのです。
所謂一つの時代劇の「お約束」の様なものです。


さて、「冥途の土産」を戴いたところで最初のボス戰となります。
こちらは2人、向こうは5人。どう見ても不利です。

主人公敗北…

袋叩きに遭って負けてしまいました。
味方全滅時に「もはやこれまで…!」と出るメッセージが何とも私らしいクオリティなんだそうです。

これは所謂「負けイベント」ではなく、普通のボス戰です。しっかり斗えば勝てます。
しかし、負けてしまったからにはここでゲームオーバーとなってタイトル画面へ………と云う事にはなりません。

このゲーム、一部のボス戰等は負けてもそのまゝ物語が續行します。

〽君は~倒れた~敵に~…♪

倒れた主人公に敵の親玉が語り掛けてきます。

〽手を差~し伸べ~…♪

「私の味方になれば○○の半分をおまえにやろう」と云うのはRPGに於いて傳統ある惡役の昔からの決まり文句なのです。

但し「かの有名な國民的RPG」の様に世界の半分と云う訳にはいかなかった様です。
なんだか見返りがあまりぱっとしませんが、選択を求められます。

どこかで見た様な選択肢が…

一応断っておきますが、主人公は別に「正義の味方」でもなければ「選ばれし勇者」と云う訳でもありません。
プレイヤーの分身の様なものですので好きにすれば良いのです。

従って「はい」を選ぶ事に致します。

大事な選択なので念の為に再確認…

再度「はい」を選びます。

すると…

命が助かりました!

主人公はこのまま敵の山賊の仲間になってしまいます。

どうやらここでゲーム終了の様です…


エンディングに突入

不穏なBGMと共にエピローグが始まります。
山賊になった主人公はこの辺り一帯を大いに荒らし廻り、多くの領民から恐れられたそうです。

主人公、凶惡犯になる

そして…

おしまい

硝子の割れる音が鳴り、惡に染まった主人公の1枚繪で物語が締めくゝられます。

斯くしてこのゲームは一應の終わりを見せましたが、これはどう見ても所謂一つの「バッドエンド」と云うやつです。
斗いに負けたのですからゲームオーバーは不可避なのです。
この誘いを断ると山賊たちにリンチに遭い結局はゲームオーバーになります。
どうせなら、負けた時点で終わりにしないで最後迄描こうと云うのが私の考えであります。
敵に負けたらどうなるのか…と物語を考えてみるのもまた一興です。


さて、この様に敵の甘言に乗って惡者になってしまった主人公ですが「かの有名な國民的RPG」の記念すべき最初の主人公もやはり同じ様な事をしていたと云うのは有名な話です。

イマドキはプレイヤーもおデリケートになっている様ですので主人公のキャラクター側で勝手に物語を進めてしまいますが、そもそも「ロールプレイング」なゲームなのですから役割を演じるのはプレイヤーの筈です。

惡者になってしまった主人公は「RPG」とは何ぞやと云う問いかけに對する一つの答えの様に思えるのであります。


さて、氣が附けば激動の令和5年も残すところあと11ヶ月になろうとしております。
明日は早くも2月でございますが、主人公に明日はあるのか…!?

…つゞく


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