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紅海におけるアンサール・アッラーの戦いの意味---ブハイティ氏のテレビ討論

イエメンのアンサール・アッラー運動(いわゆるフーシ派)政治局のモハンマド・アル・ブハイティ氏が、アメリカ中東民主主義連合の調整官トム・ハーブ氏とTV討論を行った。アンサララが2014年からこれまでどんな内戦を戦って来たか(現在休戦中)の一端がわかる興味深い内容だったので共有する。

トム・ハーブ:国際航行路がテロリスト・グループから攻撃を受けている。このグループはイエメン内で脚光を浴びようとしており、これはイランが望んでいることでもある。影響を受けた国々が国際航行を守るために国連安保理で決議に投票した。ロシアも中国も反対せず、誰も拒否権も使わなかった。

モハンマド・アル・ブハイティ:米国と英国がKSA(サウジアラビア王国)、UAE(アラブ首長国連邦)を伴ってイエメンへの侵略を開始した時、彼らは最も高度な致死性の高い兵器を使った。全てのインフラを破壊した。結婚式、葬儀場、市場、病院、人が集まるところならどこでも攻撃した。我々がサウジに報復すると彼らはそれを非難し、「全てイランのためだけにやっている」と言った。想像できますか?彼らはイエメンに対してあらゆる兵器を使った。封鎖してイエメンの人々を飢餓に陥らせた。それに対し我々が防衛手段を取ると何と言ったか?全てイランのためだ。我々は今パレスチナのために動員しているが、彼らは全てイランのためだと言う。この申し立ては間違いであり、簡単に論破できる。今イエメンの戦いはどんな軍事的レベルに達しているか。世界最強の国々、米国と英国とシオニスト政府と戦っている。誰かに操られて世界最強の国々と戦うと思いますか?非論理的です。

もし我々が外からの指示で動くようなタイプなら、米国の指示にも耳を傾けるでしょう。実際に米国は多くのアラブ諸国、イスラム諸国を脅し、恐怖を与えているのだから。[アンサララが誰かの指示で動くことはないのを]米国はすでに知っています。我々が軍事作戦を始める前、米国はオマーンの仲介者を通じ、サイエド・アブドゥマリク・バドルディーン・アル・フーシ[アンサール・アッラーの最高司令官]にメッセージを送ってきた。

ブハイティ:米国がなんと言ってきたか、メッセージをその通りに引用します。「我々は全てのアラブ諸国、全てのイスラム諸国に警告した。パレスチナの側に立ち、イスラエルに対して軍事的に介入すると当然の報いが待っている。そして彼らは介入しないと約束した」。そして、我々にも忍従しろと言ってきた。そうしなければ攻撃する。アブドゥマリクはどう返答したか。「イエメンをそのリストから外しなさい。我々の決断は国内的なものです」。そして、直ちにシオニスト国家に対する最初のミサイル攻撃の指示を出した。我々は米国と英国に言った。シオニスト国家に対する我々の攻撃を止める決定はガザでなされる。シンワール[ガザのハマスのリーダー]がイエメンに「もう必要ない」と言えばやめます。

ブハイティ:これまでに述べたように、現在、状況は段階的拡大に向かっており、最大の敗者は米国と英国になるだろう。なぜなら、これによりこの地域での米国と英国の存在を終結させるからだ。また、重要な点を指摘しておきたい。外側から指示を受けているのはアラブ諸国、イスラム諸国の政府だ。彼らはガザの同胞の危機に思い切って介入しなかった。どの一国たりともガザの同胞のために介入しなかった。

もう一つ、彼らは我々の武器はイランから供与されたとも言うだろうが、それは正しくない。我々は経済封鎖されており、武器は地元で製造されている[表題の写真はイエメン製アサルトライフル。これらの小火器から弾道ミサイルまで国内で製造している]。しかし我々はこの地域で米国に対抗し、イランとは枢軸[抵抗枢軸、the axis of resistance]として同盟している。これは否定しない。我々は米国と英国にその武器はどこから来たとは問わないが、「その武器を使い、なぜジェノサイドを犯しているか」と問う。我々の武器は数百万のパレスチナ人のジェノサイドを止め、包囲を解くために使っている。

トム:米国はフーシを1週間か2週間もあれば制圧できる。

ブハイティ:それは楽園で見るサタンの夢[原注:不可能の意味]だ。なぜか。米国が我々に対する攻撃指示を出すたびに我々は強くなる。そしてさらに強く反撃する[原注:アンサララ運動が立ち上がって以降、米国の監督のもと計6回の戦争が仕掛けられた]。2004年に、アリー・アブドラ・サーレハをけしかけて我々を侵略させるという米国の愚かな試みがなかったら、我々は2014年に革命を起こすようなことはできなかっただろう。この革命で米国はサナア[イエメンの首都]から追い出され恥をかいた。もし2015年にイエメンに対する侵略を開始しする(中略)という愚かさがなければ、イエメンは今日、ガザの同胞の防衛のための今の立場を持つこともできなかった。

トム:イエメンの公式政府はフーシの行動を否定している、支持していない。

ブハイティ:そうそう、それはあなた方が選んだ政府だ。

司会:もしあなた(トム)が言うように、ハマスが打倒されたのなら、米国がカタールを仲介にして人質解放をハマスと交渉しているのはなぜですか?打倒した相手と交渉することは可能でしょうか?米国はフーシとさえ交渉しようとしている。

トム:なぜなら彼らは正規軍ではなくテロリストの民兵です。民兵の場合、たとえ最後の一人しか残っていなくても交渉しなくてはならないからです。

司会:ハマスは打倒されると言ってますがどうですか?

ブハイティ:いいですか。IDFは10月7日にハマスに敗けた後、この敗北をジェノサイドとガザの住民を飢えさせる包囲に替えた。これは弱さの表れです。シオニスト政府、米国、英国が市民を標的にすることに訴える時、彼らはこれをベイルート[レバノン]でもダマスカス[シリア]でも繰り返したが、これは敗北と弱さの印です。これらの犯罪を犯したにもかかわらず、シオニスト政府は、国内でも占領地でもパレスチナ人[レジスタンス]の制御を確立できていない。

我々はギャングに直面しているのです。現在米国と英国と西側諸国を統治している者がロンドンとワシントンのシオニストギャングを統治しているのです。しかし彼らは米国や英国の民衆を動員することはできない。ロビーの利益のためにそうしているコントロールされたギャングです。我々はイエメンの人々の意志を代理しています。今では米国や英国や世界の大多数がガザのジェノサイドに反対している。イエメンは、イエメンの民衆と、アラブ諸国、イスラム諸国の民衆、世界の大多数の民衆を代表しています。民兵に過ぎないのは彼らであって我々ではない。

ブハイティ:いいかいトム、今日ペンタゴンの報道官が「フーシ」の能力は際限がない、打ち負かすのは容易ではない、と言った。

トム:米国と英国の現在の攻撃は手加減しているのです。フーシを恐れているわけではなく、イランと直接対決したくないからです。イランはこの弱い攻撃を自分の利益に利用している。地域のためでもアラブ諸国のためでもなく。

司会:人質解放交渉がまとまりそうだと言われていますが。もしこれが合意に達したらフーシも攻撃をやめますか?

ブハイティ:前回の一時停戦の時、我々はどうしましたか?我々はシオニスト 政府に対する作戦をやめました。我々は大胆に勇気を持って決断します。我々の決意は固い。我々の戦争には分別があり、倫理に基づくと言うことを明確に主張します。また、米国が我々に蓋をしようなどと考えなければ(停戦で戦争は終わるが、そうでない場合は)、米国の愚かさのおかげで、我々は(地域における)米国の覇権を終わらせるだろう。

以上

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